[Tony2018] My Fair Lady@Vivian Beaumont Theatre(150 W. 65th St.) 2018/04/05

006今回の『My Fair Lady』、もちろんミュージカルとして上演されているのだが、印象はほとんどストレート・プレイだと思った。その趣向が、かえって作品の魅力を際立たせることになっているのが面白い。
ほとんどストレート・プレイだと感じる理由はショウ場面の演出にある。歌って踊っても弾けない。弾けるのは、イライザの父親アルフレッドのナンバー、それに、イライザに横恋慕する若者フレディの「On The Street Where You Live」ぐらい。メインの2人、イライザとヒギンズのナンバーは、けっして弾けない。
ことにイライザ。演ずるはローレン・アンブローズ 。過去の舞台の出演作はいずれもストレート・プレイで、ミュージカルに出るのは高校時代の『Oklahoma!』以来だそうが、実はオペラ歌手としての教育を受けているし、小さなクラブで歌っている映像もネットに上がっている。にもかかわらず、今回の『My Fair Lady』では、私歌えます!的には歌わない。
ヒギンズの歌が、歌うというよりは語る方向にあるのは、初演のレックス・ハリスン以来の伝統で、今回のハリー・ハーデン=ペイトンもセリフの流れの中で語るように歌う。アンブローズ版イライザの歌い方は、それに呼応するかのようだ。例えば、韻を踏んだ発音練習が歌になっていくことで有名な「The Rain In Spain」にしても、イライザの喜びが爆発するはずの「I Could Have Danced All Night」にしても、はしゃいだ感じにはならない。劇中の現実から逸脱しない。
そうすることで表現しようとしているのは、おそらく、イライザの誇り高い精神。コヴェント・ガーデンの挑戦的な花売り娘イライザとヒギンズに最後通告を突きつける淑女然としたイライザは一貫している。ヒギンズの手を借りはしたものの、自分の意思で洗練と教養を身に着けた独立した人間。その分、孤独だが、彼女はそれを克服していくだろう。そんな感じ。早い話、原作であるバーナード・ショーの戯曲『Pygmalion』の元々のイメージに沿った解釈を採ったということだと思うが、そこに、2018年ニューヨークの空気感がある。
演出はバートレット・シェール。ヴィヴィアン・ボーモント劇場@リンカーン・センターでのミュージカル・リヴァイヴァルは、『South Pacific』『The King And I』に次いで3作目。大がかりな装置(マイケル・イヤーガン)を丁寧に使って、落ち着いてはいるが贅沢な気分の舞台に仕上げるのは今作にも共通するところ。シニカルな人間観も共通か。

★from WEBsite Misoppa’s Band Wagon (05/03/2018)

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