SPY×FAMILY@帝国劇場 2023/03/17 13:00

 『SPY×FAMILY』は、G2の脚本・演出なので、まとまってはいるだろうと思ってはいたし、その点は予想通りだった。しかしなあ、明らかに続編ありきの内容の薄さはどうなんだろう。第2幕は水増し感をぬぐえなかったのだが。

 実は、それ以前に、作品の持つ世界観が素直に受け入れがたい、というのもある。
 それぞれに孤独な3人の主人公が、シスジェンダー男=スパイ、シスジェンダー女=殺し屋、シスジェンダー女=幼児/エスパー、という設定なのだが、それ自体の荒唐無稽さや、その3人がスパイの任務遂行のために疑似家族となることのご都合主義は飲み込んだとしても、母親役が殺し屋というのは、ことさらひねくれているわけでもない性質のコメディという枠組みの中では、やはり引っかかる。一応、幼い弟を養うために必要に迫られて始めた殺し屋稼業、という動機付けがなされてはいるが、はっきり言って取って付けた感は免れない。そういう案件が他にも散見され……。
 早い話、フィクションを支える、なにかしら真実味のある作り手側の核のようなものが感じられず、どこまでも作り物としてしか観ていられない、という、全く迫ってくるところのない舞台だった。

 歌の力が弱いと感じる役者が見受けられたことや、クワトロ・キャスト(4人)が交替で登場するらしい幼児/エスパーの子役の発音が聴き取りにくいのも気になった(演技はちゃんとしてましたが)。
 作曲/かみむら周平×作詞/G2の楽曲は悪くなかった。
 せっかくのオリジナル・ミュージカルなのに、出発点を間違えている気がする。もったいない。

 観た回の主演3人は、森崎ウィン、唯月ふうか、池村碧彩。
 朝夏まなとが脇役で出てきたのに驚いた。

 ご承知の通り、原作は遠藤達哉の同名コミック。

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