The Chronicle of Broadway and me #835(First Daughter Suite/Chicago[22])

2015年10月@ニューヨーク(その6)

 『First Daughter Suite』(10月23日19:00@Anspacher Theater/Public Theater)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<マイケル・ジョン・ラキウザ(作曲・作詞・脚本)の新作が期間限定(10月6日~11月15日→好評につき22日まで延長)でオフに登場。劇場は春先に『Hamilton』を生んだオフ・ブロードウェイのパブリック・シアター。
 実在のアメリカ大統領の娘や妻を、組曲の名の通り4つのエピソードの組み合わせとして描いたもので、未見だがタイトルからして1993年の『First Lady Suite』の続編と思われる。

 場面設定や登場人物はバラバラだが、時系列的には繋がった4場構成。
 第1幕第1場は1972年6月11日の午後のホワイトハウス。ウォーターゲイト事件発覚直前のニクソン大統領(37代)の妻パットとニクソンの母ハナ、それに2人の娘たちジュリーとトリシアがいて、トリシアは結婚式直前。
 第1幕第2場は1980年春の大統領のヨットの上。実は、カーター大統領(39代)の娘エイミー(12歳)の夢の中(?)。一緒にいるのは、母ロザリンとフォード前大統領(38代)の妻ベティと娘スーザン。
 第2幕第1場は1986年11月のロスアンジェルスにあるベッツィ・ブルーミングデールの家のプールサイド。レーガン大統領(40代)夫人ナンシーと、その年の春に自伝を出版した娘のパティ。そして家のメイド、アニータ。
 第2幕第2場は2005年10月11日のメイン州ケネバンクポートにある父ブッシュ大統領(41代)の家。登場するのは父ブッシュの妻バーバラと幼くして亡くなった娘ロビンの亡霊、それに息子ブッシュ大統領(43代)の妻ローラ。

 この作品でのラキウザの曲調は振れ幅が大きく、刺々しかったり、狂騒的だったり、静謐だったりと様々だが、共通しているのは綱渡りのような緊張感だ。
 大統領の家族の一員という尋常ならざる状況の中で、それぞれに苦悩する女性たち。だいたいが、現状を追認する大統領夫人と、それに反発する娘、敵対する大統領の母、という人間関係になっていて、互いの真意を探り合っている。そんな中で発する言葉(歌)が、しばしば、時代と女性というジェンダーの在り様を浮かび上がらせる。そうしたドラマを縒り合わせることで、アメリカの歴史を映し出していく、という構図。…だと思う。そこまで理解できていないのですが(笑)。
 9人の魅力的な女優たちの素晴らしい歌と演技の競演が見事だった(何人かが違う場面で別の役を演じるのも面白い)。>

 演出カーステン・サンダーソン(『First Lady Suite』)。振付チェイス・ブロック(『Be More Chill』『Tamar Of The River』)。

 出演は、アリソン・フレイザー(『Romance/Romance』『The Secret Garden』『Gypsy』)、レイチェル・ベイ・ジョーンズ(『Meet Me In St. Louis』『Women On The Verge Of A Nervous Breakdown』『Pippin』、翌年『Dear Evan Hansen』)、ケイシー・レヴィ(『Hair』『Ghost: The Musical』『Les Miserable』、2年後に『Frozen』)、テレサ・マッカーシー(『Titanic』『An Evening With Adam Guettel』『Queen Of The Mist』)、ベッツィー・モーガン(『High Fidelity』『The Little Mermaid』『A Little Night Music』『Les Miserable』『The King And I』『Found』)、イザベル・サンティアゴ(『In The Heights』『Giant』)、カーリー・テイマー(『Billy Elliot: The Musical』)、メアリー・テスタ(『On The Town』『Marie Christine』『42nd Street』『See What I Wanna See』『Xanadu』『Queen Of The Mist』『Anna Nicole』)、バーバラ・ウォルシュ(『Falsettos』『Blood Brothers』『Big』『Company』)。
 
 

 『Chicago』(10月20日20:00@Ambassador Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<今回『Chicago』を観たのは、飛行機の到着時間との関係で8時開演の演目がギリギリ間に合うタイミングになり、そうなると『Chicago』しか選べなかったから。

 でもって、主要キャストは次の通り。
 ルマー・ウィリス(ロキシー)、アムラ-フェイ・ライト(ヴェルマ)、ジェイソン・ダニエリー(ビリー・フリン)、レイモンド・ボキュアー(エイモス)、ナターシャ・イヴェット・ウィリアムズ(ママ・モートン)。
 ロキシー役のウィリスはデミ・ムーアの娘。だからと言って七光りという訳ではなく、子役から芸歴を積んでいて、TVの「Dancing With the Stars」という番組の優勝経験もあるようだ。実際、危なげなかった。>

 ナターシャ・イヴェット・ウィリアムズは『Some Like It Hot』に出演中。

 過去のブロードウェイ・リヴァイヴァル版『Chicago』の感想(初回はシティー・センター)。
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