The Chronicle of Broadway and me #560(Coraline)

2009年6月@ニューヨーク(その6)

 『Coraline』(6月23日20:00@Lucille Lortel Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<子供向けを装いながらも高度な表現を駆使した充実作(てか、子供向けの舞台には、そういうものが多い)。
 タイトルは主人公の女の子の名前で(演じるのは、それなりに歳のいった女優)、彼女がちょっと怖い体験を通して精神的に成長するという話だが、次々に登場する不気味で個性的なキャラクターが魅力的。彼らが不思議な扮装の人間の役者だったり、奇妙なパペットだったり、と様々な姿をしているのも面白い(それらを少数の役者が早替わり的に演じ、操る)。
 おまけに、セットは様々なサイズ(極小まで)のピアノで占められていて、それらを使って実際に音を出す。
 しかし、クライマックスの“悪の化身”はホントに怖かった。>

 作曲・作詞ステフィン・メリット。脚本のデイヴィッド・グリーンスパンは役者として出演してもいる。
 おもちゃの小さなピアノから普通サイズのピアノまでを駆使したユニークなアレンジは音楽監督のキンバリー・グリグズビー(『You’re A Good Man, Charlie Brown』『Spring Awakening』)。こないだまでやっていた『To Kill a Mockingbird』の音楽監督でもあり、その舞台上でオルガンを弾いていたのが彼。この『Coraline』の舞台上で様々な種類のピアノを弾いているのはフィリス・チェン。
 演出のリー・シルヴァーマンは後に『Violet』を手がける。振付はデニス・ジョーンズ(『High School Musical On Stage!』)。斬新な装置デザインは後に『Harry Potter And The Cursed Child』も手がけるクリスティン・ジョーンズ(『The Green Bird』『Spring Awakening』)。

 コラライン役はジェイン・ハウディシェル、他に、ジュリアン・フライシャー、ウィリアム・ユーマンズ(『Titanic』『La Boheme』『Wicked』『The Pirate Queen』)等。

 原作はイギリスの作家ニール・ゲイマンが2002年に発表した同名小説で、2003年のヒューゴー賞を受賞している。同名の人形アニメーション映画が、この舞台と同年に作られている。監督が『The Nightmare Before Christmas』のヘンリー・セリックと言えば雰囲気がわかるか。映画は翌年、日本でも公開。タイトルは小説の翻訳邦題と同じ『コララインとボタンの魔女』。現在、アマゾン・プライムで視聴可能。

 [追記]
 主演のジェイン・ハウディシェルとは、この後、『Bye Bye Birdie』『Follies』『The Music Man』で出会うことになる。

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