[Tony2019] トニー賞予想結果と感想

旧サイトで毎年やっていたトニー賞受賞予想。その結果と感想です。
ここで旧サイトに倣って言えば……トニー賞は興行成績に直接影響が出るのでプロダクション側にとっては重要だけれども、選考には政治的判断による偏りもあるので、観客である我々にとっては“話のタネ”に過ぎません。必ずしも作品選びの基準にはならないことも、心に留めておいてください。
……てなことです。予想の根拠はこちらに。

現地時間6月9日夜に発表された2018/2019年シーズンのミュージカル関係トニー賞受賞者は次の通り(予想時のマークで、そのニュアンスは、本命=審査員が投票しそう、対抗=案外これが獲るかも/獲ってくれないかな、といった感じ)。

[作品賞]
Ain’t Too Proud
Beetlejuice
Hadestown 受賞
The Prom 
Tootsie
[リヴァイヴァル作品賞]
Kiss Me, Kate 
Oklahoma! 受賞
[主演女優賞]
Stephanie J. Block The Cher Show 受賞
Caitlin Kinnunen The Prom
Beth Leavel The Prom 
Eva Noblezada Hadestown
Kelli O’Hara Kiss Me, Kate
[主演男優賞]
Brooks Ashmanskas The Prom 
Derrick Baskin Ain’t Too Proud
Alex Brightman Beetlejuice
Damon Daunno Oklahoma!
Santino Fontana Tootsie 受賞
[助演女優賞]
Lilli Cooper Tootsie
Amber Gray Hadestown 
Sarah Stiles Tootsie
Ali Stroker Oklahoma! 受賞
Mary Testa Oklahoma! 
[助演男優賞]
André De Shields Hadestown 受賞
Andy Grotelueschen Tootsie
Patrick Page Hadestown
Jeremy Pope Ain’t Too Proud
Ephraim Sykes Ain’t Too Proud
[楽曲賞]
Joe Iconis Be More Chill
Eddie Perfect Beetlejuice
Anaïs Mitchell Hadestown 受賞
Music/Matthew Sklar Lyrics/Chad Beguelin The Prom 
Music/Adam Guettel To Kill A Mocking Bird(play)
David Yazbek Tootsie
[編曲賞]
Michael Chorney and Todd Sickafoose Hadestown 受賞
Simon Hale Tootsie
Larry Hochman Kiss Me, Kate
Daniel Kluger Oklahoma! 
Harold Wheeler Ain’t Too Proud
[脚本賞]
Dominique Morisseau Ain’t Too Proud
Scott Brown & Anthony King Beetlejuice
Anaïs Mitchell Hadestown
Bob Martin & Chad Beguelin The Prom
Robert Horn Tootsie 受賞
[演出賞]
Rachel Chavkin Hadestown 受賞
Scott Ellis Tootsie
Daniel Fish Oklahoma!
Des McAnuff Ain’t Too Proud
Casey Nicholaw The Prom
[振付賞]
Camille A. Brown Choir Boy(play)
Warren Carlyle Kiss Me, Kate 
Denis Jones Tootsie
David Neumann Hadestown
Sergio Trujillo Ain’t Too Proud 受賞
[装置デザイン賞]
Robert Brill and Peter Nigrini Ain’t Too Proud
Peter England King Kong
Rachel Hauck Hadestown 受賞
Laura Jellinek Oklahoma!
David Korins Beetlejuice 
[照明デザイン賞]
Kevin Adams The Cher Show
Howell Binkley Ain’t Too Proud
Bradley King Hadestown 受賞
Peter Mumford King Kong
Kenneth Posner and Peter Nigrini Beetlejuice
[衣装デザイン賞]
Michael Krass Hadestown 
William Ivey Long Beetlejuice
William Ivey Long Tootsie
Bob Mackie The Cher Show 受賞
Paul Tazewell Ain’t Too Proud
[音響デザイン賞]
Peter Hylenski Beetlejuice
Peter Hylenski King Kong
Steve Canyon Kennedy Ain’t Too Proud
Drew Levy Oklahoma! 
Nevin Steinberg and Jessica Paz Hadestown 受賞

