The Chronicle of Broadway and me #049

19935月~6月(その5

『Blood Brothers』(6月1日20:00@Music Box Theatre)について、<日本でも、柴田恭平、国広冨之の主演で昨年(1992年)2度目の翻訳公演が行なわれた、イギリス産ミュージカル。1983年にリヴァプールでオープンし(作品の舞台がリヴァプール)、1988年にロンドンに移って今なお続演中だ。>と当時の感想に書いているが、これ事実誤認。
実際には、1983年にリヴァプールでオープンしたプロダクションが同年4月にロンドン(ウェスト・エンド)に移り10月まで上演。これがオリヴィエ賞を受賞。その後、ツアー公演があり、1988年から再びウェスト・エンドで上演開始(ロンドンでは、よくあるやり方)。劇場を移りながら2012年までロングランしている。
以下、当時の感想の続き。

<今回のブロードウェイ公演は、トニー賞の主演女優賞、主演男優賞候補を含む主要な出演者5人(女2人・男3人)が全員、ロンドンのプロダクションで今回と同じ役を演じた経験があるというイギリス人で、これがブロードウェイ・デビュー。言ってみればロンドンからの直輸入公演だ。
“ロンドンもの”らしく、ストーリー主体、歌主体のもの。そのストーリーも、生まれて間もなく別の姓を名乗り全く違う階級の人間として生きることになった双子の兄弟が、互いに兄弟と知らずに親友になり、恋敵になり、数奇な運命を辿って、やがて……という、山口百恵のTVドラマ「赤い~」シリーズも真っ青のメロドラマ。にも関わらず、自分でも意外なことに、その世界に否応なく引きずり込まれた。
と言うのも、イギリス人出演者5人が、さすがに過去に演じていただけあって、持ち役を魅力的に練り上げ、自信を持って演じているから。そして、その5人を中心にした総勢16人というブロードウェイ・ミュージカルとしては小規模なカンパニーが、がっちり手を組んで舞台を作り上げ、観客にまで親密な雰囲気をもたらしているから。アーヴィング・バーリンを共同所有者として1921年に作られたミュージック・ボックスという劇場の、古さ、規模の小ささも、その雰囲気作りを助けている。
作品自体は好きではないが、演じている役者たちを好きになる、そんな舞台だ。
中でも、主演男優のコン・オニールの、“野蛮なジェームズ・ディーン”あるいは“ドングリ眼じゃないアル・パチーノ”的魅力は、唾を飛ばしながらのリヴァプール訛と共に忘れ難い。トニー賞ノミネートは当然の結果だと思う。
ところで、やはりロンドンから来てトニー賞助演女優賞にノミネートされたチャーミングなジャン・グレイヴソンのプロフィールには、イギリス・タップ・ダンス選手権に2年連続で優勝したとある。次の機会にはその技を披露してくれることを期待せずにはいられない。>

“ロンドンもの”は、話がベタで、ダンスよりも歌中心、という風に思っていた。まあ、あまりハズレてはいないと思うが。
ここで観たイギリス人俳優は、その後、誰もブロードウェイの舞台には立っていない。母親役のステファニー・ローレンスは2000年に亡くなっている。
なお、2009年8月にはロンドンでロングラン中のこの作品を観て、「ドラマの根底にある階級意識の軋みがリアルに伝わってきた」という感想を書いている。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中