The Chronicle of Broadway and me #1000(Ink/A Strange Loop)

2019年7月@ニューヨーク(その6)

 オンのストレート・プレイとオフの難物(笑)ミュージカルについて。
 

 『Ink』(7月4日20:00@Samuel J. Friedman Theatre)は、『Finding Neverland』の脚本家ジェイムズ・グレアムが書いたロンドン産のストレート・プレイ。2017年の7月から8月にかけて席数325のアルメイダ劇場で期間限定公演を行ない、9月からウェスト・エンドに移って翌年1月の初めまで上演されている。オリヴィエ賞では助演男優賞(バーティー・カーヴェル)を受賞。
 ……という要素の中に観ることにした理由があるとすれば『Finding Neverland』かな。よく覚えていないが(笑)。
 
 メディア王と呼ばれるルパート・マードックが1969年に経営不振のロンドンのタブロイド紙ザ・サンを買収した。その時の話で、上掲写真左のポスターの「INK」のロゴは「ザ・サン」のロゴをイメージさせるデザイン。
 ルパート・マードック役バーティー・カーヴェルがそのままロンドンからやって来て、最終的にトニー賞も獲っている。上掲左写真のポスターの向かって左の人物。
 右の人物がジョニー・リー・ミラー。彼もイギリスの役者だが、ロンドンでのオリジナル・キャストではない。ミラーが演じるのはラリー・ラム。マードックが雇った編集長で、彼がザ・サンの部数を伸ばすことになる。
 そこに到るまでの、マードックとラムの、お互いに対して及び世間に対しての(二重に絡み合った)駆け引きのドラマ、って感じでしょうか。覚えてる限りで都合よく要約すると(笑)。

 机とか椅子とか新聞の束とかの具体的なモノを抽象的デザインの要素として配置したセットが面白かった。装置&衣装デザインは『The Curious Incident Of The Dog In The Night-Time』のバニー・クリスティー。この時点ですでにロンドン公演の方は終わっていて、その後ブロードウェイに来ることになるリヴァイヴァル版『Company』も彼女の仕事。

 演出ルパート・グールド(『American Psycho』)。振付リン・ペイジ(『La Cage Aux Folles』『A Little Night Music』『American Psycho』)。
 


 『A Strange Loop』(7月6日20:00@Playwrights Horizons Mainstage)のオフ版については、内容が複雑でまるで付いていかれなかった話をブロードウェイ版の感想の中に併せて書いたので、そちらを読んでいただければ、と。
 そこにも書いたが、主演はブロードウェイ版には出なかったラリー・オーウェンズ。その他の6つの異なる思考(thoughts)役は全員ブロードウェイにも登場した。

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