The Chronicle of Broadway and me #776(Holler If Ya Hear Me)

2014年6月@ニューヨーク(その3)

 『Holler If Ya Hear Me』(6月13日20:00@Palace Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<今は亡きギャングスタ・ラップの雄、トゥパック・シャクールの楽曲を使ったミュージカル。

 ストーリーもトゥパックの半生からインスパイアされているようで、黒人の若者たちの出口のない抗争の日々と、必然的に生まれる悲劇が描かれ、最終的には救いの道を求める内容になっている。
 しかし、脚本(トッド・クレイドラー)に厚みがないため、展開に意外性がなく、全体にやや観念的。演出(ケニー・リオン)にも、それを救うだけのアイディアはなかった。
 結果、正式オープン後ひと月で閉まった。
 主演のソウル・ウィリアムズのラップは聴き応えがあったのだが……。

 蛇足ながら、この上演で一番驚いたのは、通常の客席のオーケストラ部分(1階席)を使わず、舞台からメザニン(2階席)に繋げる形で傾斜のきつい客席を通常の客席の上に仮設してあったこと。つまり、座席の数を減らして(おそらく)一体感の強い観客席に仕立ててあったのだ。
 だったらオフの劇場で上演すればよかったのでは? とか、まあ、いろいろと疑問の多い公演だった。>

 振付はウェイン・シレント(『The Who’s Tommy』『How To Succeed In Business Without Really Trying』『Dream』『Aida』『Wicked』『Sweet Charity』)。

 主な出演者は他に、クリストファー・ジャクソン(『The Lion King』『In The Heights』『Hamilton』)、トニヤ・ピンキンズ(『Jelly’s Last Jam』『Chronicle Of A Death Foretold』『Play On!』『The Wild Party』『Caroline, Or Change』)、セイコン・セングブロー(『Hair』『Fela!』『Motown The Musical』)、ベン・トンプソン(『American Idiot』『Matilda The Musical』)、ジョン・アール・ジェルクス、ジョシュア・ブーン、ディロン・バーンサイド。後の3人はプレイへの出演が多いようだ。