The Chronicle of Broadway and me #428(The Color Purple)

2005年11月@ニューヨーク(その6)

 『The Color Purple』(11月27日15:00@Broadway Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<元になっているのは、同名のアリス・ウォーカーのベストセラー小説とスティーヴン・スピルバーグ監督の大ヒット映画化作品。
 その知名度に頼った安易な舞台化を危惧したが、力作だった。
 社会的弱者の視点で貫かれた“女の一生”ものだが、強い主張と時に通俗的でもある波乱に富んだストーリーとの混ぜ合わせ具合が絶妙で、第2幕に求心力がやや弱まりはするが、それでも最後まで観客の心をグイグイ引っぱる。役者もうまく、3人のコンテンポラリーな作者たちによる楽曲の出来もいい。
 今のところトニー賞に一番近いかも。>

 と言いながら、トニー賞はジュークボックス・ミュージカルの『Jersey Boys』に持っていかれるわけだが(苦笑)。
 てか、10部門でノミネートされながら、受賞はラシャンズ(『Once On This Island』『Company』『Baby』『Dessa Rose』)の主演女優賞のみになるわけで。そのあたりは、アカデミー賞で10部門の候補になりながら無冠に終わった映画版と似た運命か。
 それでも2008年2月まで(プレヴュー開始から2年4か月)続いたのは、やはり筆頭プロデューサーだったオプラ・ウィンフリーの力が大きかったのかもしれない。彼女は、日本では想像がつかないほどの影響力を持つ人気のTV司会者で、劇場にも彼女の名前が誰よりも大きく出ていた(下掲写真)。ちなみに、彼女は映画版に主要な役で出演している。

 20世紀初頭のアメリカ南部を舞台に描かれるのは、男権主義に覆われた黒人コミュニティ内部で生き抜く姉妹の物語(妹はあまり出てこないが)。
 前述したように、主人公セリーを演じるのがラシャンズ。彼女の心の支えとなる歌手シャグ役がエリザベス・ウィザーズ=メンデス。セリーの義理の息子ハーポの結婚相手ソフィア役がフェリシア・P・フィールズ。ドラマの上では、この3人の存在が大きい。
 注目すべきは次の2人。ハーポ役が若き日のブランドン・ヴィクター・ディクソン(この作品でトニー賞ノミネート、後に『Motown The Musical』『Shuffle Along, Or The Making of the Musical Sensation of 1921 and All That Followed』)。セリーの妹ネッティー役が若き日のレネイ・エリース・ゴールズベリイ(後に『Hamilton』でトニー賞受賞)。

 脚本マーシャ・ノーマン。演出ゲイリー・グリフィン。振付ドナルド・バード。

 楽曲作者については、リヴァイヴァル版の感想をご覧ください。

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