The Chronicle of Broadway and me #473(110 In The Shade)

2007年4月@ニューヨーク(その4)

 『110 In The Shade』(4月13日20:00@Studio 54)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<オードラ・マクドナルド主演の『110 In The Shade』は、ラウンダバウト劇場製作のリヴァイヴァルらしい手堅い作り。プレヴュー初日ながら、すでにでき上がっていた。
 楽曲は『The Fantasticks』のチーム、トム・ジョーンズ(作詞)&ハーヴェイ・シュミット(作曲)。>

 ブロードウェイ初演は1963年で10か月弱の上演。トニー賞では、楽曲賞、主演女優賞、助演男優賞、演出賞でノミネートされているが、受賞はない。その初演の演出はジョゼフ・アンソニー、振付はアグネス・デ・ミル。
 脚本N・リチャード・ナッシュ(原作はナッシュの戯曲『The Rainmaker』)。

 1936年7月4日、干ばつで苦しむテキサスの小さな村。当時の感覚での(和製英語で言うところの)“オールドミス”、英語で言うところの“オールド・メイド”(実際にそういうナンバーが作品中にある)にあたる女性と、結婚に失敗して女性との付き合いに臆病になっている保安官の前に、雨を降らせる男(レインメイカー)を名乗る明らかな詐欺師が現れてドラマが始まる。
 20世紀初頭のアメリカの田舎町に住む未婚の女性の前に詐欺師が現れる、という設定は『The Music Man』に似ているが、狭い世界に住む“普通の人々”の人生を“旅人”が引っ掻き回すという意味では『The Fantasticks』に似ているとも言える。そのあたりの寓話感がジョーンズ&シュミットの気に入ったのかも。
 2人の書いた楽曲は、作品の時代設定が古いこともあるが、『The Fantasticks』同様に鷹揚な印象で、それが逆に時代を超える美しさに繋がっている。

 出演は、6度目のトニー賞ノミネーションとなる(受賞はせず)オードラ・マクドナルドの他に、保安官役クリストファー・インヴァー(『Victor/Victoria『The Threepenny Opera』)、詐欺師役は後に『Once』でトニー賞を獲るスティーヴ・カズィー、ヒロインの父役でジョン・カラム(『Urinetown』『Dr. Seuss’ How The Grinch Stole Christmas!』)。

 今回の演出はロニー・プライス(『A Class Act』『Urban Cowboy: The Musical』)、振付はダン・クネクテス(『The 25th Annual Putnam County Spelling Bee』)。

The Chronicle of Broadway and me #473(110 In The Shade)” への25件のフィードバック

コメントを残す