The Chronicle of Broadway and me #324★(2003/Mar.)

★2003年3月@ニューヨーク(その1)

 46度目のブロードウェイ(47歳)。

 渡米時の概観を旧サイトから。

<イラク攻撃の始まりを気にしながら飛んだら、1975年以来のブロードウェイ演奏家組合のストライキにぶち当たった今回のニューヨーク行き。
 急に思い立ったのは、いくつかのオフの限定公演を観ようと思ったからで、そういう意味では個人的には困らなかったのだが、しかし、今でも決して好調とは言いきれないブロードウェイ演劇界が、戦争による観光客減より前に自分たちで劇場を閉めざるをえない状況になったことの影響が、今後どんな形で出てくるのか心配だ。

 ともあれ、今回の5本。
 『A Little Night Music』は、ごぞんじスティーヴン・ソンドハイム(作曲・作詞)の代表作の1つ。つっても観たのは初めて。過去にも上演されているシティ・オペラ版だが、ニュー・キャストとしての初日だったせいか、こなれ方がイマイチ。けれども、全体としては素晴らしく、意外にコミカルな作品の姿もわかって面白かった。
 『Little Fish』はマイケル・ジョン・ラキウザ(作曲・作詞・脚本)の新作で、演出・振付がグラシエラ・ダニエル。ラキウザ+ダニエルと言えば、『Hello Again』『Chronicle Of A Death Foretold『Marie Christine』の名コンビなので期待したが、楽曲・脚本共に中途半端。グラシエラ・ダニエルも、題材がニューヨークに出てきた若い女性のストレスの話では、手腕の奮いようがなかったか。
 『My Life With Albertine』の題材は、なんとプルーストの小説「失われた時を求めて」の一部。ストをやってなかったら(早くクローズする気がして)観ようと思っていたプレヴュー中の『Urbun Cowboy』の代わりだったのだが、これが当たり。『James Joyce’s The Dead』に似た(実際、趣向も似ている)、渋いが面白い舞台。ブレント・カーヴァーはじめ役者も充実していた。
 パブリック・シアターの『Radiant Baby』は、夭折したイラストレイター、キース・ヘリングの伝記ミュージカル。楽曲も装置もポップで勢いがある。今オフでいちばんホットな舞台かも。狙っているのは第2の『Rent』か。
 『Elegies: A Song Cycle』は、『Falsettos』でトニー賞を獲ったウィリアム・フィン(作曲・作詞)の新作楽曲をコンサート形式で見せるショウ。ベティ・バックリー、キャロリー・カーメロら実力派の役者5人が、ピアノ1台の伴奏で見事に歌う。これも演出・振付グラシエラ・ダニエル。

 確か以前も書いたが、ブロードウェイでのミュージカル製作はリスクが大きくなりすぎて冒険ができなくなっている。なので、ホントに面白いミュージカルはオフで見つかる可能性が高い昨今のニューヨーク。ストライキの早期解決を願うばかりだ。>

 このストライキ、3月7日に始まって、11日の朝には終わっている。そのど真ん中に訪れたわけだ(笑)。なんにしても短期で終わってよかった。

3月7日20:00 A Little Night Music@New York State Theater/Lincoln Center
3月8日14:00 Little Fish@Tony Kiser Theatre/Second Stage Theatre 307 West 43rd Street
3月8日19:30 My Life With Albertine@Playwrights Horizons 416 West 42nd Street
3月9日14:00 Radiant Baby@Newman Theater/Public Theater 425 Lafayette Street
3月9日19:30 Elegies: A Song Cycle@Mitzie E. Newhouse/Lincoln Center

 作品個別の感想は別項で。

 上掲写真は、『The Producers』の劇場前でホンモノのプロデューサーたちに向けてデモンストレーション中の演奏家組合の人たち。