The Chronicle of Broadway and me #851(Tuck Everlasting)

2016年3月~4月@ニューヨーク(その7)

 『Tuck Everlasting』(4月2日14:00@Broadhurst Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<原作はナタリー・バビットの同名小説で、翻訳邦題は「時をさまようタック」。
 映画化もされているが(邦題『エバーラスティング 時をさまようタック』)、舞台版は映画とは印象がまるで違う。映画が冒険ラヴ・ロマンスだとすれば、舞台は不思議なコメディといったところ。全体に、やや子供向けな印象だ。

 演出家(ケイシー・ニコロウ)が振付家出身だけに、最後に長いダンス・シーンがあって、そこに一番力が籠もっていた。
 具体的には、ひと通りのドラマが終わった後で、タックたち(年をとらない人たち)と別れたヒロインの少女が、成長し、結婚し、家族が次第に亡くなっていき、本人も年老いていく過程をダンスで表現している。これをやりたかったんだろうな。

 楽曲作者のクリス・ミラー(作曲)とネイサン・タイセン(作詞)のコンビは、2010年にオフでブルーグラス的な音楽が印象的なミュージカル『The Burnt Part Boys』の楽曲を書いた人たち。
 なので、そうした傾向の音楽かと思ったが、曲調はともかく、編曲はオーケストラに管が3本も入るにぎやかさ。オーソドックスな劇場音楽の印象に留まったのは、やや残念。

 役者では、タック家の母親役キャロリー・カーメロと、一家の秘密に迫る黄色いスーツの男のテレンス・マンが、やはり際立つ(この2人、『The Addams Family』で、アダムズ家に驚かされる夫婦役を演じていた)。>

 タック家の父親役マイケル・パーク(『Smokey Joe’s Cafe』『Little Me』『How To Succeed In Business Without Really Trying』)、息子役がアンドリュー・キーナン=ボルジャー(『Seussical』『Newsies The Musical『Ever After』)とロバート・レンズィ(『South Pacific』)。ヒロインの少女役サラ・チャールズ・ルウィス。他に、フレッド・アップルゲイト(『The Sound Of Music』『Young Frankenstein』『Happiness』『La Cage Aux Folles』『Sister Act』『The Last Ship』)、ヴァレリー・ライト(『Steel Pier』『Annie Get Your Gun』『Elf』)ら。

 脚本クラウディア・シーア&ティム・フェデール。