「『Hadestown』が勢いで大量受賞するのでは」という推測通りの結果に。
ノミネーションの数の上で対抗の存在だった『Ain’t Too Proud』も最大のウリである振付賞で一応の受賞を果たし、問題作『Oklahoma!』も、リヴァイヴァル作品賞に加え、助演女優賞も受賞。
残念だったのは、「個人的には、娯楽性、時代性、志の高さ、完成度で今シーズンの最高作」と評価した『The Prom』が無冠に終わったこと。楽曲、脚本、主演男優、主演女優、どれか1つでも獲ってほしかった。早めに閉まる可能性大。その前に、ぜひご覧ください。
以下、各賞の感想です。

[作品賞]は、「春に登場して印象も新鮮な」と予想に書いた、本命『Hadestown』にまっすぐ。『The Prom』は、ドラマ・デスクで我慢するしかない、という皮肉な結果に。

[リヴァイヴァル作品賞]は、2作品の争いだったが、問題作『Oklahoma!』が獲った意味は大きい。今後も挑戦的なリヴァイヴァルが観てみたい。もちろん、時代感覚さえ持ち合わせていればオーソドックスなリヴァイヴァルも歓迎です。『Kiss Me, Kate』もいい作品。

[主演女優賞]については、「『Beetlejuice』のソフィア・アン・カルーソがノミネーションから外れたこと」が意外、と予想で書いたが、受賞はさらに意外。ステファニー・J・ブロックは文句なくうまいが、まさか『The Cher Show』で獲るとは。
『The Prom』の2人は実に残念。

[主演男優賞]も、残念ながら『The Prom』のアシュマンスカスには行かずに、「スターになりつつある感じの」と予想で書いた『Tootsie』のフォンタナが獲った。

[助演女優賞]『Oklahoma!』を役者単位で評価するのはむずかしい」……と書いておいてメアリー・テスタを対抗で推したものの、獲ったのは『Oklahoma!』のもう1人、アリ・ストローカーでした。彼女のブロードウェイ・デビューは2015年のリヴァイヴァル版Spring Awakening

[助演男優賞]は、対抗に推した『Ain’t Too Proud』のデイヴィッド・ラフィン役エフライム・サイクスに行かずに残念だが、「『Hadestown』のヴェテランどちらかが獲る気配濃厚」だったから致し方ない。獲ったのは名前を挙げなかったアンドレ・デ・シールズの方だったが、もちろん彼も素晴らしい。

[楽曲賞]は、ブロードウェイ初挑戦のアネイス・ミッチェル『Hadestown』がまっすぐ獲った。『The Prom』は、ここも残念。
予想を書いた後に観た『To Kill A Mocking Bird』の楽曲はとてもよかったが、あえて候補にしなくても、ってくらい控えめなものだった。

[編曲賞]は、順当に『Hadestown』に。大胆なアメリカーナ・アレンジの『Oklahoma!』も、隠れ推薦のカッコいい『Ain’t Too Proud』も、残念。

[脚本賞]は、オリジナルではない『Tootsie』が受賞。「映画版とはひと味違ったミュージカルならではの仕様に仕立てて現代性も加味した」ところが評価された、ということでよろしいでしょうか。『Hadestown』の脚本は、やはり「若干弱い」ということで、こちらもよろしいでしょうか。
The Prom』の獲りどころだったのだが、残念。でも、素晴らしいのでお観逃しなく。

[演出賞]については、予想で「ここが今シーズンのトニー賞の分かれ目」と書いたが、結果、『Hadestown』レイチェル・チャヴキンに行った。で、『Oklahoma!』がリヴァイヴァル作品賞ってことで、うまくバランスを取った形。

