[Tony2018] Rodgers & Hammerstein’s Carousel@Imperial Theatre(249 W. 45th St.) 2018/03/01&04/03(&06/02)

005作者たちは新たなオペラを書くつもりだったのだな、と改めて思い知らされて新鮮だったのが今回の『Carousel』(邦題:回転木馬)
舞台は19世紀末のメイン州。遊園地の回転木馬の客寄せビリーと、女工ジュリーは、出会って惹かれ合ったがゆえに互いに職を失う。結婚してジュリーのいとこネッティの保養所に身を寄せるが、未だ職にあぶれているビリーはジュリーに冷たく接するようになる。ここでジュリーがビリーにぶたれた話が出てきて、後に娘に会いに行ったビリーが焦れて娘の手をはたく伏線となる。このDVネタは原作戯曲『Liliom』から引き継がれて重要なファクターとなっているようだ。そんなビリーだが、ジュリーの妊娠を知り、生活を好転させようと悪友の誘いに乗って強盗を働くも失敗し、自ら命を絶つ。生前の善行が足りないので天国に入れないビリーは、天国の案内人から善行のチャンスを与えられ、成長した娘に会いに行く。亡き父の悪行のせいで除け者にされている娘を励まそうと、父親の友人だと偽って近づくビリーだが、前述したように焦って手をはたき、逃げられる。だが、娘に話を聞いたジュリーは、それがビリーだったことを確信し、彼の気持ちを理解する。ラスト・シーンは娘のハイスクールの卒業式。見守るビリー。天国の案内人そっくりの校長が現れ、送辞を述べる。その挨拶は明らかにビリーの娘に対する励ましの言葉だった。
この内容、不良青年が道を誤るが、死して後、家族愛に目覚める、という改心のドラマと理解できなくもないが、話として面白いか? と、ずっと思っていた。
それが今回、スッと心に入ってきた。理由は、人生の過酷さを指し示す神話的な物語であるかのように感じさせる、ある種の厳しい視線でもって演出されたこと。それが時代を超える普遍性を生み出した。メイン・ヴィジュアルに使われている古代の星座や神話をイメージさせる絵も、そこに一役買っている。
同時に、凝りすぎず、楽曲とダンスの質の高さでシンプルに運ぼうとする演出により、オペラに匹敵する斬新で力強い舞台を作ろうとした初演スタッフ=リチャード・ロジャーズ(作曲)×オスカー・ハマースタイン二世(作詞・脚本)×アグネス・デ・ミル(振付)たちの創作意欲がまっすぐに伝わってきた。文字通り“蘇る(revive)”というべき生々しい感触があるリヴァイヴァルだ。
演出は『Hairspray』のジャック・オブライエン。素晴らしい振付はニューヨーク・シティ・バレエのジャスティン・ペック。
役者も見事。ビリー役は『Shuffle Along, Or The Making Of The Musical Sensation Of 1921 And All That Followed』のジョシュア・ヘンリー。ジュリー役は『Beautiful:The Carole King Musical』『Waitress』に続いてまたまたダメ男と結婚することになったジェシー・ミューラー。ジュリーのいとこネッティ役がMETの歌姫ルネ・フレミング 。彼女の「You’ll Never Walk Alone」は必聴。もう1人、ジュリーの親友キャリー役がリンゼイ・メンデズ。こんなに歌える人だったとは。

★from WEBsite Misoppa’s Band Wagon (05/03/2018)

(追記)ダンス・ナンバーの素晴らしさは、2階席から俯瞰気味に観た方がよくわかります。

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