The Chronicle of Broadway and me #527(A Tale Of Two Cities)

2008年9月@ニューヨーク(その2)

 『A Tale Of Two Cities』(9月16日20:00@Al Hirschfeld Theatre)

<ごぞんじチャールズ・ディケンズの同名小説が原作。邦題『二都物語』。
 背景にフランス革命がある。
 となれば、当然、大ヒット作『Les Miserables』を連想するわけで、やはりフランス革命を背景としていた『The Scarlet Pimpernel』と違って、深刻めいた作風も似ているから、ミュージカル好きは間違いなく比較する。それが、そもそもスケールの大きくないこの舞台に、さらなる過小評価をもたらすことになった。
 なにしろ、『Les Miserables』は、多少のわかりづらさは気にせず、話のつながりよりもエピソードごとの盛り上がりに重点を置いて、あざといまでに印象に残る場面を作っていった作品で、量的にも、後にやや刈り込まざるを得なかったほどの“分厚さ”があった。
 対照的に、この舞台、展開が滑らかすぎるほど滑らかで、あらすじを一生懸命説明してくれているように見えてしかたがない。だから、登場人物の運命の数奇さにも驚きを感じないし、心に残る場面も生まれない。決定的な楽曲がないのも痛い。
 まあ、『Les Miserables』と比べなければ、よくまとまった作品として、ほどほどの評価を与えられたかもしれないが、致し方ない。観たのは正式オープン 2日前で客席は盛り上がっていたが、この状態がいつまで続くか……。>

 8月19日プレヴュー開始、9月18日正式オープン、同年11月9日クローズ。

 作曲・作詞・脚本ジル・サントリエッロ。
 演出・振付ウォーレン・カーライル(『Dancing In The Dark』振付)。

 出演は、ジェイムズ・バーバー(『Cyrano: The Musical』『Jane Eyre』『Assassins』)、ブランディ・ブルクハルト、アーロン・レイザー(リヴァイヴァル版『Les Miserables』)、グレッグ・エデルマン(『Ctiy Of Angels』『Passion』『1776』『Into The Woods』)、キャサリン・マクグラス(『The Music Man』)、ニック・ワイマン(『The Phantom Of The Opera』)、マイケル・ヘイワード=ジョーンズ、ナタリー・トロ、他。

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