[振付賞]は、『Ain’t Too Proud』が見事に獲った。エフライム・サイクスはじめ、キャストのがんばりが報われた感じ。

以下、[各デザイン賞]は、ほぼ予想通り。
編曲賞同様『Oklahoma!』は音響デザイン賞も逃した。現時点のブロードウェイの音楽観では、この辺りが限界か。でも、まあ獲ったのが『Hadestown』だから、いい線は行っている。今後が楽しみ。

上演中の作品の観どころをまとめた記事がこちらにアップされています。

[Tony2019] The Prom[2]@Longacre Theatre(220 W. 48th St.) 2019/05/31 20:00

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トニー賞発表を前に、主演賞ノミネーションの3人を観ようと半年ぶり2度目の観劇。残念ながら、ブルックス・アシュマンスカスが休演だったが、代役(いつもはエージェント役のジョシュ・レイモン)も悪くなく、楽しんだ。でもって、けっこう泣かされた。細かいところまで、よくできてます。

初見でMEN’S Precious WEB版に書いた記事は、もう半年前(2018年11月29日公開)のものなので、ブログ仕様にして、こちらに転載しておく。
見出しは「一筋縄ではいかないアメリカの多様な価値観を笑いにくるんで掘り下げる『The Prom』」

『The Prom』には、キング・コングとかシェールといった、わかりやすい売り目がないので観光客には見過ごされそう。しかしながら、3作の中でいちばん面白いミュージカル。

話の中心は、ずばりLGBTQ問題。インディアナの小さな町に住むハイスクールの女子生徒が、レズビアンであることをカミングアウトしたためにプロム(卒業記念のパーティ)への出席を拒まれている、という事件をめぐって展開する。
の設定、ロンドンでヒット中の、ドラッグ・クイーンに憧れる少年が主人公のミュージカル『Everybody’s Talking About Jamie』と似ているが、『The Prom』がユニークなのは、ここにニューヨーク演劇界の住人たちを持ってきて、いきなり話をかき回させるところ。初日を酷評されたブロードウェイ・ミュージカルの役者たちが、名誉挽回の話題作りのために、その女子生徒の応援にインディアナまで駆けつけるのだ

ンディアナ=田舎のモラル旧守派(トランプ的)VS.ニューヨーク=都会の進歩派(反トランプ)というホットな対立が大いに注目を浴びるだろう、ヘイト騒動に巻き込まれた少女からも感謝されるだろう、というのが演劇人たちの皮算用。が、もちろん、話はそう簡単には進まない。スモール・タウンの面倒くさい人間関係や若者との意識のすれ違いの中で右往左往する内に、善意から発したとはいえ演劇人たちの打算もバレてしまい……ということで二転三転、ハラハラさせてくれる。

この作品が優れているのは、作者たちが“反トランプ”を標榜する作中の演劇人に自分たちの姿を投影した上で、それを戯画化してみせているところ。そうやって屈折した笑いにくるむことで、簡単には一枚岩にならないアメリカの様々な事情を描きつつ、舞台上のハッピーエンドの向こうに、地域や世代を超えた解決の道を探ろうとしているようにもみえる。見かけによらない意欲作だ。

ところで、この作品には、2006年にブロードウェイに登場したマニアックな楽屋落ちミュージカル『The Drowsy Chaperone』の関係者が集っている。共同脚本のボブ・マーティン、演出・振付のケイシー・ニコロウ、そして、主演女優のベス・リーヴェル。なので、同作ほどではないが、ミュージカル・ファン向けの細かいギャグがちりばめられている。そのあたりも、その筋の方々には楽しみなはず。

ちなみに、楽曲作者はマシュー・スクラー(作曲)とチャド・ベグリン(作詞)の『The Wedding Singer』『Elf: The Musical』コンビで、ベグリンはボブ・マーティンと共同で脚本も担当している。>

