The Chronicle of Broadway and me #723(Hands On A Hardbody)

2013年3月@ニューヨーク(その6)

 『Hands On A Hardbody』(3月22日20:00@Brooks Atkinson Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<観劇前日の3月21日に正式オープンした作品。が、結局ひと月もたず、4月13日で幕を下ろした。

 ニッサンのディーラーによる一風変わったコンテストの話で、元になる実話(ドキュメンタリー映画)があるらしい。
 店頭に置かれたトラック(ハードボディ)に最後まで手(ハンズ)を触れていられた者が、そのトラックを手に入れることができる、というルールで、現在のチャンピオン(という人がいるのも面白い)を含め老若男女様々な境遇の人々が集まり、時間の経過と共に、それぞれの人生が炙り出されていく。
 言ってみれば、舞台『Steel Pier』や映画『They Shoot Horses, Don’t They?』(邦題:ひとりぼっちの青春)で描かれた大恐慌時代の“マラソン・ダンス”の現代的変奏。“あの頃”に、今のアメリカの気分は似ている、ということか。
 脚本のダク・ライトは『Grey Gardens』を書いた人。なるほど、アメリカの暗部を苦いユーモアを交えながら描く筆致が共通している。

 キース・キャラダイン、ハンター・フォスター他、渋い実力派が顔を揃えて着実な演技を見せ、トレイ・アナスタシオ(作曲)とアマンダ・グリーン(作曲・作詞)による楽曲もよく、個人的には好感を持ったが、地味な題材に加え、セットも変化に乏しく、オフでならともかく今のオンでこれを当てるのは難しいと思った。
 その予想が残念ながら当たった形。>

 オリジナル・キャスト盤を聴き直したが、カントリー~ゴスペル調の楽曲が全編にわたって魅力的。そういう意味では惜しい作品だった。

 演出のニール・ペペはアトランティック・シアター・カンパニーの芸術監督で、どちらかと言うとプレイ畑の仕事の多い人。振付はセルジオ・トゥルヒオ(『The Great American Trailer Park』『Jersey Boys』『Next To Normal』『Next To Normal『Saved』『Guys And Dolls』『Memphis』『The Addams Family』『Leap Of Faith』)。

 後に映画『The Greatest Showman』に出演して「This Is Me」を歌って脚光を浴びるキアラ・セトル(『Priscilla Queen Of The Desert』)が、ここでもゴスペル・ナンバー「Joy Of The Lord」をリードして強い印象を残す。

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