The Chronicle of Broadway and me #1023(Darling Grenadine)

2020年2月@ニューヨーク(その5)

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 『Darling Grenadine』(2月25日19:00@Black Box Theatre/Harold And Miriam Steinberg Center For Theatre)について書いた観劇当時の感想(<>内)。

<内容をひと言で言うと、ニューヨーク版『La La Land』。ピアノ弾きと女優のマンハッタン・ラヴ・ストーリーで、2人が出会って盛り上がるが必ずしもうまくいかない、という流れ。苦い、が、後味は悪くない。ただし、『La La Land』と違ってダンスはほとんどない。

 ダニエル・ザイチックの楽曲がいい。設定に合わせてか、ほどよくジャジーで、ほどよくポップ。ピアノ、ギター/チェロ、ベースというバンド編成も作風に合っている。劇中劇では、オーソドックスなミュージカル調(オペレッタ的な)の楽曲も聴かせる。
 その劇中劇という仕掛けが面白い。ヒロインの女優が出ている舞台なのだが、その場面での歌の内容がメインのラヴ・ストーリーとシンクロして、二重の意味が出てきたりする。

 スタジオ型劇場の四方を少し湾曲したボードで囲い、その内側に折り畳み椅子を二重に並べてある。小さな円形劇場になっているわけだ。人物やセットは、ボードとボードの間にできた四方の隙間から出入りする。
 ボードの上半分が擦りガラス状になっていて、そこに白い線による手書きイラスト的な画像がプロジェクションで映し出される。その内容がアイディア豊富で、さりげなく効果を上げる。

 出演者は6人。
 ピアノ弾き、女優、ピアノ弾きの弟の3人は役が固定しているが、2人の男女は様々な役を次々にこなす。そのいずれもが単なる端役でない辺りが、この作品のよくできているところ。
 もう1人はトランペッター。ピアノ弾きが贔屓にしているストリート・ミュージシャン。兼、ピアノ弾きの愛犬の声。実際には登場しない犬の様子や感情をトランペットで巧みに表現する。この作品の見どころ(聴きどころ)のひとつ。犬はストーリー上も重要な役割を果たす。そして最後に……これは観る方だけのお楽しみ。

 脚本もザイチック。演出・振付はマイケル・ベレッセ。

 実は、前回渡米時、2月2日夜のチケットを取ってあったのだが、役者の急病で公演がキャンセルに。そのリヴェンジで、全公演ソールドアウト(劇場が小さいので)のところを当日正午から劇場窓口で売り出しのスタンバイチケット(空席待ち)を正午直前に行ってゲット。開演15分前までは確定しないが、この日は無事に観られた。興味のある方は、この方法をお試しあれ。
 3月22日まで。>

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