The Chronicle of Broadway and me #715(Giant)

2012年11月@ニューヨーク(その7)

 『Giant』(11月24日13:00@Newman Theater/Public Theater)は、『Show Boat』の原作小説の作者エドナ・ファーバーが書いた1952年の同名小説の舞台ミュージカル化。
 同じ小説を原作とする1956年のジェイムズ・ディーンの遺作映画が有名だと思うが(原題は同じだが日本公開時の邦題はなぜか複数形の『ジャイアンツ』)、この舞台のドラマは、映画で言えばロック・ハドソンとエリザベス・テイラー寄り。どうやら小説に近いようだ。

 テキサス南西部を舞台に、大牧場経営を家業とするベネディクト家の1925年から1952年にわたる盛衰が描かれる。
 中心になるのは、若き牧場経営者で保守的な西部の男ジョーダン・“ビック”・ベネディクトと、彼の妻となる東部ヴァージニア出身で先進的な考えを持つレズリー。2人を取り巻くのは、ビックの姉で開拓精神に固執して頑ななラズ、身分違いの扱いを受ける牧童だが秘かな野心的を抱くジェット、やがて生まれてくるベネディクト家の子供たち、その配偶者となるメキシコ人女性、といった人々。
 遠く離れた土地で育ったビックとレズリーが、新興国アメリカの近代化という激しいうねりに巻き込まれ、遅まきながらも大きく変容していかざるをえなかった西部で、互いの違いに気づき、戸惑い、諍いながらも、共に暮らし、少しずつ理解し合っていく。そんな物語。ある種の大河ドラマ。

 作曲・作詞マイケル・ジョン・ラキウザ(『Hello Again』『Chronicle Of A Death Foretold』『Marie Christine』『The Wild Party』『See What I Wanna See』『Bernarda Alba』『Queen Of The Mist』)。ことさら“西部色”を強調したりはしていないが、メキシコ人が登場し、彼らに対する差別問題がドラマに織り込まれているので、メキシコ音楽の要素が採り入れられてある。また、時代の経過に合わせてジャンプ・ブルース的な楽曲が出てきたりもする。そうした細かい配慮も含めて、丁寧で繊細。いつもながらの充実ぶり。
 脚本はシビル・ピアソン(『Baby』)。
 演出マイケル・グリーフ(『Rent』『Betty Rules』『Never Gonna Dance』『Grey Gardens』『Next To Normal』)。

 出演は、ビック役ブライアン・ダーシー・ジェイムズ(『Carousel』『Titanic』『The Wild Party』『Sweet Smell Of Success』『Dirty Rotten Scoundrels』The Apple Tree』『Shrek The Musical』)、レズリー役ケイト・ボールドウィン(『Thoroughly Modern Millie』Guys And Dolls』@N,J.『Finian’s Rainbow』)、ラズ役ミシェル・ポーク(『Crazy For You』『Hello Again』『Seussical』『Reefer Madness』『Hollywood Arms』『A Little Night Music』)、ジェット役P・J・グリフィス、他。

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