The Chronicle of Broadway and me #21

★1991年6月~7月(その4)

『Fiddler On The Roof』(@Gershwin Theatre 1991年6月4日 20:00)観劇当時の感想。

<『CATS』に負けず劣らずのヒット作。1964年9月22日に開幕して当時としては最高の3242回のロングランを記録した。日本では森繁久弥の当たり役として有名だが、ブロードウェイでは ゼロ・モステルという初代の主演役者が強烈な印象を残しているらしい。
1990年11月18日に開幕した今回のリバイバル版の主役は、この作品の1967年のロンドン公演と1970年の映画版で主役に就き一躍世界的なスターになったイスラエル人 トポル。主役の存在感で成否が決まる作品だからか、看板にはタイトルよりも大きく “TOPOL”と書かれてある。『Jerome Robbins’ Broadway』で名場面だけを見せられて、是非その全体像を見たいと思っていたので、うれしいリヴァイヴァル。
しかしながら、トポルの演技は素晴らしかったものの、客の入りは悪い。20世紀初頭の帝政ロシアから追い払われる貧しいユダヤ人たち、という素材は特殊だが、60年代にはドラマとして普遍性を持っていたはずだ。その普遍性が、この物語の中で古い伝統が失われていくように、時の流れと共に薄れていったということか。未見だが、日本の森繁版は素材の特殊性は無視して人情ドラマにしていまうことで息を永らえたのではないか。
まばらな客席には、例の黒い小型ベレー帽のようなもの(キッパ)を載せたユダヤ人と思われる人たちが何人かいた。恐らく湾岸戦争と関係があるのだと思うが、その2日前の日曜日にブロードウェイ近辺でイスラエルとアメリカの連帯を訴えるパレードが行なわれていた。劇場に来ていたのもその行事関連の人たちかもしれない。この辺りの民族的国家的事情は、図式としてはわかっても感情のレヴェルでは全くわからない。あるいは、こうした時期を狙ってのリヴァイヴァルかもしれないが、とにかく、この作品がニューヨークでどう受け取られているのかという問題は、門外漢の理解を超えた所にある。>

正直、この舞台のことはあまり印象に残っていない。前述したように、『Jerome Robbins’ Broadway』で観たあのダンスはここで出てくるのか、といった視点一辺倒だった気がする。あと、ここまで観てきた中で最も客の入っていない公演だったことは覚えている。
ニューヨーク演劇界とユダヤ人との関係について考えさせられる作品は、この後、今年のトニー賞ミュージカル作品賞『The Band’s Visit』に到るまで数多く観ることになるが、その第一歩。

蛇足だが、『Cats』に負けず劣らずのヒット作、ってのは、この時点で『Cats』がまだ9年目だから。『Cats』がその倍以上のロングランとなるのはご承知の通り。

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