The Chronicle of Broadway and me #511(Pigs, Bears And Billy Goats Gruff/Adding Machine)

2008年4月@ニューヨーク(その9)

 この渡米時に観たオフの2作をまとめて。

 『Pigs, Bears And Billy Goats Gruff』(4月5日11:00@New Victory Theater)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<子供向け劇場で演じられた『子豚と熊とがらがらどん』は、3人の役者と1人のピアニストが、舞台上の不思議な家の中で、日常的な小道具を使って、いくつかの童話を即興劇的に演じる作品。
 オーストラリアから来たパッチ・シアター・カンパニーのメンバーが、子供たちの反応を見ながら嬉々として演じていた。>

 「がらがらどん」という訳は、ネタ元であるノルウェーの民話の翻訳タイトル『三びきのやぎのがらがらどん』(ノルウェー語: De tre bukkene Bruse/英語: Three Billy Goats Gruff)から。ノルウェー語の「Bruse」は「うなり声」という意味で、それを擬音風に「がらがらどん」と意訳したらしい。他に、「ドンガラン」、意訳せずに「ブルーセ」とする翻訳タイトルもあるようだ。

 演出・脚色デイヴ・ブラウン、振付ジェン・ヘイヴェルバーグ。
 楽曲作者の記載はない。音楽監督は舞台上でピアノを弾いていたステュアート・デイ。
 

 『Adding Machine』(4月5日15:00@Minetta Lane Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<アディング・マシーン=加算機。
 25年間、ひたすら読み上げられる数字を加算することを生業としてきた男が、加算機の導入で馘首される。そして起こる悲(喜?)劇。
 近代化が急速に進む時代に労働者側からの視点で書かれたエルマー・ライスの戯曲(1923年)が原作で、ドイツ表現主義的な陰影のくっきりした照明の中、デフォルメされた表情と動きの演技が展開される。そこにオペラ的な楽曲と迫力のある歌唱が加わり、舞台は異様な魅力を放つ。
 救いのない話だが、不思議なカタルシスがあって心に残る。力作。>

 作曲ジョシュア・シュミット、作詞ジェイソン・ロエウェス&ジョシュア・シュミットの楽曲は、クルト・ヴァイルを思わせる。中に1曲、ヴァースから入る古いジャズ・ナンバー的な「I’d Rather Watch You」というスローな曲があり、印象に残る。
 演出デイヴィド・クローマー。

 主演のミスター・ゼロ役はジョエル・ハッチ。この年の秋にニューヨーク入りする『Billy Elliot: The Musical』でブロードウェイ・デビューした後、2012年リヴァイヴァル『Annie』、2017年『Come From Away』と出演していくことになる。
 上述の「I’d Rather Watch You」を甘く歌っていたのはエイミー・ウォーレン。

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