The Chronicle of Broadway and me #24

★1991年6月~7月(その7)

『The Will Rogers Follies』(@Palace Theatre 1991年6月7日 20:00)の主要スタッフは、作曲/サイ・コールマン、作詞/ベティ・コムデン&アドルフ・グリーン、脚本/ピーター・ストーン、演出/トミー・テューン。
コムデン&グリーンにとっては最後の、コールマンにとっては最後から2番目の、ストーンにとっては最後から3番目のブロードウェイ・ミュージカルとなる。レジェンドたちが人生の終盤に集結し、力を合わせて、“古き佳き時代”の誇りを思い出させる一石をブロードウェイに投じた。そんな印象の良作。

観劇当時の感想。

<6月2日に発表されたトニー賞でミュージカル作品賞を受賞したのが『The Will Rogers Follies』演出・振付の トミー・テューン は、11月に来日するGrand Hotelに続いて、2年連続その2部門でトニー賞を受賞した。音楽はCity Of Angelsのサイ・コールマン。
タイトル中の「Follies」は「ブロードウェイのレヴュー史上最高の評判と最長の継続期間を残した」(スタンリー・グリーン「ブロードウェイ・ミュージカル from 1866 to 1985」)と言われるシリーズ Ziegfeld Folliesのことで、ブロードウェイの大プロデューサー、フローレンツ・ジーグフェルドがこのタイトルで1907年から1931年までの間に21本のレヴューを作り、彼の死後も同タイトルのレヴューが1934、1936、1943、1957年に上演されている。
「フランスのレヴューのスタイルに基づき、政治、社会、演劇に対する風刺に満ちた様々な場面をつなぎ合わせたエンターテインメントであるフォリーズ(中略)の売り物は、その豪華な舞台と着飾ったショー・ガールたち、最新の題材を扱った笑劇的スケッチ、コメディアン、次から次へと出てくる歌の数々であった」(スタンリー・グリーン前掲書)。
『The Will Rogers Follies』は、サブ・タイトルに “A Life In Revue”とあるように、Ziegfeld Folliesのスターでもあったウィル・ロジャーズというアメリカ人の生涯を同作品特有のレヴューの形を借りて綴っていく、という構成のミュージカルだ。したがって当然「豪華な舞台と着飾ったショー・ガールたち」が出てくるわけで、そうしたショウ場面は華やかで実に楽しい。伝説のZiegfeld Folliesもかくや、と思わせる。
が、一方で困った場面もある。と言うのは、ウィル・ロジャーズの売りのひとつに「時事問題を織りまぜたモノローグ」という芸があり、それもここで再現されるのだが、これがわからない。演じるのは映画俳優としても知られるキース・キャラダイン。彼の口調や物腰は “おそらく” ロジャーズにそっくりなのであり、話は “おそらく” アメリカ人の大人であれば誰でもが理解し、笑え、時に感動する内容なのだと思う。そして、その辺り、古き佳きアメリカを思い起こさせる部分がこの作品をトニー賞に導いたのだろう。が、そうした知識もなければ英語も解さない35歳の日本人には、全く楽しめない部分なのだ。
とは言え、もう一度見たいミュージカルではある。舞台前に張り出した花道が見えにくいバルコニーの後ろの方じゃない席で。>

トニー賞の作品賞を獲った話題作を、授賞式開催週に観ているわけで、チケットも渡米後の入手だから、いい席が獲れるはずがない。観られただけよかったと言うべきだろう。
プレヴュー開始がこの年の4月1日、正式オープンが5月1日だから、トニー賞締め切り寸前の開幕だったわけだ。で、公演は1993年9月5日まで続く。WOWOW(当時の日本衛星放送株式会社)が出資していて、日本での中継放送が後に実施された。

感想に、「伝説の『Ziegfeld Follies』もかくや」と書いているが、そのWOWOWの映像を(確か録画で)観ながら、それほどでもないな、と思ったのを覚えている。テレビの画面だと「着飾ったショー・ガールたち」の人数が案外少なく見えたのだ。制作費の高騰と役者の人数減という、その後ブロードウェイで顕著になる問題は、この頃からすでに始まっていたのかもしれない。ハイ・コスト/ロウ・キャスト、なんちゃって。
しかし、トミー・テューンのショウ場面作りのあの手この手、抽出しの多さは素晴らしく、楽しませてもらった。
サイ・コールマンはここでも好調。ことに、ロジャーズの飛行機事故死に被せて最後に歌われる「Never Met A Man I Didn’t Like」は、コムデン&グリーンの心温まる詞を得て名曲となった。

主演のキース・キャラダインは、演じているウィル・ロジャーズの個性に合わせていることもあるからだろう、それまで観てきたミュージカル俳優とは違った芸風で、うまい下手はよくわからなかったが、それなりの華があり、好感は持った。
女優陣では、ロジャーズの妻役で『City Of Angels』オリジナル・キャストのディー・ハッティを観られたのがうれしい。
しかし、何と言っても“ジーグフェルドのお気に入り”という役名で登場のケイディ・ハフマンが印象に残る。テンガロンハットにウェスタンブーツのカウボーイ・スタイルでありながらショートパンツという、明らかな“お色気担当”ファッションで笑顔を絶やさない。そんな役どころが、そのまま10年後の『The Producers』の秘書につながって彼女にトニー賞をもたらすことになる。

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