[Tony1998] 予想/結果と感想

旧サイトでこのシーズン(1997/1998)から始めたトニー賞の予想。話のタネとして再録します。「予想」と「結果と感想」とをまとめてアップしますので、全体に編集してあります。ただし、予想や感想の内容には手を加えていません。
こういう予想って、それなりに成熟していくもののようで、初年度は、なんと言うか、あんまり内容がない(笑)。その辺、ご容赦を。

下は予想と結果の一覧(は予想時のマーク。ニュアンスは、本命=審査員が投票しそう、対抗=案外これが獲るかも/獲ってくれないかな、といった感じ)。

[作品賞]
The Lion King 受賞
Ragtime
The Scarlet Pimpernel
Side Show
[リヴァイヴァル作品賞]
Cabaret 受賞
The Sound of Music 
1776
[主演女優賞]
Betty Buckley Triumph of Love
Marin Mazzie Ragtime
Natasha Richardson Cabaret 受賞
Alice Ripley & Emily Skinner Side Show
[主演男優賞]
Alan Cumming Cabaret 受賞
Peter Friedman Ragtime
Brian Stokes Mitchell Ragtime
Douglas Sills The Scarlet Pimpernel
[助演女優賞]
Anna Kendrick High Society
Tsidii Le Loka The Lion King
Audra McDonald Ragtime 受賞
Mary Louise Wilson Cabaret
[助演男優賞]
Gregg Edelman 1776
John McMartin High Society
Ron Rifkin Cabaret 受賞
Samuel E. Wright The Lion King
[楽曲賞]
Stephen Flaherty & Lynn Ahrens Ragtime 受賞
Paul Simon & Derek Walcott The Capeman
Henry Krieger & Bill Russell Side Show
Elton John, Tim Rice, Lebo M, Mark Mancina, Jay Rifkin, Julie Taymor & Hans Zimmer The Lion King
[編曲賞]
William David Brohn Ragtime 受賞
Robert Elhai, David Metzger & Bruce Fowler The Lion King
Michael Gibson Cabaret
Stanley Silverman The Capeman
[脚本賞]
Terrence McNally Ragtime 受賞
Nan Knighton The Scarlet Pimpernel
Roger Allers & Irene Mecchi The Lion King
Bill Russell Side Show
[演出賞]
Julie Taymor The Lion King 受賞
Frank Galati Ragtime
Scott Ellis 1776
Sam Mendes & Rob Marshall Cabaret
[振付賞]
The Forever Tango Dancers Forever Tango
Graciela Daniele Ragtime
Garth Fagan The Lion King 受賞
Rob Marshall Cabaret
[装置デザイン賞]
Bob Crowley The Capeman
Richard Hudson The Lion King 受賞
Eugene Lee Ragtime
Quay Brothers The Chairs (play)
[衣装デザイン賞]
William Ivey Long Cabaret
Santo Loquasto Ragtime
Julie Taymor The Lion King 受賞
Martin Pakledinaz Golden Child (play)
[照明デザイン賞]
Peggy Eisenhauer & Mike Baldassari Cabaret
Jules Fisher & Peggy Eisenhauer Ragtime
Donald Holder The Lion King 受賞
Paul Anderson The Chairs (play)

★予想

<[作品賞]は『Ragtime』『The Lion King』の一騎打ちですが、この2作、完成度にかなりの開きがある。もちろん『The Lion King』の方が上ですが、こちらに書いたような理由(大ヒットしたアニメーション映画が元であることに対する演劇世界の反発、あるいは、いまだにくすぶるディズニーへの反感)で『The Lion King』は獲らないでしょう。
ここでは『Side Show』のノミネーションに拍手!
[リヴァイヴァル作品賞]は、他部門のノミネーションから推して『Cabaret』の1人勝ち状態。でも、他の2作も捨てがたい出来。ちょっとヘソを曲げて、主演女優賞にもノミネートされなかった『The Sound Of Music』に1票。

俳優に対する賞の中で、[主演男優賞]は強烈なアラン・カミングに行くしかないと思う。
[主演女優賞]、[助演女優賞]は、個人的には、前者がアリス・リプリー&エミリー・スキナー、後者がメアリー・ルイーズ・ウィルソンで迷わず決定だが、トニーの審査員がどう来るか正直わからない。主演女優がベティ・バックリーという線もないわけじゃないし、『Ragtime』パワーということもあるかもしれない。
助演女優のオードラ・マクドナルドはトニー賞を2度も獲っていて2度とも納得だったが、今回は彼女の魅力が出ていないというのが個人的評価。『High Society』のアンナ・ケンドリックなんて知らない人のが多いでしょう。これがブロードウェイ・デビューの子役です。

