The Chronicle of Broadway and me #711(A Christmas Story The Musical)

2012年11月@ニューヨーク(その3)

 『A Christmas Story The Musical』(11月21日14:00@Lunt-Fontanne Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<“季節モノ”だと思って期待せずに観たら、とてもよくできていたのがこれ。同名映画(1983年)の舞台ミュージカル化。

 老年にさしかかる主人公が幸せだった少年時代を振り返るという構成で、回想するのは1940年。家族は、凝り性でエキセントリックなところのある父、ユーモラスな母、小動物のような幼い弟。
 話のポイントは2点。主人公が、①オモチャの(と言っても高価な)ライフルをクリスマスに買ってもらえるか、と、②学校の悪ガキの横暴に対抗できるか。
 その底に、人生の教訓と家族への愛情が表わされていたりするのだが、観ていて面白いのは、父親と主人公の妄想(共に妄想癖がある)が舞台上に現出するところ。叶いそうにない願いが次々に実現する妄想が、いちいち派手なショウ場面になっていて大いに楽しませてくれる。
 もう1つ、本筋とは無縁ながら、母親と弟の、飼い主対ペットのようなやりとりも見逃せない。脈絡なく家具の下に潜り込んだりする弟の絶え間ない動きは、とても脚本に書かれているとは思われない細かなものだが、間違いなく脚本通りに動いている証拠に、対応する母親のギャグとのタイミングがぴったり。驚くべき演技だ。

 主人公(少年時代)役ジョニー・レイブ、父役ジョン・ボルトン、母役エリン・ディリーィ、弟役ザック・バラード。>

 上掲の感想で全く触れていませんが(笑)、楽曲作者ベンジ・パセック&ジャスティン・ポールのブロードウェイ・デビュー作。『Dogfight』でのオフ・デビューから4か月後。過去の劇場音楽を広く深く研究した感のある、多彩で楽しい楽曲が揃っている。力作と言っていい。
 脚本はジョゼフ・ロビネット(バイデン大統領と同じ名前だが詳細不明)。原作映画の元になっているのはラジオやTVのパーソナリティとして知られる故ジーン・シェパードの半自伝的小説で、この舞台の語り手はシェパードという設定。
 演出ジョン・ランドー(『Urinetown』『Dance Of The Vampires』『The Wedding Singer』)。振付ウォーレン・カーライル(『A Tale Of Two Cities』『Finian’s Rainbow』『Follies』『Hugh Jackman, Back On Broadway』『Chaplin』)。

 上に書いていない主な役者は、老年の語り手シェパード役はダン・ラウリア、学校教師ミス・シールズ役キャロライン・オコナー。
 母親役エリン・ディリーは『Follies』『The Boys From Syracuse』と来て『Chitty Chitty Bang Bang』でトゥルーリーを演じていた人。父親役ジョン・ボルトンは『Titanic』の後、『Contact』『Monty Python’s Spamalot』で主演クラスのスタンバイを務めて、前作『Curtains』でスターに。