★2015年5月~6月@ニューヨーク(その5)
『Clinton The Musical』(6月1日20:00@Stage 4/New World Stages)は、2012年エディンバラ・フェスティヴァル・フリンジ→2013年オフ・ウェスト・エンド→2014年NYMF(ニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェスティヴァル)という道筋をたどってオフにやって来た作品。
一応の主人公はビル・クリントン(ウィリアム・ジェファーソン・クリントンン)だが、彼が大統領だったのは1993年1月から2001年1月まで。この時期の舞台化にあたっては、むしろヒラリー・クリントンの存在の方が大きかったはず。なにしろ、翌2016年に民主党の大統領候補として選出されるわけだから。
という時代背景はともあれ、この舞台には、2人のクリントン大統領が登場する。彼は、WJと呼ばれる常識的な人格と、ビリーと呼ばれる無軌道な人格とに分裂していて、それを知っているのはヒラリーだけ、という設定。その分裂した人格2人(?)による主導権の奪い合いと、その間に立って大統領職を全うさせようとするヒラリーの冷や汗ものの奮闘と、大統領のスキャンダルを暴いて失脚させようとする勢力の暗躍とが、ホワイトハウスを舞台に交錯する。まあ、そんなドタバタなコメディ。
なにより、存命かつ現役の政治家を真っ向から揶揄する舞台を作ることができるお国柄が羨ましい。
作曲・作詞・脚本のポール・ホッジ、共同脚本のマイケル・ホッジはオーストラリア出身らしい。楽曲は可もなく不可もなし、といったところ。
演出・振付ダン・クネクテス(『The 25th Annual Putnam County Spelling Bee』『110 In The Shade』『Xanadu』『Sondheim On Sondheim』『Lysistrata Jones』『Merrily We Roll Along』)。
大活躍するヒラリー・クリントン役はケリー・バトラー(『Bat Boy: The Musical』『Hairspray』『Little Shop Of Horrors』『Xanadu』『Pandra’s Box』)。
他に、トム・ギャランティック(『City Of Angels』『The Boys From Syracuse』『Dirty Rotten Scoundrels』)、ジョン・トレイシー・イーガン(『Jekyll & Hyde』『The Little Mermaid』『Bye Bye Birdie』『Sister Act』『My Fair Lady』)、スタンダップ・コミックで知られるジュディ・ゴールドら。
『Finding Neverland』(6月2日19:30@Lunt-Fontanne Theatre)を再見した理由は、こちらにも書いたように、「トニー賞で全く候補にならなかったから」(笑)。
ジェイムズ・バリー役が代役でケヴィン・カーン(スタンバイやアンダースタディの多い人)だったが、「関係なくグッと来た」と当時書き残している。
前回の感想はこちら。
“The Chronicle of Broadway and me #822(Clinton The Musical/Finding Neverland[2])” への1件のフィードバック