[演出賞]、[振付賞]、それに、[装置デザイン賞]、[衣装デザイン賞]、[照明デザイン賞]は『The Lion King』で決まりだと思うが、装置と照明はもしかしたら割れるかもしれない。
個人的には『1776』のスコット・エリスの演出も忘れがたい。
グラシエラ・ダニエルによる『Ragtime』の振付は、これまでの彼女のダンス・ミュージカルを観ている目には地味に映って評価が低くなった。
それにしても装置のノミネーションから『The Sound Of Music』が外れたのは意外。

[楽曲賞]は『The Capeman』で堅いんじゃないかなあ。少なくとも個人的には決まり。審査員の方で別口があるとしたら、『Side Show』か。『Ragtime』『The Lion King』が外すのは、ここしかない。

[脚本賞]は、審査員は『Ragtime』で決定でしょう。個人的にはもちろん、健闘を讃えて『Side Show』

[編曲賞]は、『The Lion King』『The Capeman』。でも、審査員票はこの辺で『Ragtime』に流れそう。

なお、『High Society』は6月中旬に見に行く予定です。>

★結果と感想

<『The Lion King』が獲っちまいましたね、[作品賞]。ちょっと意外でしたが、まあ、なので、妥当な評価。

本当に意外だったのは助演女優賞で、オードラ・マクドナルドは確かにいい女優ですが、予想のところでも書いたように、今回は以前の2回の受賞時に比べると魅力を発揮できてないと思うんだけど。もっとも、役者は主演男優以外は混戦でしたからねえ。

[楽曲賞]、[編曲賞]は、[作品賞]を獲らなかった『Ragtime』へのエクスキューズのような気がするんですが。

でも、総じてが当たっていて、まあ、それだけスリルのない賞レースだったってことでしょう。
賞を獲ったのが、ディズニーにライヴェントにランダバウトという、従来の勢力からは外れたラインのプロダクションである辺りに、ブロードウェイの危機感と可能性を感じたりもします。>

The Chronicle of Broadway and me #171(The Lion King[2]/Chicago[5]/season summary)

19983月@ニューヨーク(その7)

(※先にアップしてある『The Capeman』の2度目の観劇記を「The Chronicle of Broadway and me #170」「★1998年3月@ニューヨーク(その6)」としました。)

トニー賞を参考に1997/1998シーズンを振り返るが、その前に、『The Lion King』(3月18日20:00@New Amsterdam Theatre)と『Chicago』(3月21日14:00@Shubert Theatre)について簡単に。

『The Lion King』は、その年のアウター・クリティック・サークル賞の発表に関連して次のように書いている(少し整理省略)。
<ミュージカル演出賞、振付賞、装置デザイン賞、衣装デザイン賞、照明デザイン賞、それにミュージカル助演女優賞の6部門を獲得した。
ミュージカル作品賞は『Ragtime』が獲ったのだが、早い話、役者関係以外の賞は全部『The Lion King』が獲ったわけで、じゃあ役者がよくないかと言うと、全然そんなことはない。主役クラスからアンサンブルまで要求されているレヴェルは非常に高く、果たして四季がこなせるのかと他人事ながら心配になるほどだ。
殊に、ダンス、と言うか肉体的パフォーマンス能力は、技術的にも体力的にもモダン・バレエ最前線クラスのものが必要と見る。プラス、アフリカ的発声の歌唱力。
そんなわけで、『The Lion King』が作品賞を獲らない理由は役者ではなく、おそらく、大ヒットしたアニメーション映画が元であることに対する演劇世界の反発、あるいは、いまだにくすぶるディズニーへの反感、だろうと思うが、まあ、映画版そのままのストーリーがダメだからそれも致し方ないかもしれない。>

『Chicago』は役者の交替について(こちらも整理省略)。
<今回の舞台の変化は、ラインキングに続いて、ジェイムズ・ノートン、ジョエル・グレイが降板したこと。これでメインの4役の内、オリジナルで残るのはヴェルマ役ビビ・ニューワースだけとなった。
ノートンに代わって悪徳弁護士ビリー・フリン役に就いたのがヒントン・バトル。今生きている男優でただ1人トニー賞を3回受賞した人だそう。ただし、この日は代役でルイス・ペレス。
ジョエルと交替したのはアーニー・サベラ。映画版『The Lion King』でプンバの声をやった人だが、ブロードウェイでは、ジェリー・ザックス演出リヴァイヴァル『Guys And Dolls』『A Funny Thing Happened On The Way To The Forum』でエキセントリックなコメディ演技を見せていた。>

さて、トニー賞だが、ミュージカル関係の受賞は次の通り。

●作品賞 『The Lion King』
●リヴァイヴァル作品賞 『Cabaret』
●主演男優賞 アラン・カミング『Cabaret』
●主演女優賞 ナターシャ・リチャードソン『Cabaret』
●助演男優賞 ロン・リフキン『Cabaret』
●助演女優賞 オードラ・マクドナルド『Ragtime』
●演出賞 ジュリー・テイモア『The Lion King』
●脚本賞 テレンス・マクナリー『Ragtime』
●楽曲賞 スティーヴン・フラハーティ(作曲)/リン・アーレン(作詞)『Ragtime』
●編曲賞 ウィリアム・デイヴィッド・ブローン『Ragtime』
●振付賞 ガース・フェイガン『The Lion King』
●装置デザイン賞 リチャード・ハドソン『The Lion King』
●衣装デザイン賞 ジュリー・テイモア『The Lion King』
●照明デザイン賞 ドナルド・ホールダー『The Lion King』

