The Chronicle of Broadway and me #600(American Idiot)

2010年4月@ニューヨーク(その2)

 『American Idiot』(4月8日20:00@St. James Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<アメリカのロック・バンド、グリーン・デイが2004年にリリースした同名アルバム(グラミーでロック・アルバム賞を受賞)の舞台ミュージカル化。ほぼアルバム通りに楽曲が並び、それに沿って物語が展開する。
 田舎町に住む3人の若者の軌跡を追ったもので、1人はミュージシャンを目指して都会に出てクスリ漬けになり、1人は軍隊に入って精神も肉体も傷つき、もう1人は付き合っていた相手が妊娠したため町を離れられず鬱々とした日々を過ごす、というドラマは、いささか類型的だが、なにしろ楽曲がよく、説得力を持つので、その勢いで最後まで観てしまう(と言っても一幕ものだが)。
 舞台を天井まで使ったダイナミックなセットを生かして、演出はスピーディ。エネルギッシュな演技で全体をラフに見せているが、実は細かな点まで緻密に計算されているように見受けられる。
 『Spring Awakening』でトニーの助演男優賞を受賞したジョン・ギャラガー・ジュニアはじめ、若手中心の役者陣は魅力的。1度は観ておいていい。>

 元になったアルバムは、グリーン・デイが、「イラク戦争」と呼ばれる「アメリカ合衆国が主体となり2003年3月20日から(中略)虚偽のイラク武装解除問題の大量破壊兵器保持における進展義務違反を理由とする『イラクの自由作戦』の名の下に、イラクへ侵攻したことで始まった軍事介入」(ウィキペディア)に対する怒りで作ったと言われている。結局、イラク攻撃の後、アメリカが指摘した大量破壊兵器が見つからなかったのは、ごぞんじの通り。
 ちなみに、当時の日本の首相・小泉純一郎は「アメリカの武力行使を理解し、支持いたします」と表明。小泉は、外務省が用意した同声明の「理解する」という表現を「支持」という踏み込んだ文言に変えており、開戦前から安保理理事国に米国支持を働きかけていたという。

 作曲グリーン・デイ、作詞ビリー・ジョー・アームストロング(グリーン・デイのメンバー)。脚本ビリー・ジョー・アームストロング&マイケル・メイヤー。
 演出マイケル・メイヤー(『Triumph of Love』『Side Man』『You’re a Good Man, Charlie Brown』『Thoroughly Modern Millie』『Spring Awakening』『10 Million Miles』)。振付スティーヴン・ホゲット。編曲トム・キット。

 主要キャストは上記ジョン・ギャラガー・ジュニアの他に、トニー・ヴィンセント(『Jesus Christ Superstar』『We Will Rock You』)、スターク・サンズ、マイケル・エスパー、レベッカ・ナオミ・ジョーンズ(『Passing Strange』)、クリスティーナ・サジュー、メアリー・フェイバー。その後も、それぞれ活躍している。

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