The Chronicle of Broadway and me #842(Mad Libs Live!/Invisible Theread)

2015年11月@ニューヨーク(その7)

 『Mad Libs Live!』(11月22日12:00@Stage 5/New World Stages)は、「Mad Libs」という名の言葉のゲームを舞台上に導入したミュージカル。
 「Mad Libs」は、単純な文章の「名詞」「動詞」「形容詞」にあたる部分を空欄にしておき、その文章を伏せたまま、その「名詞」「動詞」「形容詞」を参加者からランダムに募って、最終的にできあがった文章のチンプンカンプンさを笑い合うというゲーム。「いつ」「何が」「どうした」をランダムに募って文章にして面白がる遊びが子供の頃にあったが、似たような案件は世界中にあるのかもしれない。

 この舞台版は、とある高校のコーラス・グループのコンテストで、自分たちの歌に歌詞がないことに気づいた(!)グループが観客から「言葉」を募って歌に仕立てる、という設定になっている。というわけで、毎回、観客が「名詞」「動詞」「形容詞」を思いつくままに書き込んだメモを集めて、それを元にアドリブで歌詞を作っていく。そんなミュージカル。
 一応、その過程で、メンバーのキャラクターに沿って小さなドラマがあった気がするが、忘れた(笑)。

 作曲ジェフ・トムソン、作詞・脚本ロビン・ローズスタイン。
 演出オースティン・リーガン。振付ロビン・レヴァイン。


 『Invisible Theread』(11月22日15:00@Second Stage Theatre)の舞台設定はウガンダ。前年(2014年)春にケンブリッジのアメリカン・レパートリー・シアターで『Witness Uganda』というタイトルで上演された後に、このオフ・ブロードウェイ公演に到っている。

 ゲイのアフリカン・アメリカンの青年が”生きがい”を求めて、人道的支援のヴォランティアとしてウガンダに向かう。そこで、参加した団体の腐敗を知り、独自に活動を始めるが……という話。理想と現実の狭間でもがく内に、これまで見えていなかった世界を発見していくストーリーは、作者(作曲・作詞・脚本)の1人であるグリフィン・マシューズの体験を元にしているらしい。
 もう1人の作者はマット・グールド。マシューズとはアフリカでの活動の過程で出会っている。

 楽曲はロック的なものとアフリカ的なものとの融合。再び戻した『Witness Uganda』のタイトルによる新たなキャスト・アルバム(シンシア・エリーヴォ参加)を配信で聴くことができる(同タイトルで2019年にロスアンジェルス公演を行なっている)。

 演出ダイアン・ポーラス(『The Donkey Show』『Hair』『The Gershwins’ Porgy And Bess』『Pippin』『Finding Neverland』その後『Waitress』『Jagged Little Pill』『1776』)。
 振付セルジオ・トゥルヒオ(『The Great American Trailer Park』『Jersey Boys』『Next To Normal』『Next To Normal『Saved』『Guys And Dolls』『Memphis』『The Addams Family』『Leap Of Faith』『Hands On A Hardbody』)&ダレル・グランド・ムールトリー。

 主役のグリフィンはグリフィン・マシューズ本人が演じている。
 他に、アデオラ・ロール、マイケル・ルウォイェ、タイロン・デイヴィス・ジュニア、クリストリン・ロイド、ニコレッテ・ロビンソン、ジャマール・ウィリアムズら。

 このオフ公演を含む、『Invisible Theread』及び『Witness Uganda』の収益は、実際にウガンダの若者たちの教育のために使われているようだ。