このシーズンにブロードウェイに登場したミュージカルは次の12本(★はリヴァイヴァル)。

『Forever Tango』
『1776』
Side Show』
『Triumph of Love』
『The Scarlet Pimpernel』
『The Lion King』
『Street Corner Symphony』
『Ragtime』
『The Capeman』
『The Sound of Music』
『Cabaret』
『High Society』

結果的に『The Lion King』『Cabaret』の年。そこに『Ragtime』が割って入った印象。バブリーな大型ミュージカルのピークでもあったと思う。
その象徴がライヴェント社で、大規模改装でフォード・センターを作り、そこで『Ragtime』をプロデュース。しかし、この年末に『Parade』に出資した後、翌年開幕の『Fosse』をプロデュースして運営を終わる。

ragtime3

個人的には、『Side Show』『The Capeman』といった興行的成功を収められなかった意欲作が強く印象に残った。

実は、このシーズンから旧サイトでトニー賞の予想を始めている。この稿と重なる部分が多いですが、話のタネに近々アップしてみます。

 

 

The Chronicle of Broadway and me #118(season summary)

19965月@ニューヨーク(その8)

例によって、トニー賞を目安にシーズンを振り返る。1995/1996年シーズンのトニー賞受賞者は次の通り。

●作品賞 『Rent』
●リヴァイヴァル作品賞 『The King And I』
●主演男優賞 ネイサン・レイン『A Funny Thing Happened On The Way To The Forum』
●主演女優賞 ドナ・マーフィ『The King And I』
●助演男優賞 ウィルソン・ジャーメイン・ヘレディア『Rent』
●助演女優賞 アン・デュケスネイ『Bring In ‘Da Noise, Bring In ‘Da Funk
●演出賞 ジョージ・C・ウルフ『Bring In ‘Da Noise, Bring In ‘Da Funk
●脚本賞 ジョナサン・ラーソン『Rent』
●楽曲賞 ジョナサン・ラーソン『Rent』
●振付賞 セイヴィアン・グローヴァー『Bring In ‘Da Noise, Bring In ‘Da Funk
●装置デザイン賞 ブライアン・トンプソン『The King And I』
●衣装デザイン賞 ロジャー・カーク『The King And I』
●照明デザイン賞 ジュールズ・フィッシャー&ペギー・アイゼンハウアー『Bring In ‘Da Noise, Bring In ‘Da Funk

『The King And I』の評価の高さが今でも不思議なのだが、いずれにしても、主演女優賞はダフネ・ルービン=ヴェガ(『Rent』)には行かずに『The King And I』のドナ・マーフィが獲ったわけで、そう考えると、ジュリー・アンドリューズがノミネーション辞退騒ぎを起こさなければ彼女が受賞する可能性もないではなかった、と思ったりもする(もう1人の候補は『Big』のクリスタ・ムーア)。主演男優賞も、アダム・パスカル(『Rent』)でもセイヴィアン・グローヴァーでもなくネイサン・レインだったわけだし(もう1人の候補は『The King And I』のルー・ダイアモンド・フィリップス)。
が、まあ、全体で言えば、1995/1996年が『Rent』『Noise/Funk』のシーズンだったというのは動かない。明らかな歴史の転換点だった。ちなみに、『Rent』からはイディナ・メンゼルも助演女優賞の候補になっていた。

このシーズン、個人的には、上演されたブロードウェイ・ミュージカルを初めて全て観ることができた記念すべき年だった。

 

The Chronicle of Broadway and me #111★(1996/May)

19965月@ニューヨーク(その1)

18度目のブロードウェイ(40歳)。

波乱の1996年春。当時の報告に「N.Y.劇場街、春の珍事」というタイトルを付けている。
トニー賞の締め切りギリギリ、4月に幕を開けた2つのミュージカルがブロードウェイの様相をガラリと変えた。オフからやって来た『Rent』『Bring In ‘Da Noise, Bring In ‘Da Funk』(略称:Noise/Funk)。
加えて、シティ・センターの“アンコールズ!”シリーズに『Chicago』が登場。
今振り返っても画期的な年だったと思う。

5月3日 20:00 State Fair@Music Box Theatre 239 W. 45th St.
5月4日 14:00 Rent@Nederlander Theatre 208 W. 41st St.
5月4日 20:00 Chicago@City Center 131 W. 55th St.
5月5日 14:00 Sweeney Todd@Goodspeed Opera House East Haddam, CT
5月5日 20:00 Mishima Montague@La Ma Ma etc. 74A E. 4th St.
5月6日 20:00 A Funny Thing Happened On The Way To The Forum@St. James Theatre 246 W. 44th St.
5月7日 20:00 Big@Shubert Theatre 225 W. 44th St.
5月8日 14:30 I Do! I Do!@Lamb’s Theatre 130 W. 44th St.
5月8日 20:00 The King And I@Neil Simon Theatre 250 W. 52nd St.
5月9日 20:00 Bring In ‘Da Noise, Bring In ‘Da Funk@Ambassador Theatre 215 W. 49th St.

