The Chronicle of Broadway and me #640(Sister Act/Priscilla Queen Of The Desert)

2011年3月~4月@ニューヨーク(その9)

 ロンドンで観た作品のブロードウェイ版について2本まとめて。

 『Sister Act』(4月2日14:00@Broadway Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

ロンドン版の感想は次の通り(「」内)。

 「邦題『天使にラブ・ソングを』として知られるヒット映画のミュージカル舞台化だ。映画では既成楽曲が歌われていたが、ここでは、アラン・メンケンとグレン・スレイター(舞台版『The Little Mermaid』で組んだ2人)によるオリジナル楽曲が使われている。
 主人公の歌手が殺人を目撃してから修道院に匿われるまでは緩い舞台だと感じたが、その後、空気が変わる。きっかけは、第1幕中盤のエイコ・ミッチェル演じる(主人公を修道院に連れて行く)警官役のソング&ダンスで、このファンキーなナンバーがなければ凡作で終わっていたかもしれない。以降、大して話のないところをショウ場面をうまく並べて盛り上げている。主演のパティーナ・ミラーは熱演。愛嬌もあり、舞台栄えがする。」

 今回、警官役は、来日公演もあったアポロ劇場版『Dreamgirls』でジミー・アーリーを演じて印象的だったチェスター・グレゴリー。ただし、歌って踊れる人だと知っていたので、“空気が変わる”ほどの驚きはなかった。主演はロンドン版のパティーナ・ミラーがやって来た。相変わらず快調だ。
 ブロードウェイ版の演出はジェリー・ザックス。導入部が緩く感じられなかったのは彼の手際か(ロンドン版演出はピーター・シュナイダー)。ロンドン版を観て「ブロードウェイを目指していると思うが、それはちょっと厳しいかも」と書いたが、今のブロードウェイなら当たるのかも。>

 脚本はシェリ・スタインケルナーとビル・スタインケルナー(『The Pee-wee Herman Show』)。
 振付アンソニー・ヴァン・ラスト(『Joseph And The Amazing Dream Coat』『Jesus Christ Superstar』『Mamma Mia!』『Bombay Dreams』)。

 出演者は上記の他に、院長役ヴィクトリア・クラーク(『How To Succeed In Business Without Really Trying』『Titanic』『The Light In The Piazza』)、オハラ司祭役フレッド・アップルゲイト(『The Sound Of Music』『Young Frankenstein』『Happiness』『La Cage Aux Folles』)、メアリー・パトリック役サラ・ボルト、等。
 

 『Priscilla Queen Of The Desert』(4月3日19:30@Palace Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

ロンドン版の感想は次の通り(「」内)。

 「シドニーのナイトクラブで働くドラァグ・クイーン(女装の男性)3人がバスに乗り、砂漠を越えて保養地アリス・スプリングスに行くという話は、ロード・ムーヴィ的なだけに風景の広がりがある映画には及ばないが、人情コメディとして手堅くまとめてある。
 ド派手な衣装のドラァグ・クイーンたちによるショウ場面(口パク。歌は空から降りてくる 3人のディーヴァたちが担当)をディスコ調にアレンジされた有名ヒット曲に乗せてグイグイ見せる部分と、意外なヒット曲を心情吐露に使うドラマ部分との組み合わせが、乱暴なようで案外うまく舞台を転がしていく。」

 ドラァグ・クイーン3人の内、ロンドン版で「存在感が大きい」と感じたトニー・シェルドン(オリジナルのシドニー版でも演じたという)がブロードウェイまで来ているのは大きい。
 しかし、こういう、ちょっと荒っぽくて猥雑な舞台は、ロンドンでの方が映えるな。>

 脚本ステファン・エリオット&アラン・スコット。
 演出サイモン・フィリップス。振付ロス・コールマン。

 ドラァグ・クイーン役の残る2人は、ウィル・スウェンソン(『Lestat』『110 In The Shade』『Hair』)、ニック・アダムズ(『The Pirate Queen』『Guys And Dolls』『La Cage Aux Folles』)。

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