The Chronicle of Broadway and me #542(West Side Story)/The Chronicle of Broadway and me #556(West Side Story[2])

2009年2月@ニューヨーク(その2)/★2009年6月@ニューヨーク(その2)

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 今回の原稿はミュージカル『West Side Story』について。年末に公開を控えたスティーヴン・スピルバーグ監督による映画版リメイクをとば口にして、同作が時代を超えて生き続けている理由について妄想交じりに(笑)掘り下げてみました。ブロードウェイ初演版成立の“謎” から、2019年にプレヴューを開始してコロナ禍で中断中のブロードウェイ最新版に到るまでを、「プエルトリカン・イン・ニューヨーク」の視点でたどる、という内容で、途中、これまた映画版が近々(7月30日予定)公開になる『In The Heights』と、2009年ブロードウェイ・リヴァイヴァル版にも触れています。

 というわけで、ここでは、これまでアップしていなかった、旧サイトに書いた2009年ブロードウェイ・リヴァイヴァル版の2度にわたる観劇の感想を上げておきます。

 まずは1回目。プレヴュー3日目の観劇。
 『West Side Story』(2月25日20:00@Palace Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<到着後のプレヴュー開始にもかかわらず、 tktsの半額チケットはもとより、ネットでのディスカウントも出ていなかったのが、『West Side Story』。そこまで人気なのは、高い年齢層が強い懐かしさを覚えてチケットを予約しているからだと思うが(ブロードウェイでのリヴァイヴァルは約30年振り)、これが意外にも新鮮な舞台だった。
 個人的には、過去観た、どの同作品よりも現在性を強く感じた。上演前から話題になっていたスペイン語交じりの上演が予想を超えた効果を生んでいるのだ。
 なにより、対立するジェッツ(英語)とシャークス(スペイン語)の解け合わなさが感覚的によくわかる。アメリカは人種のるつぼではなく、ただ混在しているのだ、という認識。
 スペイン語は歌にも用いられる。アメリカが好きか故郷プエルトリコに帰りたいかでやり合う名曲「America」は、歌詞が英西混合になることで一気にリアリティを増す(※誤解→2度目の感想参照)。過去、お上品過ぎの感もあったマリアの「I Feel Pretty」は、まるごとスペイン語で歌われて猥雑感を増し、艶っぽい。相乗効果か、英語の連中もザラザラした感触の演技で応える。その分、この作品の根源にあるダークさも浮き彫りになっていて、それが今後、興行的にどう出るか。
 何はともあれ必見。>

 そして、トニー賞授賞式後の2回目の感想。
 『West Side Story』(6月24日20:00@Palace Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<2月以来の『West Side Story』は、トニーを獲った(助演女優賞)アニタ役のカレン・オリーヴォを観るのが楽しみだったが、残念ながら代役。迫力が全然違った。しかし、このザラッとした感触の演出、2度観ても面白い。
 ところで 1つ訂正。前回の感想で、「America」は歌詞が英西混合になることで一気にリアリティを増す、と書いたが、これは勘違い。きついスペイン語訛り部分があるが、全て英語でした(笑)。>

 スペイン語訳を担当したのが当時『In The Heights』で人気の高まっていたリン=マニュエル・ミランダ。一部をスペイン語に変えることを発案したのは、オリジナルの脚本家であり、このリヴァイヴァル版の演出家でもあったアーサー・ローレンツ。実は、2度目の観劇の後、スペイン語に変えた箇所が、一部、英語に戻されたりしている。このあたりのことは「ERIS」に詳しく書いた。
 振付は、ジェローム・ロビンズ公認と言われているジョーイ・マックニーリー。

 2度目観劇の際のアニタ役はキャット・ネジャット。これがブロードウェイ・デビューだった。

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