再びコネティカットに遠征した『Sweeney Todd』、オフの『Chicago』『I Do! I Do!』、オフオフの『Mishima Montague』以外の6本がオンの新登場作。量的にも、この春はにぎやかだった。

ここで、#102に書いた『Victor/Victoria』も巻き込んでの大波乱というやつについて説明しておく(当時書いたものを若干編集)。

1995/1996年トニー賞の最大の事件は、授賞式の前に起こった。
ノミネーションの発表された2日後、5月8日水曜日のこと。『Victor/Victoria』のマティネー公演のカーテンコールに現れたジュリー・アンドリューズが、候補になったトニー賞の主演女優賞を辞退すると発表したのだ。
その理由をアンドリューズは、一緒にやってきた素晴らしい仲間たちを評価しないようなトニー賞を私1人が喜んで受けるわけにはいかないから、と言ったらしい。
Victor/Victoria』からのノミネーションが彼女の主演女優賞だけだったからだが、その背景には、『Big』『State Fair』など、これまでブロードウェイで活躍してきたプロデューサーの手がける大きなプロダクションが作品賞に全くノミネートされなかったということも、ムードとしてあったと思われる。つまり、世評が『Rent』『Noise/Funk』に集中したことへの反発というか……。
ま、そんなこんなで興味深いトニー賞になるわけだが、詳細は追って。

各作品の感想も次回以降に。

The Chronicle of Broadway and me #081★(1994/Sep.)(Show Boat)

19949月@ニューヨーク(その1)

12度目のブロードウェイ(38歳)。
「遅めの夏休みをとって」と当時の記録に書いてある。と同時に「端境期」とも書いてある。そうだろう、観た5本の内、3本が既に観た作品。それでも飛んだのは、『Show Boat』が観たかったから。

9月19日 20:00 Kiss Of The Spider Woman@Broadhurst Theatre 235 W. 44th St.
9月20日 20:00 Crazy For You@Shubert Theatre 225 W. 44th St.
9月21日 14:00 Jelly Roll!@47th Street Theatre 304 W. 47th St.
9月22日 20:00 Show Boat@Gershwin Theatre 222 W. 51st St.
9月23日 19:30 Blue Man Group “TUBES”@Astor Place Theatre 434 Lafayette St.

Show Boat』(9月22日20:00@Gershwin Theatre)は、トロントでの1992年10月17日からのトライアウト公演を成功させて前評判が高かった。なぜトロントかと言うと、『Kiss Of The Spider Woman』と同じカナダのライヴェントの製作だから。以下、当時の感想。

<話題作のプレヴューの初日ってのはいったいどういうもんだろう。ちょっとワクワクしながら『Show Boat』の劇場を訪れたのだが、プレヴューはプレヴュー、特別なことは何もなかった。ブロードウェイの劇場としては大きめのガーシュウィンだけに、席も2階の後ろの方は空いていた。
が、内容は素晴らしい。素材としての作品(楽曲・脚本)がよく、役者がよく、演出もいい。豪華でもあり、$75は決して高くない。
『Show Boat』の初演は1927年12月27日開幕。67年前。作曲ジョローム・カーン、作詞・脚本オスカー・ハマースタイン二世。ハマースタインがリチャード・ロジャーズと組んだ第1作『Oklahoma!』オープンの16年も前。製作は名高きフローレンツ・ジーグフェルド。まだフレッド・アステアがブロードウェイで現役だった時代のことだ。
にもかかわらず、このミュージカル、ちっとも古びていない。リヴァイヴァル上演中のロジャーズ&ハマースタイン第2作『Carousel』が、素晴らしい舞台を作り上げながらも佳き古典の枠を抜け出せなかったことを考えると、このリヴァイヴァル版『Show Boat』の現代にも生きる普遍的な魅力は驚異的と言っていい。

