The Chronicle of Broadway and me #035

★1992年5月~6月(その9)

例によってトニー賞を参考に1991/1992シーズンを振り返る。

作品別獲得数は多い順に次の通り。

『Guys And Dolls』4(リヴァイヴァル作品賞※/演出賞/主演女優賞/装置デザイン賞※)
『Crazy For You』3(作品賞/振付賞※/衣装デザイン賞※)
『Jelly’s Last Jam』3(助演女優賞/主演男優賞/照明デザイン賞※)
『Falsettos』2(楽曲賞/脚本賞)
『The Most Happy Fella』1(助演男優賞)
(※印のカテゴリーは、ミュージカルとプレイが混合で候補になっている。また、この年、編曲賞、音響デザイン賞はない。)

『Jelly’s Last Jam』がミュージカル作品賞を獲らなかったことについて、トニー賞翌日のニューヨーク・タイムズにコラムニストのグレン・コリンズがこう書いている。<トニー賞選考者の大多数は、過ぎ去った栄光のブロードウェイを蘇らせたことで『Crazy For You』を選び、そして、ジェリー・ロール・モートンの人種差別主義に対する痛烈な問いかけをもった『Jelly’s Last Jam』は、研磨剤のように何人かの選考者に痛みを与えたかもしれない。>
痛烈な問題提起よりもノスタルジーを選んだトニー賞に対する皮肉。
確かに、『Crazy For You』『Guys And Dolls』も、出来がよかったとはいえ、1970年代から続くノスタルジー・ブームの流れの中で生まれたものではあった。時代の空気としては、そうだ。そんな中で『Jelly’s Last Jam』『Falsettos』が出てきて、それなりの成果を収めた辺りに、ブロードウェイの変化が見え始めた。そんなシーズン。そういう意味で1992年は忘れられない年となった。

ちなみに、このシーズンに登場して観られなかったミュージカルは次の5本(開幕順)。いずれも渡米前にクローズ。

『André Heller’s Wonderhouse』
『Peter Pan』
『Nick & Nora』
『Metro』
『The High Rollers Social and Pleasure Club』

『Nick & Nora』『Metro』は、いずれも本公演が2週間もたなかったが、オリジナル楽曲を持たない作品の多いシーズンだったからだろう、トニー賞の楽曲賞候補になっている。
『Nick & Nora』は個人的に期待していた作品で、原案はダシール・ハメットの「The Thin Man」(邦題:影なき男)。映画版でウィリアム・パウエルとマーナ・ロイが演じて人気となった夫婦探偵の名前がタイトルになっている。作曲チャールズ・ストロース、作詞リチャード・モルトビー・ジュニア、脚本・演出アーサー・ローレンツ。これまたノスタルジックな一作だったろうが、観てみたかった。ただ、脇役でフェイス・プリンスが出ていたので、こちらが当たっていたら『Guys And Dolls』のアデレイド役はどうなっていたか。プリンスは『Nick & Nora』でトニー賞を獲ったのか。いろんな「たられば」が想像できて面白い。
『The High Rollers Social and Pleasure Club』は、今回調べたら、音楽的にアラン・トゥーサンが中心になり、ジェリー・ウェクスラーやチャールズ・ネヴィルも関わって作られたニューオーリンズものだったようで、これも観たかったなあ。
『Peter Pan』は、#26で触れた前シーズンのキャシー・リグビー版が再びホリデイ・シーズンに帰ってきての限定公演。

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