The Chronicle of Broadway and me#1062(Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street)

2023年5月~6月@ニューヨーク(その6)

 『Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street』(5月31日14:00@Lunt-Fontanne Theatre)の感想。

 この作品を観るのは、これで5ヴァージョン目。
 最初は1996年コネティカットのグッドスピード・オペラ・ハウスまで出かけて観た。以降、2000年のリンカーン・センターでのコンサート版(パティ・ルポンやオードラ・マクドナルドの出ている映像化されたヤツ)、2005年のブロードウェイ・リヴァイヴァル版(役者が楽器を演奏するヤツ)、2017年のオフ・ブロードウェイ版(劇場をパイ屋に仕立てたヤツ)×2、と続く。
 いずれも面白く観た。というのも、ソンドハイム作品の中では、『Into The Woods』と並んで物語がうまくできている作品だから。そういう意味では、どんな演出になっても、まずハズさない。

 今回の演出はトーマス・カイル(『In The Heights』『Once On This Island』@N.J.『Hamilton』『The Wrong Man』『Tiny Beautiful Things』)。
 明暗をくっきりさせ、暗闇に囲まれた限られた範囲の光線の中でドラマが進行するのが特徴(照明デザインはナターシャ・カッツ)。ゴシック・ホラー感二割増しな感じ。そのせいか、冒頭に鳴り響くオルガンの音を聴いて『The Phantom Of The Opera』を連想した。全体に音圧が強い気もする(音響デザインはネビン・スタインバーグ)。
 もう1つの特徴は、アンサンブルを群舞のように動かしながら物語を進めたり場面を転換させたりすること。このあたりはカイル演出の過去作でも顕著だったやり方だ。今回の振付はスティーヴン・ホゲット(『American Idiot』Once『Peter And The Starcatcher』『Rocky』『The Last Ship』『The Curious Incident Of The Dog In The Night-Time』『Joan Of Arc: Into The Fire』)。
 『In The Heights』『Hamilton』組のアレックス・ラカモアも音楽監修で参加している。

 主演は、スウィーニー・トッド役ジョシュ・グローバン(『Natasha, Pierre and the Great Comet of 1812』)、ラヴェット夫人役アナリー・アシュフォード(『Legally Blonde: The Musical』『Kinky Boots』『Sunday In The Park With George』)。2人共トニー賞の候補になっているが、個人的にはアシュフォードの身軽さに魅了された。
 その他の主な出演者は次の通り。アンソニー役ジョーダン・フィッシャー。ジョアンナ役マリア・ビルバオ。トビアス役は『Stranger Things』でも知られるゲイテン・マタラッツォ(ブロードウェイ・リヴァイヴァル版『Les Miserables』ガヴローシュ役)。理髪師ピレリ役ニコラス・クリストファー(『Motown The Musical』『Miss Saigon』)。ターピン判事役ジェイミー・ジャクソン(『Soul Doctor』『The Last Ship』『Doctor Zhivago』)はオフ版にも同じ役で出演。ベガー・ウーマン役はルーシー・アン・マイルズ(『Here Lies Love』『The King And I』『Sunday In The Park With George』)のところを代役で『Diana, The Musical』のダイアナ役イェンナ・デ・ヴァール。

 作曲・作詞スティーヴン・ソンドハイム。脚本ヒュー・ホイーラー。編曲ジョナサン・テュニック。

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