物語は1887年に始まる。
ミシシッピ河畔、ナッチェズの町に移動劇場であるショウ・ボート、コットン・ブロッサム号がやって来る。乗っているのは、座長であるアンディ船長、その妻パーシィ、年頃の娘マグノリア、マグノリアが姉のように慕う花形女優ジュリー、その夫スティーヴ、フランクとエリーのダンサー夫妻、それに水夫、下働きの黒人たち。公演を前に事件が起こる。ジュリーに横恋慕していた男が、ジュリーが白人と黒人の混血であることを密告。白人である夫との結婚を認めない州法に違反するとして、ジュリーとスティーヴは逮捕される。その穴埋めに役者としてスカウトされたのが賭博師ゲイロード。ジュリーとスティーヴの代わりに舞台に立ったマグノリアとゲイロードは客に受け、事なきを得る。公演を続ける内、マグノリアとゲイロードは真剣に愛し合うようになり、母に反対されながらも結婚する(第1幕終わり)。
2年後。マグノリアとゲイロードは新しい生活を求めてシカゴに行く。そして10年後。経済的にままならずゲイロードが稼ぎの旅に出て、後に残されたマグノリアは、フランク&エリー夫妻に再会、彼らの紹介でナイトクラブのオーディションを受ける。そのナイトクラブのスターは人生に疲れたジュリー。マグノリアの姿を見たジュリーは、声を掛けたい気持ちを抑え、マグノリアに職を与えるためにそっとナイトクラブを去る。その年の大晦日、妻と共にシカゴを訪れたアンディ船長は、偶然立ち寄ったナイトクラブでステージに立つマグノリアを観る。ステージで怯むマグノリアを、アンディは、往年の座長として、父として、励まし、再会を喜ぶ。さらに時は流れ、1927年(初演時の現在)のナッチェズ。ショウ・ボートのスターはシカゴで名を売ったマグノリア。娘のキムも美しく成長している。そこに戻ってきたゲイロード。離れても愛し続けていたマグノリアは、彼を優しく受け入れる(幕)。

一歩間違えば“お涙頂戴”になりかねないドラマに深みを与えているのは、登場人物たちの、熱気と、どこかさばさばとした人生観だ。
素晴らしいのは、アンディ船長のキャラクター。重さ(熱情)と軽さ(笑い)のバランスが絶妙。演じるジョン・マクマーティンは、愛すべき『Sweet Charity』のオリジナル・キャストでチャリティと婚約する青年を演じた人(映画版も)。間違いなく、彼の懐の深い演技がこの舞台を支えている。トニー賞主演男優賞ノミネート確実。
そのマクマーティンと並んで特筆すべきなのが、ダンサー夫妻の夫フランク役、ジョエル・ブラム。1991年7月、オフ・ブロードウェイのウエストサイド劇場でヒット中だった『And The World Goes ‘Round』で、今『Crazy For Youに出ているカレン・ジエンバと共に、あきれ返るほどエネルギッシュで見事なダンスを見せてくれた人だ。ここでも、ダンサーとして、さらにはコメディリリーフとして、その時と同様スーザン・ストロマンの振付の下で献身的な動きを見せる。それも、ヴォードヴィルの臭いをプンプンさせて、時にスラップスティックなまでに。いやあ興奮しました。助演男優賞決定!!
ジョエルの相方のドロシー・スタンリーも動き良く、愛嬌があり(ちょっと歳がいってて達者な動きで愛嬌があるというタイプに弱いです)、好演。この人、調べたら、『Jerome Robbins’ Broadway』でフェイス・プリンスがやってた役を引き継いでいて、『Kiss Of The Spider Woman』ではチタ・リヴェラの代役で控えていたという実力派。むべなるかな。
アンディ船長の妻パーシィ役のイレイン・ストリッチは、見せ場は少ないながらも、微妙な役どころを貫祿でこなしている。彼女の強烈な存在感は、オリジナル・キャスト・アルバム録音風景を収録したCompanyFollies On Concert等のヴィデオで観ることができる。
マグノリア役のレベッカ・ルーカー、ゲイロード役のマーク・ジャコビーは、ドラマの中心となる2人を過不足なく演じて快い。
ジュリーは裏の主役とでも言うべきキャラクターで、ショウストッパーになる可能性を秘めているが、演じたロネット・マッキーはそこまでは到らない。歌もうまく熱演ながら今一つ凄味が足りない気がした。もっとも、観客の多くはこの役の重要性をよく知っていて(と言うのも1951年の3度目の映画化ではエヴァ・ガードナーが演じ、実質的な主役扱い)、彼女の歌には盛んな拍手が送られたが。
ジュリーが裏の主役なら影の主役はジョー。演じるマイケル・ベルが素晴らしいバスで聴かせる「Ol’ Man River」は、過酷な生活を強いられる黒人たちの哀感を歌い上げるだけでなく、進行していく劇の背後で何度も歌われることにより、時の流れに翻弄される人生の無常感のようなものを醸し出す。
ベルと並んで、下働きの黒人女性クィーニー役のグレサ・ボストンも歌が素晴らしい。
ハロルド・プリンスの演出は、前述したように重厚な「Ol’ Man River」を底流にして人々の人生の悲哀を感動的に描きながら、一方でアンディ船長やフランク&エリー夫妻等のキャラクターの陽気さを生かして笑いを忘れない。名作にはいつも笑いがある。笑いのない舞台は硬直して小さく見える。プリンスは、大掛かりなセットや大人数の出演者も実に手際良くさばいてみせ、豪華でありながら軽快な感じのする舞台に仕上げている。セットの入れ替わりを垂れ幕で仕切る(その垂れ幕を上げ下ろしするのは舞台上の人物)という方法の選択も、何気ないようでかなり大胆な決断だ。
さて、スーザン・ストロマンの振付。ミュージカルとしては『Crazy For You』後の初仕事。大いに期待したが、かなり満足すべき内容。ジョエル・ブラムの軽さを生かしきったことは先に触れた。印象に残ったのは他に2場面。
第2幕第9景、シカゴのホテルの前。時代が1900年から1921年まで移り変わっていく。その様子を街往く人々のダンスのスタイルの変遷で見せるシーン。もう1つはフィナーレ前、マグノリアとゲイロードの娘キム(タミー・アマーソン)が取り巻きの青年たちと「Kim’s Charleston」を踊るかなり長いダンス・シーン。前者は振付にストロマンを得たればこそのアイディアだろうし、後者は明らかにスター振付家ストロマンのための見せ場で、まずは快調。暮れのパラマウント劇場での『Christmas Carol』が楽しみ。>

