The Chronicle of Broadway and me #619(The History Of War/Shine!/The Most Ridiculous Thing You Ever Hold/Popart)

2010年10月@ニューヨーク(その6)

 NYMF(ニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェスティヴァル)参加作品特集。全15本を3分割して、その3。

 『The History Of War』(10月9日13:00@ATA Chernuchin)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

『Into The Woods』『Falsettos』のオリジナル・キャストとして知られるチップ・ザイエンの脚本による、複雑な構成の、苦い反戦ミュージカル。
 父親を戦場で亡くした少年が過去の独裁的戦争指導者に憧れる。その少年の妄想世界(独裁者たちが少年宅に現れてプロパガンダを繰り広げる)と現実(少年を心配する母と継父、及び、様々な時代の前線の兵士)とが交錯して描かれる。
 戦争の国アメリカならではの重いリアリティが、寓話的表現を超えて迫ってくる。>

 作曲デボラ・アブラムソン、作詞アマンダ・イエスナウィッツ。
 演出ニック・コーリー。振付ダーレン・リー。
 出演者に、ジム・ウォルトン(『And The World Goes ‘Round』『Crazy For You』@N.J.『Guys And Dolls』『Bye Bye Birdie』)、ポール・カンデル(『The Who’s Tommy』『Jesus Christ Superstar』『The Hatpin』)、ジェイソン・クラヴィッツ(『The Drowsy Chaperone』)、マックス・フォン・エッセン(『Jesus Christ Superstar』『Dance Of The Vampires』『The Baker’s Wife』)、ソフィー・ヘイデン(『The Most Happy Fella』)といった面々がいた。
 

 『Shine!』(10月9日17:00@Theatre At St. Clements)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<19世紀に活躍した大衆小説作家ホレイショ・アルジャー作品のミュージカル化。
 目端の利く靴磨きの少年が強い向上心でチャンスをつかんでいくが、妬まれて陥れられた上に、誘拐事件に巻き込まれる。その誘拐事件の顛末が『Oliver!』にソックリで、不思議な気分。
 完成度は高いが、この真っ当で新味のない話、オーソドックスで手堅い演出の作品が、フェスティヴァルの性格と合っていないように思えた。>

 作曲ロジャー・アンダーソン、作詞リー・ゴールドスミス。脚本リチャード・セフ。
 演出ピーター・フリン。振付デヴァナンド・ジャンキ。
 主人公は、後にリヴァイヴァル版『Les Miserables』リヴァイヴァル版『Spring Awakening』に出るアンディ・マイエンタス。他に、マイケル・ホーリング(『In My Life』『The Pajama Game』『A Tale of Two Cities』)、メッギー・キャンスラー(『The Apple Tree』『Finian’s Rainbow』)、ウィリアム・ライアル(『Me And My Girl』『Grand Hotel: The Musical』『The Best Little Whorehouse Goes Public』『How To Succeed In Business Without Really Trying』『High Society』『Seussical』『Chitty Chitty Bang Bang』『Dr. Seuss’ How The Grinch Stole Christmas!』『Guys And Dolls』『Marrying Meg』)、キャサリン・マッグラス(『The Music Man』『A Tale Of Two Cities』)、ジョイ・ハーマリン(『Cyrano: The Musical』『Candide』『La Bohème』『Fiddler On The Roof』)らが出ている。
 

 『The Most Ridiculous Thing You Ever Hold』(10月9日23:00@Urban Stages)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<タイトルを訳すと『史上最高にアホらしい騙り』。マルクス・ブラザーズのラジオ番組の収録現場という設定(実際に1932年11月から半年ほどオンエアされていた「Flywheel, Shyster, And Flywheel」という番組を下敷きにしているらしい)。
 ラジオなだけに、実際の番組にはチコとグルーチョ(グラウチョ)しか出てなかったようだが、無口な(!)ハーポはここでは効果音係として登場。うまい設定。
 見どころは兄弟のソックリ具合だが、グルーチョのオーラが足りないことを除けば、かなりのもの。あの時代の気分を再現したオリジナル楽曲もいい感じ。
 素材を研究し尽くしてあり、趣味に走り過ぎの感はあるが、面白かった。>

 作曲ジム・ベッカーマン、作詞アンディ・セイラー。脚本アンディ・セイラー、ジム・ベッカーマン、フレッド・ウェミス。
 演出ドナルド・ブレナー。
 『Lovemusik』に出ていたエリック・リバーマンがFlywheel役。
 

 『Popart』(10月10日17:00@ATA Chernuchin)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<郊外の普通の家庭に育った少女がゲットーにあるアート・スクールに進学して、一風変わった連中に揉まれながら成長していく、という話で、教師や生徒のヘンなキャラクターが見せ所なのだと思うが、あまりピンと来ず。
 なにより、登場人物の作品たるアートに驚きがないのが痛い。>

 作曲アーロン・マッカーリスター、作詞・脚本ダリル・リサ・ファズィオ。
 演出チャド・ララビー。振付DJ・グレイ。
 中心になる出演者の内の2人、アディナ・アレグザンダー(『Ruthless!』『Parade』『The Wedding Singer』)とシリラ・ベアは、オフの力作『Adding Machine』組。

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