The Chronicle of Broadway and me #459(High Fidelity)

2006年11月@ニューヨーク(その4)

 『High Fidelity』(11月22日20:00@Imperial Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<同名映画の舞台ミュージカル化であること以外にも、『The Wedding Singer』と、いくつかの共通点がある。
 まず、全体にパロディ色が濃いこと(既聴感のある楽曲の挿入から、なりきり有名人が登場するところまで、よく似ている)。主人公がロックを中心とした音楽愛好家であること。主人公が恋人を失ってから(相手が替わるか替わらないかの違いはあるが)再び獲得するまでの話であること。
 ブロードウェイらしい豪華さはセット転換の見事さのみの、やや小粒な作品ではあるが、適度にギャグも盛り込まれ、そこそこ楽しい。
 が、『The Wedding Singer』が早々にクローズを発表したことを考えると、観るならお早めに、の舞台か。……とか書いてる内にクローズしちゃいました(笑)。>

 2006年11月20日プレヴュー開始、12月7日正式オープン、12月17日クローズ。

 この後、『Next To Normal』『Bring It On: The Musical』『If/Then』『SpongeBob SquarePants: The Musical』と活躍していくことになるトム・キットの、作曲家としてのブロードウェイ・デビュー作。作詞のアマンダ・グリーンはアドルフ・グリーンの娘。『Bring It On: The Musical』で再びトム・キットと組むし、『Hands On A Hardbody』では作曲も手がける。そんな2人のホロ苦デビューだが、改めてキャスト・アルバムを聴くと、けっして悪くない。
 脚本は、やはりこの年にブロードウェイでオープンしたストレート・プレイ『Rabbit Hole』で知られるデイヴィッド・リンゼイ=アベアー。演出はリヴァイヴァル版『Chicago』のウォルター・ボビー。振付リストファー・ガッテリ(『The Baker’s Wife』『Altar Boyz』『Bat Boy: The Musical』『Martin Short: Fame Becomes Me』)。
 転換が見事だった装置デザインは、本作で唯一トニー賞にノミネートされるアンナ・ルイゾズ。

 主演はウィル・チェイス、共演がジェン・コレッラ。チェイスは次作『The Story Of My Life』が今作以上の短命に終わり、後に『Come From Away』でトニー賞候補になるコレラは、前作『Urban Cowboy: The Musical』に次ぐ短命作品。ツイてないのか、役者本人にも責任の一端があるのか……。当たり外れの要因は、なんとも微妙。

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