『Christmas Carol』は、マディソン・スクエア・ガーデン内のパラマウント劇場でホリデイ・シーズンに期間限定上演された、スーザン・ストロマン(振付)とマイク・オクレント(演出)の『Crazy For You』コンビによる新作。これを観るために暮れにも飛ぶことになる。

冒頭で、上演中だった『Carousel』と比較して、このリヴァイヴァル『Show Boat』の古びなさを誉めているが、2017年版の素晴らしい『Carousel』を観て、同作に対する評価も変わった。当たり前だが、演出や役者で作品は変わる。

役者のトニー賞予想の結果については、後日のお楽しみということで。

The Chronicle of Broadway and me #080(Crazy For You[6])

19945月@ニューヨーク(その11)

例によって、トニー賞を参考に1993/1994年シーズンを振り返るが、その前に『Crazy For You(5月9日20:00@Shubert Thatre)について簡単に。ポリー役2代目のカレン・ジエンバが登場。そのことによる変化について、当時の感想から。

<彼女(ジエンバ)は、この『Crazy For Youの振付家スーザン・ストロマンの出世作となったオフ・ブロードウェイ・ミュージカル『And The World Goes ‘Round』でドラマ・デスク賞を受賞している。その後、やはりストロマンが振付した1992年6月のカーネギー・ホールでのソンドハイム楽曲のコンサートに出演し、『Crazy For Youのツアー・カンパニーでポリー役を務めていることからして、ストロマンお気に入りのダンサーなのだと思われる。
そういうこともあってだろう、ジエンバの出演箇所の演出や振付がかなり変えられていた。オリジナル・キャストのジョディ・ベンソンも踊れないという訳ではなかったが、ジエンバのダンスの能力はボビー役のハリー・グローナーに匹敵すると思われる。そのジエンバのダンスをより生かす方向での改変だろう。>

さてトニー賞だが、当時、受賞結果と自分の評価の比較をしているので載せておく。左が受賞者/右が自分なりの評価。『Passion』に否定的で『She Loves Me』に好意的な姿勢が強すぎる(笑)。なお、助演男優賞、照明デザイン賞に個人的に挙げたバーク・モーゼズ、レイニアー・トゥィービークは、そもそも候補になっていない。

●作品賞 『Passion』/該当作なし
●リヴァイヴァル作品賞 『Carousel』『She Loves Me』
●主演男優賞 ボイド・ゲインズ『She Loves Me』/同
●主演女優賞 ドナ・マーフィ『Passion』/ジュディ・キューン『She Loves Me』
●助演男優賞 ジャロッド・エミック『Damn Yankees』/バーク・モーゼズ『Beauty And The Beast』
●助演女優賞 オードラ・アン・マクドナルド『Carousel』/同
●演出賞 ニコラス・ハイトナー『Carousel』/スコット・エリス Scott Ellis『She Loves Me』
●脚本賞 ジェイムズ・ラパイン『Passion』/該当作なし
●楽曲賞 スティーヴン・ソンドハイム『Passion』/該当作なし
●振付賞 ケネス・マクミラン『Carousel』/同
●装置デザイン賞 ボブ・クロウリィ『Carousel』/同
●衣装デザイン賞 アン・フード=ワード『Beauty And The Beast』/同
●照明デザイン賞 リック・フィッシャー『An Inspector Calls』(プレイ)/レイニアー・トウィービーク『Cyrano: The Musical』

ミュージカル作品賞の候補は、受賞作『Passion』以外は、『A Grand Night for Singing』『Beauty And The Beast』『Cyrano: The Musical』の3作。『A Grand Night for Singing』は10月13日プレヴュー開始、11月17日正式オープン、1月1日クローズ。タッチの差で観られなかった短命作品。ロジャーズ&ハマースタイン作品を歌い継ぐレヴューだったはず。『Cyrano: The Musical』は観ることはできたが、こちらも短命。早い話、このシーズンは、新作に関しては『Passion』『Beauty And The Beast』の一騎打ちだった。しかも、ニューヨーク演劇界の空気は圧倒的にアンチ・ディズニー。他に選択肢がない、という状況下での『Passion』の受賞ではあった。

