The Chronicle of Broadway and me #720(Kinky Boots)

2013年3月@ニューヨーク(その3)

 『Kinky Boots』(3月20日14:00@Al Hirschfeld Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

『Kinky Boots』が、いい出来。2005年の同名イギリス映画の舞台ミュージカル化で、あの映画も実話を元にしているという。
 楽曲をシンディ・ローパーが書いているのが話題。脚本はハーヴェイ・ファイアスタイン。

 社長だった父の突然の死でサザンプトンの伝統的な紳士靴工場を継ぐことになった白人の若者と、マッチョな父に育てられながらもドラァグ・クイーンとしてロンドンのクラブのステージに立つようになった黒人の若者。2人が偶然出会い、力を合わせて傾きかけた靴工場を再建することになる。……という設定は、ちょっと『The Full Monty』と気分が似ていなくもない。
 工場で働く市井の人々やゲイに対する温かい視線がドラマの中心だし、マチズモ批判が根にあるのも同じ(その辺が、ローパーとファイアスタインが組んだ由縁だろう)。父と息子の関係が背景にあるのも似ている。
 登場人物たちが、時に傷つけ合いながらも互いの垣根をを乗り越えて手を結び、困難に打ち克つ様は、定石とはいえグッと来る。

 ローバーの楽曲は快調で、ドラァグ・クイーンたちのパフォーマンスを含むダンス・ナンバーもいい(演出・振付/ジェリー・ミッチェル)。
 ドラァグ・クイーン役のビリー・ポーターはトニー賞候補確実。アナリー・アシュフォードのコメディエンヌぶりも高く評価されるだろう。オススメです。>

 ご承知の通り、この作品で主人公の1人ローラを演じたビリー・ポーター(『Miss Sigon』『Five Guys Named Moe』『Grease!』『Radiant Baby』)と、ヒロインを演じたアナリー・アシュフォード(『Legally Blonde: The Musical』)は完全に主役級になる。
 出演は他に、もう1人の主人公チャーリー役スターク・サンズ(『American Idiot』)、後にレナ・ホールとしてリヴァイヴァル版『Hedwig And The Angry Inch』でトニー賞助演女優賞を獲るセリナ・カルヴァハル(『Dracula, The Musical』『Tarzan』)、プレイ畑で活躍するダニエル・シャーマン、マーカス・ネヴィル(『City Of Angels』『The Full Monty』)ら。

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