The Chronicle of Broadway and me #220(The Donkey Show)

1999年8月@ニューヨーク(その4)

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 『The Donkey Show』(8月29日21:00@Club El Flamingo)について「ディスコ版シェイクスピア劇?」というタイトルで旧サイトに書いた感想。

<新聞には限定公演って書かれてたんだけど、まだ続いてるってことは好評なのか。
 ’70年代ブームに乗って登場したのがミエミエの“軽薄”なパフォーマンス・ショウ(と言っても、“軽薄”が嫌いなわけじゃないんですが)。ま、ディスコに遊びに行って25ドル(もちろんtkts ではその半額)で観られるショウとしてはOK なんじゃないでしょうか。

 サブタイトルに、「A Midsummer Night’s Disco」とあることからわかるように、内容は『A Midsummer Night’s Dream』(真夏の夜の夢)のディスコ版。だから“ドンキー”なんですね。
 登場するのは、ディスコのオーナー、その愛人である謎のディスコ・クイーン、その他、相思相愛だったり、すれ違ったてたりする恋人たち、などなど。そんな人たちが、往年のディスコ・ミュージック(DJによるレコード演奏)に乗って踊りながら、不思議なドラッグのせいで意外な相手に惚れてしまうという『A Midsummer Night’s Dream』をなぞった物語を演じる。
 ストーリーは単純化されているので、結局誰と誰とがくっつくのかってことにしか興味がいかないのだが、フロア中央にある1メートルちょっとの高さのステージやフロアを見下ろす回廊のようになった2階部分を縦横に使って、うまく目先を変えつつ、ライティングを駆使してお祭気分を盛り上げていく演出のせいで、飽きは来ない。
 実は背景に、物語上及び演技上のジェンダー(性)の錯綜というテーマが隠されていて、それが面白かったりするのだが、そのことに作者(兼演出家ダイアン・ポーラス、ランディ・ワイナー)がどこまで意識的なのかはわからない。と言うのは、演出がそれほどていねいではないからだ。

 とりあえず、多くの観客にとっては、懐かしのディスコ・ヒットをバックに、サイケデリックな衣装や照明で繰り広げられる“おバカ”な大騒ぎパフォーマンス(『Austin Powers』系?)を、半ば参加しながら楽しむということが大切なのだと思う。それに応えるべく、出演者もクレイジーな感じで最後までテンション高く踊りまくる。
 ただ、ダンス力の高い人もけっこういて、その辺、ちゃんとした振付をすれば、もっと力のある舞台になったかもしれない。

 なお、チケットには座席番号のようなものが書いてありますが、座席は基本的にありません。>