The Chronicle of Broadway and me #219(Thwak)

1999年8月@ニューヨーク(その3)

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 『Thwak』(8月28日20:00@Minetta Lane Theatre)について「超安上がりだけどスペクタクル!」というタイトルで旧サイトに書いた感想。

<評判を聞きながらも、5月の渡米時には劇場替わりの休演中で観られなかったオフのパフォーマンス『Thwak』。練り上げられた芸とギャグが炸裂する面白いショウだった。

 アンビリカル・ブラザーズ(The Umbilical Brothers=ヘソの緒でつながれた兄弟)と名乗る出演者は2人。
 「僕、動く人」(デイヴィッド・コリンズ)、「僕、しゃべる人」(シェイン・ダンダス)という冒頭の自己紹介に、後に訪れる大混乱のタネが仕込まれているのだが、ともあれ 2人の芸を紹介すると……。
 しゃべる人シェインの芸は、マイクを口に当てて様々なイメージをかきたてる擬音を作り出すこと。わかりやすい例で言うと、目の前をクルマが猛スピードで走り抜ける、とか。言われただけだとわかりにくい例で言うと、犬が爆発する、とか(笑)。
 動く人デイヴィッドの芸は、シェインの擬音に合わせてパントマイムの演技をすること。

 初めの内は、こうした2人の芸がジャストに噛み合う小気味よさで見せていくのだが、しだいに齟齬が生じるようになる。と言うのも、どうしてもシェインの音にデイヴィッドが“従う”ことになるからだ。「僕、動く人」と半ばヤケ気味に自己紹介したデイヴィッドの屈折は、やがて怒りへと変わり、ついに反逆の時を迎える……。
 と、ここから先は言わぬが花。

 そうした大きなドラマ(?)とは別に、コリンズとダンダスが、おそらくはストリート・パフォーマンスのような段階から、観客の反応を見ながら磨いてきたと思われる細かいギャグが満載で、文字通り抱腹絶倒。
 特に、ちょっとした事件に対する反発がどんどんエスカレートしていき、そこまでやるか、という事態にいたる過激さは、ヘタなアクション映画なんかよりはるかに壮大なスペクタクルを観ている気になって、痛快。
 照明や音響とのコラボレイトも完璧で、スッキリした後味を楽しみたい向きにはオススメの、とてもよくできたパフォーマンス・ショウだ。

 ところで、ロビーでTシャツを売っているのだが、柄が2種類あって、1つは「UMBILICAL」という文字だけが入ったもの、もう1つは“ウサギブタ”とでも呼びたくなるパペットの写真が入ったもの。
 開演前に、その“ウサギブタ”の方を買おうとすると、係の女性から「このショウ、観たことあるの?」と訊かれた。「うんにゃ」と答えると、「じゃ、とりあえずこれを売るけど、観終わってもう一方のに替えたくなったら替えたげる」という謎の反応。
 そのココロは? ご自分でお確かめあれ。
 ちなみに、観劇後、“ウサギブタ”はそのままに、文字ヴァージョンを買い足しました。>

 『Thwak』そのものはないが、The Umbilical Brothersで検索するとYouTubeに複数の動画が上がっていて、彼らのパフォーマンスの特徴がわかる。
 “ウサギブタ”? 最悪のキャラクターだった(笑)。でも、Tシャツは2種類とも見当たらない。ないとなると急に着たくなる。着て出かけるところは今のところ近所のスーパー以外どこにもないけれど。

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