The Chronicle of Broadway and me #313(Dance Of The Vampires)

2002年11月@ニューヨーク(その6)

 Dance Of The Vampires(11月25日20:00@Minskoff Theatre)はウィーン産のミュージカル。原作は1967年製作の映画『The Fearless Vampire Killers』(邦題:吸血鬼)。ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」(原題:Dracula)の“ゆるい”コメディ・タッチのパロディだが、その監督ロマン・ポランスキーがウィーン版の舞台の演出をしたらしい。
 ウィーン版のクレジットでは、作曲ジム・スタインマン、作詞・脚本ミヒャエル・クンツェだが、ブロードウェイ版では、作曲ジム・スタインマン、作詞ミヒャエル・クンツェ&ジム・スタインマンで、脚本はクンツェにスタインマンとデイヴィッド・アイヴズが加わる形になっている。

 このミュージカル、今や、2006年以降今日まで繰り返し翻訳上演されている日本での方がおなじみなのでは? なにしろ、『Elisabeth』(エリザベート)や『Mozart!』(モーツァルト!)で知られるミヒャエル・クンツェ作品だから(いずれも作曲はシルヴェスター・リーヴァイ)。
 作曲のジム・スタインマンは、ロック・シンガー、ミートローフの1977年の初ソロ・アルバム『Bat Out Of Hell』(邦題:地獄のロック・ライダー)全曲の楽曲作者として名を売った人。同作は舞台ミュージカル化され、2017年にマンチェスター・オペラ・ハウスでプレミア上演。昨年はニューヨークのシティ・センターでも短期間上演されている(未見)。1999年のアンドリュー・ロイド・ウェバー作曲によるウェスト・エンド・ミュージカル『Whistle Down The Wind』の作詞がこの人だった。

 という作者コンビから想像がつく通り、ヘビメタの香り濃厚な大仰な楽曲が並んで、いささかトゥーマッチ。一方、話は元の映画の“ゆるい”コメディ仕立てを生かしているから、楽曲とはミスマッチな印象。
 演出ジョン・ランドウ、振付ジョン・キャラファという『Urinetown』組が携わっていたにもかかわらず、装置の仕掛けばかりが目立って、あまり面白い出来ではなかった記憶がある。

 これが、なぜ日本で何度も翻訳上演されるのか理由がわからないのだが(今のところ未見)、もしかしたら、ウィーン版からアメリカ版への改変に問題があったのだろうか? 日本上演版のクレジットは「脚本・歌詞ミヒャエル・クンツェ、音楽ジム・スタインマン」となっているから、ウィーン版に準じているのだろう。
 あるいは、単に日本人好みの作品なのか。とにかく、ブロードウェイ版は、約2か月のプレヴューの後、本公演を2か月弱で終えている。

 上掲写真でわかるように(てか右は苗字が半分切れてますが)、主演(吸血鬼役)は初代ファントムのマイケル・クロフォードだった。ヒロイン、サラ役は、後に『In The Heights』に出ることになるマンディ・ゴンザレス。

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