The Chronicle of Broadway and me #427(Sweeney Todd)

2005年11月@ニューヨーク(その5)

 『Sweeney Todd』(11月26日20:00@Eugene O’Neill Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。
 考えたら、1989年のリヴァイヴァルを観逃しているので、『Sweeney Todd』をブロードウェイで観るのはこれが初めてだった(過去に観たのは1996年グッドスピード・オペラ・ハウス版と2000年ニューヨーク・フィル版)。

<楽器演奏も出演者が兼ねる(他に演奏者はいない)という新演出(ジョン・ドイル)の『Sweeney Todd』
 最初から最後まで、大きな納屋のような印象のセットの中だけで演じられるのも異色。早い話、イギリスの地方劇場で演じられたヴァージョンが持ち込まれたということのようだ(注)。
 難易度の高いソンドハイム作品を、楽器演奏しながら歌い演じる役者には感銘を受けるが、よく考えれば、演奏も兼ねる必然性は実はない。
 元々はオーケストラを使えない小さなプロダクションの逆転の発想だったのではないだろうか。一杯セットの意味も同様か。
 ブロードウェイの劇場に置いてみると、妙に“芸術ぶった”演出に見えたのも確か。>

 (注)初演のウォーターミル劇場は、その名の通り、バークシャー州バグナーにあるランボーン川のそばの水車小屋を改造した建物らしい。なるほど。

 読み返すと思ってたより辛口(笑)。とはいえ、けっこう楽しんだ記憶がある。
 ともあれ、その“芸術ぶった”演出が評価されて、ジョン・ドイルはトニー賞で演出賞を受賞。
 バークシャーからウェスト・エンドを経てやって来たドイルは、これがブロードウェイ・デビュー。装置デザイン・衣装デザインも自身で担当。
 翌年の『Company』で再び役者に楽器を持たせることになる。

 「小さなプロダクション」と書いているが、実際、役者の人数が少ない。
 1979年の初演では30人近くいるが、1989年の再演では半減の14人。今回はわずか10人になっている。

 とにかく、ラヴェット夫人役のパティ・ルポンがチューバを抱えていたのが印象に残っている。ユーモラスに見えたが、それが演出の狙いでもあるのだろう。
 スウィーニー・トッドはマイケル・サーヴェリス(『The Who’s Tommy』『Titanic』『Assassins』)。楽器はギター。
 ターピン判事役はマーク・ジャコビー(『Show Boat』『Ragtime』)。楽器はトランペット。
 面白いのが、ターピン判事の腰巾着ビードルを演じていたアレグザンダー・ジェミニャーニ。サーヴェリスと共に前年の『Assassins』に出ていたが、この作品の後、リヴァイヴァル『Les Mirerables』のジャン・ヴァルジャンや、2018年『Carousel』のミスター・スノウ他、ブロードウェイの数作で主要な役を演じた後、2020年の『West Side Story』では、なんと音楽監督・音楽監修・指揮者を務めている。まさに二刀流。ちなみに、この舞台での楽器はキーボードとトランペット。

 ジョン・ドイルと共に、編曲のサラ・トラヴィスもトニー賞を得ている。納得。

The Chronicle of Broadway and me #427(Sweeney Todd)” への22件のフィードバック

コメントを残す