The Chronicle of Broadway and me #391(Dirty Rotten Scoundrels)

2005年2月@ニューヨーク(その4)

 『Dirty Rotten Scoundrels』(2月4日20:00@Imperial Theatre)は、同名映画の舞台化(映画邦題『ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ』、日本語版上演タイトル『ペテン師と詐欺師』)。

<元々のよくできた話にも助けられて、手堅い仕上がり。ツボを押さえた楽曲と芸達者のキャストの熱演で、ヒットにつながるかも。>

 というのが観劇直後の感想。
 次は、それから12年経った2017年夏に、無料配信音楽誌「ERIS」20号に連載「ブロードウェイまで12時間と45分~NYミュージカル・シーンの音楽的動向~」の第13回「楽曲作者デイヴィッド・ヤズベクの新作が登場」として書いた原稿(当コラムに「[考察002]デイヴィッド・ヤズベクの音楽」としてアップ済み)の『Dirty Rotten Scoundrels』の部分(<>内)。

『Dirty Rotten Scoundrels』の元は1988年の同名アメリカ映画で、それ自体が1964年の映画『Bedtime Story』(邦題:寝室ものがたり)のリメイク。’64年版がマーロン・ブランドとデイヴィッド・ニーヴン、’88年版がスティーヴ・マーティンとマイケル・ケインの共演、と言うか競演(?)。リゾート地を舞台にした2人の詐欺師の丁々発止の駆け引きがあって、そこに若い女性詐欺師が絡むという、いわゆるコン・ゲームがその内容。ちなみに、’64年版の女性詐欺師役は、後にパートリッジ・ファミリーの“お母さん”になるシャーリー・ジョーンズだった。
 舞台版の詐欺師は、ノーバート・レオ・バッツ、ジョン・リスゴー、それにシャーリー・レネ・スコットという顔ぶれ。バッツは2003年『Wicked』の主要オリジナル・キャストで、この作品でトニー賞主演男優賞を獲る。リスゴーは映画でも知られているが、’70年代から舞台で活躍してきたヴェテラン。スコットは2000年『Aida』の敵役アムネリスでスターになった人。実力派3人が、ドラマの中だけでなく役者としても火花を散らす、という構図だ。
 本作と(注:ヤズベク楽曲による)次作(『Women On The Verge Of A Nervous Breakdown』)の脚本は、主にテレビ畑で仕事をしてきたらしいジェフリー・レイン。うまくまとめ上げているが、全体にこぢんまりした印象に留まっていた。
 ここでのヤズベクの仕事ぶりは、設定に沿って『The Full Monty』よりヨーロッパ寄りに幅を広げた…と言うか、昔風のミュージカル・ナンバーが増えた感じ。歌の内容に合わせてカントリー調の楽曲もある。>

 トニー賞では主演の3人を含む10部門のべ11対象(主演男優賞で2人)が候補になるも、受賞は前述のバッツのみに留まった。

 演出ジャック・オブライエン、振付ジェリー・ミッチェル(この頃、超売れっ子)。
 出演は他に、やはりトニー賞の候補に挙がったジョアンナ・グリーソン(『Into The Woods』)、グレゴリー・ジバラ(『Victor/Victoria』)、サラ・ゲテルフィンガー(『NIne』)など。

 2005年1月31日プレヴュー開始、3月3日正式オープンで、翌年の9月3日まで続いている。

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