The Chronicle of Broadway and me #375(Guys And Dolls[N.J.])

2004年7月@ニューヨーク(その3)

 『Guys And Dolls』(7月15日14:00@Paper Mill Playhouse)についての観劇当時の感想です。

<ネイサン・レインの存在を知らしめた’92年リヴァイヴァルの改訂版という印象(なにしろ映画版は知っていてもブロードウェイ初演版を知らないので)。
 なにより楽曲と脚本が素晴らしいことを再認識。役者がそろっていたこともあって、楽しい舞台に仕上がっていた。>

 この渡米時は、どの作品についても、こんな風な簡単な印象しか旧サイトに書き残していない。

 ちなみに、「そろっていた」と書いている主要役者陣は、登場順に次の通り。

 救世軍のサラ・ブラウン役がケイト・ボールドウィン。
 この時点でのブロードウェイ出演は『The Full Monty』(途中出演)と『Thoroughly Modern Milllie』(オリジナル・キャスト)。いずれも端役だったが、この『Guys And Dolls』の後、『Wonderful Town』のロングラン終盤に途中から出演……と来て、その先で主役級になる。『Finian’s Rainbow』のフィニアンの娘シャロン、『Big Fish』の主人公(父親の方)の妻サンドラ・ブルーム、ベット・ミドラー版『Hello, Dolly!』のアイリーン。『Finian’s Rainbow』『Hello, Dolly!』でトニー賞ノミネーション。遅咲き……と言うほどでもないか。この『Guys And Dolls』出演時、29歳。

 ギャンブルの胴元ネイサン・デトロイト役のマイケル・マストロはストレート・プレイ出演が多い人。
 ブロードウェイ・デビューは『Love! Valour! Compassion!』(アンダースタディ)で、その後、『Barrymore』『Side Man』『Judgment At Nuremberg』『Cat On A Hot Tin Roof』。で、この 『Guys And Dolls』 を挟んで、次が『Twelve Angry Men』。ブロードウェイでのミュージカルは『Mamma Mia!』への途中出演が初。その次が2009年版の『West Side Story』だが、そこでの役は体育館のダンスの司会者。あくまで演技の人ってことか。それが、ここでは功を奏したのだろう。ネイサン・レインが本質的に演技の人であるように。

 天才ギャンブラー、スカイ・マスターソン役はロバート・クチオリ。
 出会ったのは、まだボブ・クチオリ名義だった1991年、オフの『And The World Goes ‘Round』。ここで返せない借りを作って以来(笑)、忘れられない存在。その後『Les Miserables』にジャヴェール役で途中出演してブロードウェイ・デビュー(未見)。次の『Jekyll And Hyde』でスターになった。この『Guys And Dolls』の後は『Spider-Man: Turn Off The Dark』に悪のラスボス役で途中出演している。役柄からわかるように、屈折した悪役が似合う人。クールなスカイ・マスターソンはけっこうハマり役だったはず。

 そして、クラブのスター・ダンサーにしてネイサン・デトロイトの長年の婚約者ミス・アデレイド役が、お目当てのカレン・ジエンバ。
 『A Chorus Line』初演に途中出演してブロードウェイ・デビュー。次の『42nd Street』初演版では、途中出演ながらヒロイン役。その次が短命ミュージカル『Teddy & Alice』。で、個人的に出会ったのが、クチオリ同様、『And The World Goes ‘Round』。以降は、『Crazy For You』から『Prince Of Broadway』までブロードウェイ登場作は全て観てきた。トニー賞に4度ノミネートされ、『Contact』で受賞している。ダンサーとして素晴らしく、コメディエンヌとして魅力的で、シリアスな演技もこなす、名ミュージカル俳優。

 演出は後にブロードウェイで『Allegiance』を手がけるスタッフォード・アリマ。振付はパトリシア・ウィルコック。