★1994年12月~1995年1月@ニューヨーク(その1)
13度目のブロードウェイ(39歳)。
こちらで書いたように、ホリデイ・シーズン限定の『A Christmas Carol』を観るために飛んでいる。この頃から渡米が頻繁になってきているが、観劇演目については、今の目で見るとブロードウェイの再見が多く、もったいない。もっとも、ブロードウェイ自体も好調とはいえない時期だったようで、書き残してある当時の状況を再掲する。
<9月に『Show Boat』のプレヴューを観に来てから3か月。その間ブロードウェイで始まったミュージカルは、ロンドンからやって来た『Sunset Boulevard』のみ。一方で、昨シーズン幕を開けた舞台が次々クローズ。トニー賞受賞ミュージカル2本、作品賞『Passion』とリヴァイヴァル作品賞『Carousel』が1月上旬で終了。『Damn Yankees』は2月28日から再開の予定で元旦から2か月間クローズしている(再開の売りはジェリー・ルイスの出演)。1992年の大ヒット『Guys And Dolls』も1月8日でついに幕を下ろした。クリスマス・シーズンの限定公演がけっこうあるのでにぎやかに見えるが、実は隙間風が吹いていた。>
12月31日20:00 Crazy For You@Shubert Theatre 225 W. 44th St.
1月1日13:00 The Flying Karamazov Brothers Do The Impossible!@Helen Hayes Theatre 240 W. 44th St.
1月1日16:30 A Christmas Carol@Paramount Theatre/Madison Square Garden
1月2日20:00 Tommy@St. James Theatre 246 W. 44th St.
1月3日20:00 Sunset Boulevard@Minskoff Theatre 200 W. 45th St.
1月4日14:00 Guys And Dolls@Martin Beck Theatre 302 W. 45th St.
1月4日20:00 Show Boat@Gershwin Theatre 222 W. 51st St.
1月5日20:00 A Doll’s Life@York Theatre/St.Peter’s Church 619 Lexington Ave.
1月6日14:30 Christmas Spectacular@Radio City Music Hall/Rockfeller Center
1月6日20:00 Stomp@Orpheum Theatre 126 2nd Ave.
以上の内、ミュージカルではない2演目について簡単に。
『The Flying Karamazov Brothers Do The Impossible!』は、上記の「クリスマス・シーズンの限定公演」の内の1つ。フライング・カラマーゾフ兄弟はジャグラーの4人組で、プレイビルでは「フライングK’s」と略称されていた。結成は1973年。その世界では有名な存在らしい。以下、当時の感想から。
<最大の見せ場は4人入り交じっての驚異的なジャグリングだが、その他にもアイディアがいっぱい。ジャグリングしながら、そのピンでマリンバを演奏する。同様に、ジャグリングしながらピンで、背負ったシンセドラムを演奏する。腕や足を中心に体の各所にシンセサイザーのキイを仕込み、ジャグリングしたボールをキイに当てて演奏する。……という音楽系がかなり秀逸。
ジャグリングする物では、刃物がスリリングなのはもちろんだが、ザ・ギャンブルと言うコーナーで客の持ち寄った物の中からジャグリングする物3つを選ぶのも、おかしいだけでなく緊張する。観た日に選んだのは、中にゼリー状の物が入ったゴム風船、突起のたくさん出た木の玩具、むき出しの棒状バター。見事規定の10回ジャグリングを一発でクリアした。その他、手品的芸、扇子を使った踊りや英語俳句等もやるが、この辺はジョーク。それより、1人ずつでも見事な芸を見せる各メンバーのキャラクターにそれぞれ味があるのが何より楽しい。
長年組んでやっているという5人組のバンド、カミカゼ・グラウンド・クルーも、スネア・ドラムス+チューバのリズム隊に、スライド・トランペット、バリトン・サックス、アルト・サックスという編成で客席からマーチングで登場、ユニークなサウンドを聴かせた。>
『Stomp』は、今も続く人気パフォーマンス。前年(1994年)2月にイギリスから渡って来て話題になっていた。同じく、当時の感想。
<モップだのバケツだの、そこらにある、楽器以外の“パーカッション用具”を駆使し て繰り広げるリズムの洪水ショウで、7人登場するメンバーも癖のある個性が演出されていて楽しい。が、長引くと、やや単調な印象も受ける。
最後に観客を巻き込んで手拍子の演奏になるが、複雑でついていけなかった。>