The Chronicle of Broadway and me #530(Wood/Ubu/Bedbugs!!!/Midnight Madness/The Bubble/Castronauts Or, How I Killed Fidel)

2008年9月@ニューヨーク(その5)

 NYMF(ニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェスティヴァル)参加作品の前半戦をまとめて。いずれも当時感想を書き残していないので、データ的なことを中心に。

 『Wood』(9月15日20:00@TBG Theatre)は、シェイクスピア『A Midsummer Night’s Dream』の現代版。
 ケイディ・ハフマン(『The WIll Rogers Follies』『The Producers』)の出演が話題。他に、ジョー・キャシディ(『Show Boat』『1776』『Dirty Rotten Scoundrels』)、スタンリー・バオレック(『The 25th Annual Putnam County Spelling Bee』)、ケイト・ウェザーヘッド(『Leagally Blond: The Musical』)等、経験を積んだキャストが揃っていた。
 作曲ジュリアン・ウィック・デイヴィス、作詞・脚本ダン・コリンズ。
 演出トーマス・カルーソ、振付アンドリュー・パークハースト。


 『Ubu』(9月16日16:30@37 Arts Theatre C)は、19世紀末から20世紀初頭にかけて活動したフランスの劇作家/小説家アルフレッド・ジャリの書いた3つの戯曲『Ubu King』『Ubu Cuckolded』『Ubu Bound』を組み合わせて作られているらしい。ちなみに、『Ubu King』は『ユビュ王』の邦題で翻訳がある。
 「A ‘Patamusical」という副題が付いているが、「’Pata」はジャリの造語「パラフィジックス(フランス語:’Pataphysique/英語:’Pataphysics)」のことと思われる(表記の際、「’」は必須とのこと)。なんでも、「メタフィジック(形而上学)の領域を超えたところにあるものを研究するために使われる哲学」のことだそうで、シュルレアリスム演劇や不条理文学の先駆者と目されるらしく、このミュージカルもそれらしい作風。
 楽曲モンティ・ホラモン。脚本ブラントリー・オーフィル、モンティ・ホラモン、トニー・メイズ。
 演出ブラントリー・オーフィル&トニー・メイズ。


 『Bedbugs!!!』(9月17日18:00@TBG Theatre)は、マッド・サイエンティストが発明した超強力殺虫剤によって突然変異したナンキンムシたちによって人類の生存が脅かされる……みたいな話。
 作曲のポール・レシェンはシザー・シスターズ関連のキーボード奏者/アレンジャーとしても知られている人。作詞・脚本フレッド・ソーター。楽曲が魅力的だったが、残念ながらキャスト盤等はリリースされていないようだ。
 演出サミュエル・バゲルン、振付ロビン・キャリガン。
 後にレナ・ホールと名前を変えて出演したブロードウェイ版『Hedwig And The Angry Inch』でトニー賞を獲るセリーナ・カルバハル『Radiant Baby』『Dracula, The Musical』『Tarzan』)やブライアン・チャールズ・ルーニー(『Threepenny Opera』)が出ていた。


 『Midnight Madness』(9月18日15:00@Alley Citigroup Theatre)も、『Wood』と同じく『A Midsummer Night’s Dream』の現代版で、こちらには、ニューヨーク市長やセントラル・パークが出てくる。
 作曲ジャック・ベンダー、作詞・脚本シンシア・メリル。
 演出もシンシア・メリルで、彼女は役者としてブロードウェイ初演の『Nine』に出ていたらしい。振付シェリー・アルバン。


 『The Bubble』(9月18日15:00@Zipper Theatre)の副題は「A Musical Dot-Comedy」。「dot-com」とかけているわけで、1991年のシリコン・ヴァレーを舞台にしたITミュージカル。と言いつつ、内容は覚えていないが(苦笑)。
 作曲デイヴィッド・パック、作詞デイヴィッド・パック&カレン・ポール。脚本カレン・ポール&ウェンディ・ロビンズ。ちなみに、デイヴィッド・パックは1970年代に結成されたバンド、アンブロージアの中心メンバーだった人で、同バンドのヒット曲を書いていた。
 演出・振付テリー・バーライナー。


 『Castronauts Or, How I Killed Fidel』(9月18日20:00@Zipper Theatre)は、ハヴァナの非合法なナイトクラブを舞台に、ダンサーやドラァグ・クイーンや密売人、そしてフィデル・カストロまでが登場するファース。
 作曲ランディ・コーツ、作詞ボビー・ヒューストン。脚本ボビー・ヒューストン&パトリシオ・ビッソ。ヒューストンはアカデミー賞受賞のドキュメンタリー映画作家。パトリシオ・ビッソはオルガ・デル・ヴォルガとして知られるブラジルのスターであり、映画版『Kiss Of The Spider Woman』の衣装デザイナーでもあるらしい。
 演出・振付ウィル・ポメランツ。
 出演は、ヘクター・ウバリー(『Man Of La Mancha』)、ナンシー・ティコティン(『Bernarda Alba』)、スキー・オカシオ(『Bombay Dreams』)はじめ南米系の人たちが多かったようだ。

The Chronicle of Broadway and me #530(Wood/Ubu/Bedbugs!!!/Midnight Madness/The Bubble/Castronauts Or, How I Killed Fidel)” への3件のフィードバック

コメントを残す