6月2日発表のドラマ・デスクでミュージカル作品賞を受賞。トニー賞でのライヴァル『Hadestown』が2016年のオフ版で1度候補になっているので(受賞は逃す)、今回はノミネートされていないということもあるが、それでもめでたい。まあ、この作品の中ではドラマ・デスクはあまり価値がないことの象徴になっていますが(笑)。
2018/2019年シーズンのトニー賞受賞予想はこちら

観直して、『The Drowsy Chaperone』ではマニアック過ぎたミュージカル愛を丁寧に普遍化させて、うまくドラマに溶かし込んでいる辺りも、この作品の魅力だと改めて思った。
ちなみに、『The Drowsy Chaperone』『The Wedding Singer』は同じシーズンにブロードウェイに登場しているので、まとめた感想を近々アップします。

ところで、ここでのベス・リーヴェルってライザ・ミネリのイメージだと思っているのだが、どうだろう。もともと演技の色合いが似ているが。

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[Tony2019] トニー賞受賞予想

旧サイトで毎年やっていたトニー賞受賞予想です。授賞式1か月前になったので公開します。
その旧サイトに倣って言えば……トニー賞は興行成績に直接影響が出るのでプロダクション側にとっては重要だけれども、選考には政治的判断による偏りもあるので、観客である我々にとっては“話のタネ”に過ぎません。必ずしも作品選びの基準にはならないことも、心に留めておいてください。
……という訳で、授賞式(現地時間6月9日夜)までの“話のタネ”としてお楽しみください。

現地時間4月30日朝に発表された2018/2019年シーズンのミュージカル関係トニー賞候補と受賞予想は次の通り(マークのニュアンスは、本命=審査員が投票しそう、対抗=案外これが獲るかも/獲ってくれないかな、といった感じ)。

[作品賞]
Ain’t Too Proud
Beetlejuice
Hadestown 
The Prom 
Tootsie
[リヴァイヴァル作品賞]
Kiss Me, Kate 
Oklahoma!
[主演女優賞]
Stephanie J. Block The Cher Show
Caitlin Kinnunen The Prom
Beth Leavel The Prom 
Eva Noblezada Hadestown
Kelli O’Hara Kiss Me, Kate
[主演男優賞]
Brooks Ashmanskas The Prom 
Derrick Baskin Ain’t Too Proud
Alex Brightman Beetlejuice
Damon Daunno Oklahoma!
Santino Fontana Tootsie 
[助演女優賞]
Lilli Cooper Tootsie
Amber Gray Hadestown 
Sarah Stiles Tootsie
Ali Stroker Oklahoma!
Mary Testa Oklahoma! 
[助演男優賞]
André De Shields Hadestown
Andy Grotelueschen Tootsie
Patrick Page Hadestown
Jeremy Pope Ain’t Too Proud
Ephraim Sykes Ain’t Too Proud
[楽曲賞]
Joe Iconis Be More Chill
Eddie Perfect Beetlejuice
Anaïs Mitchell Hadestown 
Music/Matthew Sklar Lyrics/Chad Beguelin The Prom 
Music/Adam Guettel To Kill A Mocking Bird(play)
David Yazbek Tootsie
[編曲賞]
Michael Chorney and Todd Sickafoose Hadestown 
Simon Hale Tootsie
Larry Hochman Kiss Me, Kate
Daniel Kluger Oklahoma! 
Harold Wheeler Ain’t Too Proud
[脚本賞]
Dominique Morisseau Ain’t Too Proud
Scott Brown & Anthony King Beetlejuice
Anaïs Mitchell Hadestown
Bob Martin & Chad Beguelin The Prom
Robert Horn Tootsie 
[演出賞]
Rachel Chavkin Hadestown
Scott Ellis Tootsie
Daniel Fish Oklahoma!
Des McAnuff Ain’t Too Proud
Casey Nicholaw The Prom
[振付賞]
Camille A. Brown Choir Boy(play)
Warren Carlyle Kiss Me, Kate 
Denis Jones Tootsie
David Neumann Hadestown
Sergio Trujillo Ain’t Too Proud 
[装置デザイン賞]
Robert Brill and Peter Nigrini Ain’t Too Proud
Peter England King Kong
Rachel Hauck Hadestown 
Laura Jellinek Oklahoma!
David Korins Beetlejuice 
[照明デザイン賞]
Kevin Adams The Cher Show
Howell Binkley Ain’t Too Proud
Bradley King Hadestown
Peter Mumford King Kong
Kenneth Posner and Peter Nigrini Beetlejuice
[衣装デザイン賞]
Michael Krass Hadestown 
William Ivey Long Beetlejuice
William Ivey Long Tootsie
Bob Mackie The Cher Show
Paul Tazewell Ain’t Too Proud
[音響デザイン賞]
Peter Hylenski Beetlejuice
Peter Hylenski King Kong
Steve Canyon Kennedy Ain’t Too Proud
Drew Levy Oklahoma! 
Nevin Steinberg and Jessica Paz Hadestown

