The Chronicle of Broadway and me #584(A Little Night Music)

2009年12月~2010年1月@ニューヨーク(その2)

 『A Little Night Music』(12月30日20:00@Walter Kerr Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<スティーヴン・ソンドハイム(作曲・作詞)1970年代の代表作の1つで(初演1973年)、1977年には映画化され、その後、シティ・オペラのレパートリーにもなっているが、ブロードウェイでのリヴァイヴァルは今回が初。
 内容は、ある種の艶笑喜劇。
 話題の中心は、映画版『Chicago』でミュージカル・ファンに名を売ったキャサリン・ゼタ=ジョーンズの出演だが、起用の目論見は成功して、客を集めている。さらに、舞台上でも、ちょっと下世話な感じのオーラを発揮して、地味になりがちな作品に華やぎを与えている。
 歌については、もう1人のスター、アンジェラ・ランズベリー同様、特別うまいというわけではないが、独特の声質で、味がある。
 それにしても、周りの役者たちの歌のうまいこと。
 トレヴァー・ナンの演出は高級すぎないところがいい。白を基調にしたセットはシンプルで美しく、アイディアも詰まっている。
 一度は観ておきたい。>

 元ネタはイングマール・ベルイマン監督の映画『Sommarnattens leende』(邦題:夏の夜は三たび微笑む)で、『A Little Night Music』はモーツァルトの「Eine Kleine Nachtmusik」の英語訳。
 脚本のヒュー・ホイーラーは、ミュージカル好きには『Sweeney Todd』『Meet Me In St. Louis』他の脚本家として知られているが、ミステリー・ファンには筆名パトリック・クェンティンとして有名な人(パトリック・クェンティンの説明はけっこう複雑になるので各自調べてください)。
 このトレヴァー・ナン版はロンドンの小劇場メニエール・チョコレート・ファクトリーからやって来たもの。振付はリン・ペイジ(『La Cage Aux Folles』)で彼女のブロードウェイ・デビュー。装置・衣装デザインはデイヴィッド・ファーレイ(『Sunday In The Park With George』『13』)。

 ゼタ=ジョーンズ、ランズベリーの他に、アレグザンダー・ハンソン、後に『Diana: The Musical』にカミラ役で出ることになるエリン・デイヴィー(『Grey Gardens』)、アーロン・レイザー(リヴァイヴァル版『Les Miserables』『A Tale Of Two Cities』)、リー・アン・ラーキン(『Gypsy』)、ハンター・ライアン・ヘルドリッカ、ラモナ・マロリーらが出演。抜群のコーラスを聴かせるのは、スティーヴン・R・バントロック、ジェイン・ピーターソン、マリッサ・マッゴーワン、ケヴィン・デイヴィッド・トーマス、ベッツィー・モーガン。
 翌年6月に、ゼタ=ジョーンズ、ランズベリーは、バーナデット・ピータース、イレイン・ストリッチと交替する(その感想はこちら)。

 この作品中、最も有名な楽曲は「Send In The Clowns」だが、それに次いで知られていると思われる「The Glamorous Life」は、舞台では複数人によって歌い継がれるが、映画版では1人が歌う。そのため歌詞が変わっている。

 あと、どうでもいい話だが、プレイビルの割引コードのプリントアウトを持って劇場窓口にチケットを買いに行った時、ボックスオフィスの中でアリシア・キーズの「Empire State Of Mind」が大音量で流れていたことをよく覚えている。大ヒット中だった。