The Chronicle of Broadway and me #454(Seven Guitars)

2006年9月@ニューヨーク(その3)

 『Seven Guitars』(9月19日19:00@Peter Norton Space)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<1996年春にブロードウェイに登場し、その年のトニー賞にも多部門でノミネートされた(助演男優賞で受賞)プレイだが、今回はミュージカル的趣きを加えての登場。とはいえ、ほとんどストレート・プレイだったが。
 1948年のピッツバーグで暮らす黒人一家とその周辺の人たちのドラマは、時折陽気なエネルギーも弾けるが、全体には厳しいトーンで覆われる。殊に幕切れ前のエピソードはショッキング。
 細部まで作りこんだ不動のセットが素晴らしい。>

 オーガスト・ウィルソンの作品で、初演は1995年シカゴのグッドマン劇場。翌年ブロードウェイ入りしてウォルター・カー劇場で幕を開け、半年弱の公演。トニー賞では、プレイの作品賞、助演女優賞、助演男優賞(2人)、演出賞、装置デザイン賞、照明デザイン賞で候補になり、上記のように助演男優賞を受賞。ピュリッツァー賞の候補にもなっている。
 「ピッツバーグ・サイクル」と命名された、20世紀を黒人の視点で俯瞰するウィルソンの10作品の1つ。

 主人公のフロイドは黒人ブルーズ・シンガー・ソングライター。モデルになっているのは、エルヴィス・プレスリーのデビュー曲として知られる「That’s All Right」の作者アーサー・ビッグボーイ・クルーダップだという。
 上記感想にある「幕切れ前のエピソード」とは、フロイドが仲間から喉を切られて殺されることを指す。そのフロイドの葬儀が終わったところから始まり、彼が死ぬまでの経緯がフラッシュバック的に語られていく、という、ある種のミステリー仕立て。
 第二次世界大戦後のアメリカ都市部の繁栄。そこから取り残されるブラック・コミュニティ。そんな中にあって、どこまでも不運なフロイドは、ようやく実現しそうになったレコーディングのチャンスを失った上に、突然の死を迎える。

 フレッド役ランス・レディック。フレッドを殺すことになるヘドリー役はチャールズ・ウェルドン。
 演出はブロードウェイ版同様、ルーベン・サンチャゴ=ハドソン。楽曲ビル・シムズ・ジュニア。感想に「素晴らしい」と書いた装置はリチャード・フーヴァー。

[追記]

 こちらに、「いろいろあった」と書いたが、その中身は主に『Seven Guitars』のチケットに関することなので、ここに書いておくと……。

 到着日に、週末までの限定公演だったこの作品のチケットを買いに劇場に行ってみると、その日のみならず全公演ソールドアウトで、その日もキャンセル待ちの列ができていた。で、チャレンジすることにして14~15人目ながら列に並んだのだが、あと3~4人のところまで来て開演の8時を迎え、アウト。5ブロック離れた次候補作品の劇場に走った。
 翌火曜日。この日の『Seven Guitars』は、通常8時からの夜公演が例外的に7時からだったので、もしキャンセル待ちがダメでも他の劇場の8時からの公演に間に合う、という算段で再びチャレンジ。結果から言えば、無事に観られたわけだが、それでも、開演3時間以上前に行ったのにキャンセル待ちの列はできていて、4人目だった。驚いた。
 という話。
 その他、NYMFのチケットに関する話もあるのだが、回りくどいので省略します(笑)。

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