The Chronicle of Broadway and me #744(Honeymoon In Vegas) & The Chronicle of Broadway and me #796(Honeymoon In Vegas[2])

2013年9月@ニューヨーク(その4)2014年11月@ニューヨーク(その3)

 『Honeymoon In Vegas』(9月29日13:30@Paper Mill Playhouse)のニュージャージー版と、その1年後に観た2014年のブロードウェイ版(11月30日15:00@Nederlander Theatre)とについて、旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

『Honeymoon In Vegas』は、2013年9月にニュージャージーのペイパー・ミル・プレイハウスで観た。ブロードウェイ版も同じプロダクション(役者も演出も、ほぼそのまま)。最近、ディズニーを筆頭に専ら映像系の出資するプロダクションがペイパー・ミルで試演してブロードウェイに持ってくる、という道筋ができ上がりつつあるようだ。てことは、今やってる『The Hunchback Of Notre Dame』も近々やって来るのか。

 さて、『Honeymoon In Vegas』。同名映画の舞台ミュージカル化だが、若干変更が加えられている様子(映画は未見だが、舞台はコメディ方向に強く振れているのではないかと想像する)。
 亡き母の遺言(呪い?)で恋人と結婚できない男が主人公。意を決して結婚のために恋人とラスヴェガスを訪れると、そこで出会うのが愛妻を亡くしたギャング。主人公の恋人が亡妻にソックリでギャングが横恋慕。奪ってしまおうと主人公を罠に落とす。あわや恋人がギャングと結婚か、というところで主人公が奪い返すまでのドタバタ劇。

 楽曲はおなじみジェイソン・ロバート・ブラウンで、前作『The Bridge Of Madison County』とは打って変わって、舞台がラスヴェガスだけに、基本はシナトラを思わせるジャジーな路線。プラス、終盤登場する有名人ソックリ集団に則ってエルヴィス風味も忘れていない。という具合に今回は娯楽に徹している。TVや映画で知られるトニー・ダンザが柄にピッタリのギャング役で気持ちよさそうにシナトラ風に歌い上げるあたりが1つの肝だろう。そういう意味では、ある年齢以上の観客にとっては安心して楽しめるミュージカル・コメディになっているとは言える。
 逆に言うと、そこが物足りない。新しくなくてはいけないとは言わない。が、新鮮な驚きは欲しい。それは、歌でもダンスでも演出手法でも役者の演技(才能)でもいい。それが見つけられないのが難点。
 主人公を演じたロブ・マクルーアは2012年の『Chaplin』でトニー賞にノミネートされたが、そのことからもわかるように、どこか古風な演技をする人。ドタバタでも、キレがあるというよりアクが強い感じ。その母親役が、『Urinetown』『The Toxic Avenger』の怪演が忘れられないナンシー・オペル。ここでも、没後も悪霊のごとく忽然と現れる恐怖(故に笑ってしまう)演技を見せるが、型に嵌められてイマイチ爆発していない。

 演出ゲイリー・グリフィン(『The Color Purple』『The Apple Tree』『Dancing In The Dark』『Saved』)、振付デニス・ジョーンズ(『High School Musical On Stage!』『Coraline』『Smokey Joe’s Cafe』@N.J.『Damn Yankees』@N.J.)。どこかTVのコメディを観ているような、そんな手馴れた感じがして、満足しきれなかった。>

 脚本アンドリュー・バーグマン。

 主要キャストは他に、ブライン・オマリー(『Sunday In The Park With George』『Annie』)、デイヴィド・ジョゼフズバーグ(『The Wedding Singer』)、マシュー・サルディヴァル(『The Wedding Singer』『Grease』)。

 上掲写真は、左がペイパー・ミル・プレイハウス、右がネダーランダー劇場。

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