The Chronicle of Broadway and me #808(Into The Woods/Paint Your Wagon)

2015年3月@ニューヨーク(その6)

 オフのリヴァイヴァル2作について。

 『Into The Woods』(3月18日14:00@Laura Pels Theatre/Harold and Miriam Steinberg Center for Theatre)は、ランダバウト・シアター・カンパニーとマッカーター・シアター・センターの提供する、フィアスコ・シアターによるプロダクション。
 もちろん、作曲・作詞スティーヴン・ソンドハイム、脚本ジェイムズ・ラパインによる“あの”ミュージカル(初演版2002年版2022年版、それぞれの感想)。

 三方を客席に囲まれた小さな空間にアップライト・ピアノが1台置かれただけの簡素な舞台で、おなじみの“捻って絡み合わされた”奇妙なおとぎ話の世界が繰り広げられる。あり合わせの素材で作ったような衣装や小道具(大道具?)の脚立等も含めて、全体が旅芸人の芝居のイメージ。すなわち、奇妙なおとぎ話を演じてみせる旅芸人たち。
 なるほど、これはこれで楽曲と脚本の“素”に近い魅力を味わう舞台としては“あり”か、と思う。

 演出ノア・ブレイディ&ベン・ステインフェルド。この2人は出演もしている。
 舞台上でピアノを弾いている音楽監督のマット・キャッスルは、出演者が楽器演奏をする2006年のジョン・ドイル演出版『Company』にも出ていた人。
 

 『Paint Your Wagon』(3月22日19:00@City Center)は、1951年の初演(約8か月の公演)以来ブロードウェイでのリヴァイヴァルのない作品。まさに「アンコールズ!」に相応しい。
 作曲フレデリック・ロウ、作詞・脚本アラン・ジェイ・ラーナー。2人が、『My Fair Lady』(1956年)の前、『Brigadoon』(1947年)の後に発表した作品で、両作ほどの興行的成功は得られなかったが、なぜか1969年になって、リー・マーヴィン、クリント・イーストウッドの主演で映画化されている(ストーリーは大幅に改変)。邦題が「ペンチャー・ワゴン」というのも(発音に沿った表記ではあるが)不思議。

 ゴールド・ラッシュの頃(1853年)のカリフォルニアの鉱山を舞台に、生きるために金(きん)を求め、数少ない女たちに惹かれる男たちと、それぞれの生き方を探る女たちの姿を描いた物語。
 『My Fair Lady』に通じなくもない古いジェンダー観が、身も蓋もない西部の荒野の価値観で増幅されていると言えなくもない感触からして、リヴァイヴァルが難しかったのもうなずける。

 演出マーク・ブルーニ(『Ordinary Days』『Pipe Dream』『Beautiful: The Carole King Musical』)。振付デニス・ジョーンズ(『High School Musical On Stage!』『Coraline』『Smokey Joe’s Cafe』@N.J.『Damn Yankees』@N.J.『Honeymoon In Vegas』@N.J.『Piece Of My Heart: The Bert Berns Story』)。

 主な出演者は、キース・キャラダイン(『The Will Rogers Follies』『Hands On A Hardbody』)、アレグザンドラ・ソチャ(『Spring Awakening』『Death Takes A Holiday』『Fun Home』)、ジャスティン・グアリーニ(『Women On The Verge Of A Nervous Breakdown』)、ケイレブ・ダムシュローダー( 『Cabaret』)、ウィリアム・ユーマンズ(『Titanic』『La Boheme』『Wicked』『The Pirate Queen』『Coraline』『Finian’s Rainbow』)、今シーズン(2022年)の『A Beautiful Noise: The Neil Diamond Musical』にも出ているロビン・ハーダー(『Chitty Chitty Bang Bang』『Grease』『Nice Work If You Can Get It』)、メリッサ・ヴァン・ダー・スケイフ( 『Big River』『Bonnie & Clyde』)、ジェニ・バーバー(『Wicked』『The 25th Annual Putnam County Spelling Bee』『Annie』いずれも途中参加)、アダム・モンリー(『Mamma Mia!』『Foreverman』『Les Miserable』)、ロバート・クレイトン(『Chitty Chitty Bang Bang』『The Little Mermaid』『The Mystery Of Edwin Drood』)、ナザニエル・ハックマン(『Les Miserable』)、スコット・ウェイクフィールド(『Ring Of Fire』『Hands On A Hardbody』)。