愛聖女(サントダムール)~Sainte♡d’Amour~(ライヴ・ヴューイング)@TOHOシネマズ渋谷 2018/07/07 14:30

IMG_0687愛希れいか演じる主人公ジャンヌ・ダルクのキャラクターを太陽王(『All for One〜ダルタニアンと太陽王〜』)の延長線上に設定した時点で、作品の半分は成功している。齋藤吉正の脚本については、まずは、この点を賞賛すべき。
単なる“男装の麗人”ではなく、強い克己心と誠意を併せ持つ、ジェンダーを超える存在。それを、男役だったこともある娘役が演じる。宝塚歌劇にしかできないキャスティングの妙。

ジャンヌ・ダルクという実在の人物の描き方も、かなり注意深く気を遣っているように見えた。
実際、彼女は、単純にフランス救国の英雄と言い切ってしまうには謎が多く、そのイメージは様々な政治的プロパガンダに利用されてきている。ひとつ間違えば、狂信的な殺戮者とも捉えられかねない人物でもある。
ここが一番むずかしかったんじゃないだろうか。
突然のタイムスリップという設定は宙組『天は赤い河のほとり』と似ているが、あちらは現代人が昔に行くので昔の価値観で話を進めることができる。が、こちらはその逆なので、現代の価値観で捉えていく必要がある。しかも、やって来るのは、天啓を得て国を守るために戦場に身を投じた敬虔なカソリック信者。ひと筋縄ではいかない。
ポイントは、タイムスリップが起きたのが火刑の最中だったところだろう。死ぬことがわかっていながら、自分の身代わりとなって過去へとタイムスリップしたドクター・ジャンヌを救うために、最後は過去へと戻っていくジャンヌ・ダルク。その筋の通し方が彼女のキャラクターとして物語に一貫性をもたらした。
加えて、現代でのロンドン行きのエピソードを設定して、ジャンヌが無前提にイギリスを憎んでいるわけではないことも、うまく表わした。
もちろん、細かいことを言いだせば穴はある。
中でも、母に会いたいからオルレアンの乙女コンテストで優勝する必要があるという兄妹という設定は、かなり無理矢理。が、まあ、これもジャンヌの境遇説明と正義感の発露に落とし込んで辻褄は合わせた。
ちなみに、頻繁に起こるタイムスリップ自体が無理だと言うと、『天河』も無理って話になるので、これは大きな必要ウソとして飲み込むしかない。タイムマシーン=デウス・エクス・マキナということで。

愛希れいかは、その際だった個性で終始舞台を引っぱった。地味なジャージに着替えてウンコ座りで向こう向きで土いじりをして絵になる娘役トップは彼女だけだろう。
ドクター・ジャンヌの白雪さち花も見事。幕開きのテンションの高い第一声から舞台の空気を決定づけ、途中、ジャンヌ・ダルクと入れ替わってからは過去の世界の状況説明を一手に引き受け、最後まで緊張感を保ち続ける。彼女の功績は大きい。
その他の出演者も、愛希れいかの最初にして最後の単独主演公演を支えようという気迫と愛情にあふれて、それぞれに快演。

次善の策ではあったが、ライヴ・ヴューイング、観てよかった。

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