The Chronicle of Broadway and me #323(Hollywood Arms/Marin Mazzie and Jason Danieley/A Most Remarkable Fella: The Songs of Frank Loesser/Thoroughly Modern Millie[2])

2003年1月@ニューヨーク(その9)

 この回の渡米で観た、残る4つの舞台をまとめて。
 

 『Hollywood Arms』(1月4日14:00@Cort Theatre)は、1986に出版されたキャロル・バーネットの回想記「One More Time」を下敷きにして、バーネット自身が、やはり女優だった娘のキャリー・ハミルトンと共に脚本を書いたストレート・プレイ。
 ハミルトンは、この舞台を観ることなく、前年1月に38歳の若さで亡くなっている。

 舞台はハリウッドの安いアパートメント。時代は1941年(第1幕)と1951年(第2幕)。映画界でライターの仕事をする母親の元を、田舎に置き去りにされて祖母と暮らしていた少女ヘレンが、その祖母と共に訪れるところから始まる、三世代の女性たちの物語。この設定は、まんまバーネットの人生を踏襲しているらしい。
 「笑えてしんみりするオーソドックスな家族劇」と旧サイトの概観には書いているが、なにしろストレート・プレイなので、どこまで理解していたか(笑)。期待していたのは、キャロル・バーネットの芸からイメージする、もっとスラップスティックなコメディだったと思う。
前年の10月7日にプレヴューを開始して、観た翌日の1月5日にクローズしている。
 祖母役リンダ・ラヴィンが作品タイトルの前に名前の出るスター格。母親役が『Crazy For You』のアイリーン役オリジナル・キャストのミシェル・ポークで、彼女がトニー賞助演女優賞を獲得。
 演出とプロデュースはハロルド・プリンス。
 

 『Marin Mazzie and Jason Danieley』(1月5日21:30@Joe’s Pub)は、パブリック・シアター併設のライヴ・レストランでのマリン・メイズィー&ジェイソン・ダニエリー夫妻のショウ。
 有名女優と無名の若い夫、というのが冗談めかした自己紹介(メイズィーは1960年、ダニエリーは1971年生まれ)。
 とはいえ、この時点ですでに、ダニエリーも、『Candide』『The Full Monty』のオリジナル・キャストとしてブロードウェイに出ている。一方のメイズィーは、ブロードウェイのオリジナル・キャストとしては、衝撃の『Passion』に始まり、『Ragtime』『Kiss Me, Kate』と立て続けの主役級で乗りに乗っているところ。旬な夫婦の歌を身近に楽しむライヴ。
 ご承知の通り、メイズィーは15年後の2018年に卵巣ガンで亡くなり、2019年にトニー賞特別賞を贈られている。
 

 『A Most Remarkable Fella: The Songs of Frank Loesser』(1月6日14:00@92nd Street Y)は、タイトル通り、『Where’s Charley?』『Guys And Dolls』『The Most Happy Fella』『How To Succeed In Business Without Really Trying』の楽曲作者として知られるフランク・レッサーの楽曲を顕彰するコンサート。この劇場で定期的に行なわれている「リリックス&リリシスト」というシリーズの一環のようだ。

 レッサーの未亡人である女優のジョー・サリヴァンと、息子のジョン・レッサー、娘のスーザン・レッサーがホスト役で登場。ジョー・サリヴァンは、ロッテ・レーニャがジェニー役だった1954年版『Three Penny Opera』でポリーを演じた後、初演『The Most Happy Fella』のヒロイン役に起用されている。レッサーとは、それが縁で結婚に到った模様。
 歌い手は、リズ・キャラウェイ、チャック・クーパーという現役のスターを中心に7人いたが、その内の1人、アーサー・ルービンは、’50年代に役者として活動し、やはり初演『The Most Happy Fella』に出ていたという人。その後はプロデューサーとして手腕をふるっているようだが、ここでは亡き恩人のために再び舞台に立ったというところか。
 

 『Thoroughly Modern Millie』(1月8日14:00@Marquis Theatre)は、原作映画の監督、ジョージ・ロイ・ヒルが前年の暮れに亡くなったのを悼んでの2度目の観劇。
 キャストも、ほぼオリジナルのまま。
 長い感想は、こちらで。

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