The Chronicle of Broadway and me #807(The Hunchback Of Notre Dame)

2015年3月@ニューヨーク(その6)

 『The Hunchback Of Notre Dame』(3月19日13:30@Paper Mill Playhouse)は、1996年の同名ディズニー・アニメーション映画の舞台化(邦題:ノートルダムの鐘)。原作がヴィクトル・ユーゴーの有名小説『Notre-Dame De Paris』なのは、フランス→アメリカ→カナダ公演を経てロンドンにたどり着いた同名ミュージカル『Notre-Dame De Paris』同様。
 『Newsies The Musical』と同じ路線でここペイパー・ミル・プレイハウスを経てブロードウェイに移るのかと思ったが、未だにブロードウェイには未登場。日本では2016年12月に劇団四季が上演を開始して、人気作品になっているようだ(未見)。

 楽曲作者は映画版と同じく、作曲アラン・メンケン、作詞スティーヴン・シュウォーツ。内容の改変に伴って新たな楽曲を書き下ろしている。
 舞台版の脚本は、ジェイムズ・ラパインが書いてミヒャエル・クンツェがドイツ語に訳したものが最初で、このヴァージョンはラパインの演出によりベルリンで上演され、1999年6月から2002年6月までロングランしている(独題:Der Glöckner Von Notre Dame)。アメリカ版も当初はラパイン脚本を採用する予定だったようだが、最終的には2011年版『On A Clear Day You Can See Forever』の改訂脚本を手がけたピーター・バーネルと交替。演出もスコット・シュウォーツ(『Jane Eyre』『Bat Boy: The Musical』『tick, tick…BOOM!』『Seven Brides For Seven Brothers』)に替わっている。

 アニメーション映画のファンタジー要素を削ってシリアスな調子に変更しているのは『Anastasia』と同じ。はっきりした勧善懲悪でなくなっているのも同様。
 その是非をことさら問う必要はないが(別物ですから)、個人的には、ロンドンで観た『Notre-Dame De Paris』ほどではないものの、楽曲も演出もやけに大仰になった印象が強く、そこは好みではない。
 ではあるが、全体を劇中劇として構成したことと、発声が困難な設定のカジモド役に手話的表現を与えたことで作品に深みは出た。一定の感動が得られたのは間違いない。
 カジモドを演じる役者が背中に“コブ”を巻き付けることで物語が始まり、その“コブ”を外すことで物語が終わる、という演劇的語り口は、これまでのディズニーの舞台ミュージカルにはないもので、新鮮に感じたことを覚えている。

 そのカジモド(を演じる役者の)役は、このところ演出家として活躍しているマイケル・アーデン。
 他に、クロード・フロロー役パトリック・ペイジ(『Dr. Seuss’ How The Grinch Stole Christmas!』『Dancing In The Dark』、後に『Hadestown』)、エスメラルダ役シアラ・レネー(『Big Fish』)、フィーバス役アンドリュー・サモンスキー(『South Pacific』『Scandalous: The Life And Trials Of Aimee Semple McPherson』)、クロパン役エリック・リバーマン(『Lovemusik』『The Most Ridiculous Thing You Ever Hold』)ら。
 

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