The Chronicle of Broadway and me #595(The Scottsboro Boys) & The Chronicle of Broadway and me #615(The Scottsboro Boys[2])

2010年3月@ニューヨーク(その6)/★2010年10月@ニューヨーク(その2)

 最初のオフ版とオンに移ってからの感想をまとめて。

 『The Scottsboro Boys』(3月18日20:00@Vineyard Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<カンダー&エブの“最後の”(と言われる)ミュージカルで、脚本をデイヴィッド・トンプソン、演出・振付をスーザン・ストロマンという、『Steel Pier』『Thou Shalt Not』のコンビが手がけた。ということは、つまりストロマンのシリアス系作品(詳細は『Thou Shalt Not』の感想参照)。
 1931年にアラバマで実際に起こった冤罪事件を元にして作られたもので、9人の黒人少年たちが無実の罪で逮捕され、最終的に数人が死刑になる(※誤り→オンの感想参照)。
 これを、陽気な顔つきのミンストレル・ショウ仕立てで描く、というあたりからしてビターな感覚。ジョン・カラムがショウの座長役で出てくる他は全員が黒人で、話の中に登場する白人も彼らが扮装して演じるのも皮肉な感じを強める。
 楽曲は悪くなく、ダンスも含め全体の構成も面白いのだが、時に直情的にシリアスすぎる演技が(もちろん題材はシリアスなのだが)、作品としての懐の深さを失わせていて、そこが残念。>

 このオフの感想に修正を加える必要がある、と考えて書いたオン観劇後の感想が次。

 『The Scottsboro Boys』(10月10日20:00@Lyceum Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<オフ公演の後オンに移ってきた『The Scottsboro Boys』。初見のオフの感想に、2つの修正を加えたい。

 1つは、「9人の黒人少年たち」は「最終的に数人が死刑になる」というところで、死刑になった者はいない。
 とりあえず舞台上で表現されたところまでで言うと、1937年に4人が釈放されて5人が獄中に残ることになる。オフで観た時には残った5人が死刑になると勘違いしたのだが、実際には、さらに年を経て最終的には全員が釈放されている。

 もう1つの修正箇所、と言うか、オンで観て違う感想を抱いたのが、「時に直情的にシリアスすぎる演技が(もちろん題材はシリアスなのだが)、作品としての懐の深さを失わせていて、そこが残念」というところ。
 演出が変わっていたかどうかは定かではないが、今回はシリアスな演技も過剰には感じられず、全部まとめてガツンと来た。ぜひとも1度は観ておきたい。>

 元になった事件は「Scottsboro Boys」で検索すると出てくる。

 ジョン・カンダー(作曲)&フレッド・エブ(作詞)の楽曲は、題材に合わせて、メディスン・ショウ~ミンストレル~ヴォードヴィル調に皮肉の効いた歌詞を乗せたものが中心。“この1曲!”というキラー・テューンはないものの、ストロマンの要請だろうと思われるタップ・ナンバーなども交えながら快調。
 全体の印象は『Cabaret』に近いか。

 9人のスコッツボロ・ボーイズ役は、上記の座長(狂言回し)に加えて劇中劇でアラバマ州知事や判事も演じるジョン・カラム(『Urinetown』Wilder『Dr. Seuss’ How The Grinch Stole Christmas!』『110 In The Shade』)と並んで中心的存在のヘイウッドを演じたブランドン・ヴィクター・ディクソン(『The Color Purple』)が、オン版では、先頃2021/2022シーズンのトニー賞ノミネーションをエイドリアン・ウォーレンと共に発表したジョシュア・ヘンリー(『In The Heights』『The WIz』)と交替。あと、ショーン・ブラッドフォード(『The Yellow Wood』)がジェイムズ・T・レイン(『A Chorus Line』)に、コディ・ライアン・ワイズがジェレミー・ガムズに替わっている。オフ→オン通じて出演した6人は、ジョシュ・ブレッケンリッジ、ケンドリック・ジョーンズ、ジュリアス・トーマス三世、クリスチャン・ダンテ・ホワイト、ロドニー・ヒックス(『Rent』『Jesus Christ Superstar』)、デリック・コーベイ。
 他に、シャロン・ワシントン、コールマン・ドミンゴ(『Passing Strange』)、フォレスト・マックレンドンも出演。

 [追記]
 物語の最後に、後方の座席に移るようにバスの運転手に言われて拒否する女性が出てくることを、忘れないように書いておく。

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