The Chronicle of Broadway and me #891(Sweetee/Bella: An American Tall Tale)

2017年5月~6月@ニューヨーク(その3)

 旅に出るアフリカ系アメリカ人女性が主人公のオフ・ブロードウェイ・ミュージカル2本。
 

 『Sweetee』(5月31日14:00@Ford Studio/Pershing Square Signature Theatre Center)の舞台設定は、1936年から1942年のアメリカ南部。
 娼婦である白人の母親と黒人の父との間に生まれた少女スウィーティー。母親が突然亡くなり、抑圧された生活から逃れることができるが(父親は不在/不明?)、そこから始まる新たな人生は……。
 牧師の組織する孤児の楽団に入れられて旅に出た先で運命の恋人に出遭うのだが、残念ながら、そこから先をあまり覚えていない(苦笑)。役者たちがジャグ・バンド的な演奏をしていたような……。

 その運命の恋人キャット・ジョーンズを演じていたのが、翌年『Frozen』のクリストフ役でブロードウェイ・デビューを飾るジェラニ・アラディン。スウィーティー役はジョーダン・タイソン。牧師役ジェレミア・ジェイムズ。

 作曲・作詞・脚本ゲイル・クリーゲル。
 演出・振付パトリシア・バーチ。
 


 『Bella: An American Tall Tale』(5月31日19:00@Peter Jay Sharp Theater/Playwrights Horizons)の設定は1870年代の南部~西部アメリカ。
 男を殴り倒してミシシッピの実家からカンザスへと列車で逃亡するアフリカ系アメリカ人ベラの物語。空想癖のあるベラの”ホラ話”が現実と入り交じって面白く展開していく。
 カンザスで彼女を待つのは、「バッファロー・ソルジャー」と呼ばれるアフリカ系アメリカ人による正規の軍隊にいる婚約者。この組織の存在は空想ではなく歴史的事実。起源は南北戦争の時に北軍側で組織された連隊。

 作者(作曲・作詞・脚本)のカーステン・チャイルズ(『Miracle Brothers』)は、開拓時代の西部にもアフリカ系アメリカ人の、それも女性がいきいきと暮らしていたことを描きたかったようで、そうした活力が舞台から伝わってくる。
 演出ロバート・オハラ。振付は後にリヴァイヴァル版『Once On This Island』『for colored girls who have considered suicide/when the rainbow is enuf』を手がけるカミーユ・A・ブラウン(『The Fortress Of Solitude』)。

 ベラ役アシュリー・D・ケリー。他に、2023年現在『Some Like It Hot』に出ているナターシャ・イヴェット・ウィリアムズ(『The Gershwins’ Porgy And Bess』)、ブランドン・ギル(『Holler If Ya Hear Me』)、ブリットン・スミス(『After Midnight』『Shuffle Along, Or, The Making Of The Musical Sensation Of 1921 And All That Followed』『Be More Chill』)、ユレル・エチェザレタ(『West Side Story』『Aladdin』『Head Over Heels』)ら。

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