今シーズンはナショナル・シアター経由で箔を付けて戻ってきた『Hadestown』が勢いで大量受賞するのでは、という推測を元にした予想。なので大半のカテゴリーで同作を本命にした。
考えどころは対抗をどうするか、なのだが、むずかしいのが『Ain’t Too Proud』『Oklahoma!』に対する投票者の評価。
『Ain’t Too Proud』はとてもよくできているし、面白いのだが、『Jersey Boys』の二番煎じと見られる可能性も高く、どこまで評価されるかが気になるところ。『Oklahoma!』は、こちらにも書いたが、初演の価値観をひっくり返す解釈を投票者が称賛するのかしないのか。
個人的には、娯楽性、時代性、志の高さ、完成度で今シーズンの最高作は『The Prom』だと考えているのだが……。
といった辺りを判断の軸に、各カテゴリーの予想の根拠を並べてみる。

[作品賞]のポイントは、『Ain’t Too Proud』には行かないんじゃないか、という読み。理由は、前述したように『Jersey Boys』の二番煎じのように見えるから。その『Jersey Boys』の2005/2006年シーズンのミュージカル作品賞受賞自体が、既成楽曲で作られたジュークボックス・ミュージカルだっただけに異例。オリジナル楽曲を持たない作品賞受賞作ということでは1977/1978年シーズンの『Ain’t Misbehavin’』や1999/2000年シーズンの『Contact』等、前例がないわけではないが、同じタイプの(演出家も同じ)特定ミュージシャンの伝記的ミュージカルを選ぶ2度目の“異例”はない気がする。
で、本命が春に登場して印象も新鮮な『Hadestown』。対抗が高い志と娯楽性を併せ持つ『The Prom』『Beetlejuice』『Tootsie』は元が映画な分、割り引かれる可能性大。

[リヴァイヴァル作品賞]は、前述の通り『Oklahoma!』に対する評価しだいだが、評価されると判断して本命に。もちろん『Kiss Me, Kate』でも問題ない。

[主演女優賞]で意外だったのは、『Beetlejuice』のソフィア・アン・カルーソがノミネーションから外れたこと。トニー賞好みな気がしたんだが。
ともあれ、ここに限っては『Hadestown』をハズして『The Prom』の2人を推す。自然体のケイトリン・キヌナン、思い切り芝居がかったベス・リーヴェル、どちらかに獲ってほしい。

[主演男優賞]に回った(って間違いなく主演なんだけど経歴的に助演の印象が強い)ブルックス・アシュマンスカスは逆にチャンス。助演の方が競争が熾烈そうだから。この役で獲らせてあげたい。が、スターになりつつある感じのフォンタナに行く気も。
助演女優賞も含め、『Oklahoma!』を役者単位で評価するのはむずかしい。獲るんなら演出賞と一緒にまとめてか。

