The Chronicle of Broadway and me #510(South Pacific)

2008年4月@ニューヨーク(その8)

 『South Pacific』(4月6日15:00@Vivian Beaumont Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

『South Pacific』のブロードウェイ初演は1949年。1949/1950年シーズンのトニー賞をほぼ総ナメにしているが、その背景には、“時代の気分”と合っていた、ということもあるのではないか。太平洋戦争時の米軍の滞在する南太平洋の小島での恋物語は、朝鮮戦争(1950年6月25日~)前夜のアメリカの人々には、どのように映っただろう。
 ともあれ、ロジャーズ&ハマースタインの作品が時代と共に古びることはこちらで少し書いた。そして、この舞台も例外ではない。その点、その朝鮮戦争が終了する直前の時代を描いた『A Catered Affair』の生々しさと対照的。
 演出のバートレット・シェールはじめ、音楽監督、装置、衣装等の主要スタッフや、ケリ・オハラ、マシュー・モリソンらの主要キャストが、同じリンカーン・センターの『The Light In The Piazza』組。前作同様の繊細で美しい舞台を作り出していて、それは見応えがある。>

 「ロジャーズ&ハマースタインの作品が時代と共に古びる」という考えが、2018年リヴァイヴァル版『Carousel』2019年リヴァイヴァル版『Oklahoma!』で覆されたことは、それぞれの感想で書いた。また、この『South Pacific』に白人の立場からの“人種差別”に対する疑念が盛り込まれていることは、改めて書いておく。
 なお、脚本はオスカー・ハマースタイン二世単独ではなく、初演の演出家でもあったジョシュア・ローガンとの共作になっている。

 このリヴァイヴァル版の振付はクリストファー・ガッテリ(『The Baker’s Wife』『Altar Boyz』『Bat Boy: The Musical『I Love You Because』『Martin Short: Fame Becomes Me』『High Fidelity』『Sunday In The Park With George』)。

 上記のオハラ、モリソンの他に、ブラジルのオペラ歌手パウロ・スゾットとハワイのジャズ歌手ロレッタ・エイブルズ・セイヤー(共にブロードウェイ・デビュー)が主要な役で出演。そして、際立った活躍はダニー・バースタイン。彼は、これでスターになった。

 下の写真は改装中だったリンカーン・センターの様子。

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