上記『A Grand Night for Singing』の他に、このシーズンに登場して観られなかったミュージカルは次の3本(開幕順)。タイトルの後のカッコ内はプレヴュー開始日~クローズ日。

『Camelot』(6/17/1993~8/7/1993)
『Joseph And The Amazing Technicolor Dreamcoat』(10/26/1993~5/29/1994)
『The Red Shoes』(11/2/1993~12/19/1993)

この内、『Joseph And The Amazing Technicolor Dreamcoat』は観ようと思えば観られたが、前年秋にロンドンで観ていたので敬遠した。

ちなみに、やはり短命に終わった『My Fair Lady』について、クローズにまつわる噂話を当時書き留めているので載せておく。あくまで噂だが、ありそうな話ではある。

<今回の『My Fair Lady』のクローズは、看板だった主演リチャード・チェンバレンの降板、ピカリング役のパクストン・ホワイトヘッドの臨時主演による中継ぎ、新主演マイケル・モリアーティの登用、と、誰の目にも明らかなトラブルの末の事だったのだが、このチェンバレンの降板の裏に、実はプロデューサーとの確執があったと言われている。そして、その原因は、プロデューサーのあまりの採算第一主義にチェンバレンが怒ったからだとも。その報復に、プロデューサーは、トニー賞ノミネーションからチェンバレンを外すように働きかけたという噂もある。>

The Chronicle of Broadway and me #076(Damn Yankees)

19945月@ニューヨーク(その7

『Damn Yankees』(5月8日15:00@Marquis Theatre)の初演の開幕は1955年5月5日(この時代のミュージカルはプレヴュー開始日が必ずしもわかっていないらしく、正式オープン日しかデータとして出てこないことが多い)。リチャード・アドラー&ジェリー・ロスの楽曲作家(共同で作曲・作詞)コンビ以下、その前年開幕のヒット作『The Pajama Game』と、製作(フレデリック・ブリッソン、ロバート・E・グリフィス、ハロルド・プリンス)、脚本・演出(ジョージ・アボット)、振付(ボブ・フォッシー)等の主要スタッフがほぼ同じ(違うのは、前作で共同脚本のリチャード・ビッセルと共同演出のジェローム・ロビンズが不参加で、今作の脚本に原作小説を書いたダグラス・ウォロップが参加、といった辺り)。トニー賞で作品賞を含む7部門を受賞。前作同様のヒットとなった。
という歴史的事実より、当時の感想にも書いているが、個人的な認識としてはボブ・フォッシー振付ミュージカルの代表作の1つってことになる。これが最初にして今のところ唯一のブロードウェイ・リヴァイヴァル。以下、当時書いた「あらすじ」。そして感想。

<初老の男ジョーは万年最下位である野球チーム、ワシントン・セネターズの大ファン。セネターズを優勝させたいジョーは、モダンな悪魔アプルゲイトの誘いに応じて魂を売り、若き天才スラッガーに変身、愛する妻の元を去る。ジョーの活躍でセネターズは優勝候補となるが、アプルゲイトの計画は、最後の最後でセネターズを負けさせ、優勝させないことでセネターズ・ファンの心を踏みにじろうというもの。が、アプルゲイトがジョーを陥れるために呼んだ魔女ローラが、ジョーの真情に触れてジョーを助けたため、セネターズは優勝、ジョーの変身も解けて愛妻の元に帰る。>

<『Damn Yankees』 (邦題:くたばれ!ヤンキース)は、“ボブ・フォッシー(振付)とグエン・ヴァードン(主演=ローラ役)の”という冠付きでインプットされている。
1958年の映画版しか観ていないが(しかもヴィデオで)、フォッシー(出演!)とヴァードンが2人で踊るマンボ「Who’s Got The Pain?」にはシビレた(ドラマ場面はやや間延びしているが、ダンス場面は必見)。