[助演女優賞]……と書いておいて『Oklahoma!』のメアリー・テスタを対抗にしているのは、豊富な経歴、かつ、いつも印象的なのに、トニー賞はノミネーションそのものがまだ3度目で受賞はナシ、ってのが不思議だから。本命は『Hadestown』で。

[助演男優賞]『Hadestown』のヴェテランどちらかが獲る気配濃厚。で、どちらかと言えば、という話で、より強烈な印象のパトリック・ペイジに代表してもらった。個人的には、歌にダンスに大活躍のデイヴィッド・ラフィン役エフライム・サイクスにあげたい。

[楽曲賞]は、ブロードウェイ初挑戦のアネイス・ミッチェルにまっすぐ行くか、ブロードウェイ歴10年を超える(コンビを組んで25年だそう)マシュー・スクラー&チャド・ベゲリンに行くのか。ミュージカル楽曲の技としては後者に一日の長がある。『To Kill A Mocking Bird』については授賞式前に確認してくる予定。

[編曲賞]はむずかしい。『Oklahoma!』の大胆なアメリカーナ・アレンジが評価されると面白いのだが。で、一応、本命は『Hadestown』にしておくが、実は『Ain’t Too Proud』の、ほとんど途切れることのない、物語を乗せて流れていく巧みな編曲に感心している。

[脚本賞]は、全くのオリジナル2作、『Hadestown』『The Prom』の争いと見るべきなのだろうが、『Hadestown』の脚本についてはこちらに「若干弱い」と書いたので、ここは潔くハズして、映画版とはひと味違ったミュージカルならではの仕様に仕立てて現代性も加味した『Tootsie』を推しておく。

[演出賞]は、『Natasha, Pierre & The Great Comet Of 1812』で獲り損ねたレイチェル・チャヴキンの『Hadestown』に対する多大な貢献か、『Oklahoma!』を大問題作に仕上げたダニエル・フィッシュか。ここが今シーズンのトニー賞の分かれ目。これ以外って選択肢はあるのか?

[振付賞]は、『Choir Boy』が未見だが、すんなり、普通に素晴らしかった『Kiss Me, Kate』でいいのでは? 対抗がカッコいい『Ain’t Too Proud』で。

以下、[各デザイン賞]は、もっぱら『Hadestown』を本命に、ご覧の通りに予想したが、ポイントは音響デザイン賞。編曲賞同様『Oklahoma!』の大胆な音響に対する評価がどっちに振れるのか興味津々。なお、『King Kong』に関しては特別賞がコングを作って操ったソニー・ティルダー・アンド・クリーチャー・テクノロジー・カンパニーに贈られているので、その他の賞は獲らないのではないかと考えた。

2018/2019シーズンのトニー賞授賞式は現地時間6月9日の20時からです。

上演中の作品の観どころをまとめた記事がこちらにアップされています。

(追記)トニー賞の結果と感想はこちら

[Tony2019] トニー賞ノミネーションをどう見る?

Web

トニー賞ノミネーションの発表を受けて主要候補作の概略をまとめた記事がこちらにアップされました。

以下、参考までに、現地時間4月30日朝に発表された2018/2019年シーズンのミュージカル関連部門作品別トニー賞候補数を挙げておきます。タイトルに該当ページへのリンクがあります。

Hadestown – 14
Ain’t Too Proud – 12
Tootsie – 11
Beetlejuice – 8
Oklahoma! – 8
The Prom – 7
Kiss Me, Kate – 4
The Cher Show – 3
King Kong – 3
Be More Chill – 1
Choir Boy(play)- 1
To Kill a Mockingbird(play) – 1

『Choir Boy』『To Kill a Mockingbird』はプレイですが、前者が振付賞で、後者が楽曲賞で候補になっています。なお、Gettin’ The Band Back TogetherHead Over HeelsPretty Womanは候補になりませんでした。

(追記)こちらに受賞予想をアップしました。