その映画版のダンス・シーンが、どこまでオリジナルの舞台を再現しているのかはわからない。フォッシィの追悼TV番組でヴァードンが、この映画版を撮る時の話として、「(フォッシーは)映画と舞台が違うのはわかっていました。カットやアングルなど映画の専門知識もありましたから」と語っていたことからして、オリジナル舞台版とは違った振付になっている部分は少なからずあるに違いない。
が、少なくとも「Who’s Got The Pain?」に関しては、おそらくオリジナル版にかなり近いはず。というのも、設定が劇場の舞台でのダンスで、しかもアングルがほとんど正面からの引きだから。リヴァイヴァル版のこのナンバーでは、ロブ・マーシャル (『She Loves Me』『Kiss Of The Spider Woman』)の振付は映画版をほぼ踏襲している。フォッシーに最大限の敬意を払ってのことだと思われる。とは言え、映画版では最後まで2人で踊るこのナンバー、舞台では後半に男性ダンサーをどんどん加えてゆき、単なるコピーになってしまうことも避けている。
他のダンス・ナンバーはどうか。
映画版と直に比較できるのは、他には2つ。威勢のいい女性記者グローリアの鼓舞を受けてセネターズの選手たちがグラウンドでアクロバティックに踊る「Shoeless Joe From Hannibal, Mo.」と、ジョーを誘惑するためにロッカールームでローラが踊るセクシャルな「Whatever Lola Wants (Lola Gets)」。映画版と比較する限り、どちらも今回はフォッシー的な要素を排している。つまり、あの“不自然な身体の動きの魅力”がなくなっている。振付はフォッシーじゃないんだから、と思って観ても、何だかあっさりしすぎて物足りない。それでも前者は運動量の多さと迫力でオオッと思わせるが、後者はヴァードンの見せ場だっただけに、どうしても“違う”感じが残った。
映画版にはないダンス・ナンバーは、TVの野球中継に夢中の夫+それを嘆く妻5組がソファを間に踊る「Six Months Out Of Every Year」(映画版では、歌はあるがダンスがない)、セネターズの選手たちのダメプレイ振りをコミカルに見せる「Blooper Ballet」、ローラとアプルゲイトがカンカン帽とステッキで踊るヴォードヴィル的な「Two Lost Souls」(映画とは全く別物になっていた→後述)。
「Six Months~」は開幕直後の小手調べみたいなもので、どうということもないが、パントマイム的な動きでギャグ(切れはイマイチ)を盛り込んだ「Blooper Ballet」はちょっと面白い。ただ、このナンバーは、映画版の「Shoeless Joe~」の導入部の動きを拡大したと言えなくもない。
「Two Lost Souls」のダンスは、例えて言えば、映画『The Band Wagon』のデュオ・ダンス「I Guess I’ll Have To Change My Plan」に似ている。実はこのナンバー、映画版でもオリジナル版でもローラとジョーがアンサンブルと一緒に酒場で踊るというもので、少なくとも映画版では、フォッシー独特の頽廃的ムードを漂わせた振付による大きな見せ場になっていた。それをローラとアプルゲイトのデュオとして全く別の振付で踊らせたのは、ニューヨーク・タイムズによれば、ニューワースとヴィクター・ガーバー(アプルゲイト役)がこのショウのスターだからじゃないか、というのだが、一方で、あまりにフォッシー的イメージの強いダンス・シーンをあえて避けたようにも思える。

その主演の2人については、萩原流行を大きくしたような感じのヴィクター・ガーバーが、悪魔を飄々と演じてよかった。
一方のビビ・ニューワースは、ロンドン版の『Kiss Of The Spider Woman』でチタ・リヴェラの後を受けて蜘蛛女を演じた人で、フォッシー自身によるリヴァイヴァル版『Sweet Charity』で1985/1986年のトニー賞助演女優賞を得ている。この作品でも熱演しているが、マドンナを意識した役作り(誰も言ってないけど、たぶんそう)がうまく噛み合っていないせいか、キャラクターにふくらみがなく、魅力に乏しかった。
脇はがっちり。監督役ディック・ラテッサ(『The Will Rogers Follies』の初代父親)、記者役ヴィッキ・ルイス、ジョーの妻リンダ・スティーヴンス、オールド・ジョー役デニス・ケリー、そして純真なヤング・ジョー役ジャロッド・エミック、みんな柄にはまって好演だった。セネターズの選手たちも型通りだがキャラクターができていた。

『Passion』の翌日に観たダンスの豊富なミュージカル・コメディだったからか、細かく見ていけば不満もいっぱいあるのだが、それでも楽しんで観られた。とはいえ、やっぱりオリジナルを観たいよなあ、と思わせるというのは、リヴァイヴァルとしては成功とは言えまい。
それと、このマーキーズという劇場、観光客専用という感じの薄っぺらい豪華さとよそよそしさがあって、いつも心から楽しめない。この劇場での上演は、それだけで1割方マイナス・イメージになる気がする。>

映画版で観たボブ・フォッシー振付に対する思い入れが強すぎて評価が厳しくなっている面がないではないが、後に『The Full Monty』『Hairspray』で当てるジャック・オブライエンの、脚本手直しを含む演出もあまりうまくいっていなかったと思われる。ビビ・ニューワースの魅力も生かしきれていなかったし。しかし、マドンナを意識した役作りって推理は、ホントのところどうなんだろ(笑)。
「Two Lost Souls」のオリジナルの振付は、2008年のシティ・センター「アンコールズ!」版のこの映像が近いと思われる。ジェイン・クラコウスキーのローラが魅力全開。観たかったな。
ちなみに、「Who’s Got The Pain?」の映画版はこちらで観られる。ただただ素晴らしい。